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30代ロスジェネ世代の取扱い説明書

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1970~80年代前半に生まれた団塊ジュニア世代、現在30代-40代前半のいわゆるロストジェネレーション世代について、そのメンタリティを分析した本。バブル期の価値観を引きずりながら、ファミコンや少年ジャンプといった個人メディアの隆盛を目の当たりにして、厳しい受験戦争を過ごした先にあったのは、バブル崩壊後の就職氷河期でした。


ロスジェネ心理学―生きづらいこの時代をひも解く
ロスジェネ心理学―生きづらいこの時代をひも解く



とくに大都市近郊のニュータウンでは、地域コミュニティがほとんど機能せず、父親はモーレツサラリーマンで専業主婦の母親によって育てられた子どもが多く、教育の正解を求めてほとんどが教育ママにならざるを得なかった実情があります。その結果、正解主義と言われる、現在の指示通りのことしかできない未熟な若手社会人を形成しています。


子ども同士が遊ぶにもアポが必要になったのもこの頃からで、1人でも遊べるゲームや漫画が子どものコミュニケーションの時間を奪ったのも、子どもの主体的な選択というよりは周辺環境からの受動的な変化だと分析しています。ガキ大将や高学年が低学年の面倒を見るといった、地域コミュニティにおける子どもの序列が失われたのもこの頃ですね。


そんな感じで、覇気がないとかすぐに仕事を投げ出すとか、とくに上の世代からは評判の悪いロスジェネ世代ですが、その世代ど真ん中でもある著者はそこに希望を見出しています。地縁血縁のないアイデンティティクライシスを経験した最初の世代として、この世代がポスト経済成長の新しい時代をつくっていくのではないかという指摘は、恐らく当たっているのではないでしょうか。


懐古主義でもなく舶来主義でもない、ちょうどよいバランス感覚のもとに、新しい価値観を暮らしに還元していくこと。いつまでも思春期が終わらない感覚は、むしろ変化の時代にあって物事を多面的に捉える視点を持っているとも言えます。正解主義の教育を受けてきたのに、社会に出たら不正解ばかりで不信感を抱きながらも、なんだか社会のメインストリームになってきてしまった世代、結果的には様々な生き方をしている同世代がたくさんいます。


経済が成長しなくても、等身大の幸せを見つけながら、最適な社会のサイズを提示していければ、ロストジェネレーションなんて言われなくなっていけるのでしょうね。


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