専門的な情報を、立場の違う人に「分かるように説明する」のは難しいものです。このブログは「技術屋が説明書や提案書を分かりやすく書く」ために役に立つ情報をお届けします。

「説明」上手になるために必要な「知識」はごく少ない

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ただいま、「エンジニアが『説明上手』になる本」という書籍を書いているところです。
翔泳社さんから年内に刊行予定ですが、その一部をご紹介。


「説明」上手になるために必要な「知識」はごく少ない

 「人前で話すのは得意です」という人は多くはありません。特に技術者であれば、得意だという人は100人に1人もいないことでしょう。実際、私にとってもIT技術者を始めた理由の2番目ぐらいに「コンピュータ相手の仕事であれば人と話をしなくていいから気が楽」だということがあるほどです(なお、第1の理由はコンピュータを扱うのが面白かったからです)。私もそもそも喋るのは苦手だし、まして大勢の前で喋るのは勘弁してくれ、という人間でした。

 そんなふうに「苦手」と思ってそれを避けていると何が起きるかというと、「技術を知ることができない」ので、上達しません。上達しないままだと、たまに機会があってもうまくできませんから、ますます苦手意識が強まる、という悪循環が起きます。

 ですが、本気で学ぶつもりでやってみれば実はそんなに難しいものではありません。というのは、「人前で話す」ために必要な「知識」は極めて少ないからです。

 「知識」がモノを言うスキルの代表格である外国語の勉強を例に出すと、英語の新聞を苦労せずに読めるようになるにはざっと1万語程度の単語を知っている必要があると言われています。1万語と言えば1日10語ずつ覚えても3年かかります。そのぐらいの知識量です。あるいはプログラミングを初めとするシステム開発にも膨大な「知識」が必要です。書店に行って見つかる技術書のほとんどが「技術解説」つまり知識を説明している本であることからもそれは理解できるでしょうし、その「知識」の量も一貫して増え続けています。

 ところが、「人前で話す」ことに関して、少なくとも初心者を脱して中級の域に達するために必要な「知識」はどう多く見ても100項目はありません。私がプレゼンテーションの勉強会などを開催するときに指摘するのは多くて50項目ぐらいです。しかもその中の10項目ぐらいを押さえておくだけでもまるで違って見えますし、それらは何年経っても変わらないものばかりです。

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