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情報構造化例:「情報セキュリティ教育指導者向け手引き書(2007)」-(1)

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こんにちは。ドキュメント・コンサルタントの開米瑞浩です。複雑な文章をわかりやすく書き直す技術の教育研修や実際に書き直してしまうリライト業務を行っています。

「複雑な文章をわかりやすく書き直す」ためのひとつの鍵を握っているのが、情報の構造化です。メンドクサイ文章の中に隠れている「構造」を読み取って、それを見えるようにしてやる(図解してみせる)ことが肝心です。

実際やってみましょう。今回はこの文を題材にしてみます。

【課題文書「情報セキュリティ教育の現状」】
「近年では一般の人々を含め、情報セキュリティの重要性に関する認識は高まりつつあり、ソフトウェアやハードウェアにおける対策の実施、ならびにマネジメントや運用における対応も進みつつある。しかしながら、広く社会から期待されるニーズと比較して、分野的な歴史の浅い情報セキュリティの専門家は少なく、これまでその人材の不足が指摘されてきた。一方、総合的な情報セキュリティが確保されるためには、関係するすべての人々が情報セキュリティを意識した上で判断や行動を行うことが重要であり、人に依存する部分が大きいことから、すべての人々が情報セキュリティに関する学習を行うことが望ましい。こうした情報セキュリティ教育については、近年各地での取り組みが進みつつあるものの、実際には教育できる人材の不足などの理由により、十分な教育が行われているとは言えない状況にある。」
(出典:「情報セキュリティ教育の指導者向け手引書(2007年版)」の「はじめに」の項より引用。 原本は経済産業省にて公開されています↓
http://www.jnsa.org/result/2007/edu/materials/071111/tebiki2007.pdf
 

実際にはこの文章はトータル132ページある文書の一部で、「はじめに」だけでも上記引用部分の2倍ぐらいありますが、それを全部引用したらこのブログには書き切れないので、上記程度の内容で進めることにします。

さて、文章では「構造」が見えませんので、これを分解・分類・整列して「構造」が見えるようにしたいのですが、まずはヒントを示しておきましょう。

この文書には大まかに言って「背景・理想・現実」に分類される情報が含まれています。
「背景・理想・現実」というのは官庁の報告書によくあるパターンの1つで、たとえばこのような例を見るとイメージがつかめるのではないでしょうか。

2015-0826-1.png

あ、そこで「私」って誰のことですかとか突っ込まないでくださいね(^^;;;

何はともあれ、この「背景・理想・現実」パターンは、何か問題を認識してその解決策を考えよう、というときにはよく使われる頻出パターンの1つです。

というわけで、今回の課題文「情報セキュリティ教育の現状」について、背景・理想・現実に切り分けるとどうなるか、少し考えてみてください。

→次回に続きます。

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