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デジタルでBtoBセールスはできるのか!?

マーケットプレイスでのクラウドサービスの購入と営業の新たな役割

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コンシューマー市場においては、ネット上にて商品やサービスを購入することはもはや特別なことでもなんでもありません。書籍の販売から始まったAmazonでは、いまや買えないものはないのではなかろうか、というぐらいの品揃えです。モノだけではありません。Amazon自身の提供ではないものの、Amazon上にて「お坊さん便」なるネーミングで僧侶を法事に派遣するサービスが出品されて話題を呼んだということも最近ありましたが、各種サービスもネット上で多く提供されるようになっています。

B to Bの世界においても、この流れには逆らえません。
これまで法人間取引であれば、買う側としては、営業担当者から提案をしてもらい、競合の会社との比較検討をしながら商談を数回行って条件を詰めて、見積書をもらって条件面で合意すれば契約書を持ってきてもらって捺印して、商品やサービスの提供を受ける、というのが典型的な流れでした。
Webサイト上で製品についての情報が多く掲載されていて、お客様自身が製品やサービスに関する情報を十分に満足できるレベルで入手できている場合でも、購入するにあたってのプロセスとしては、見積書と契約書の部分は原則変わらなかったのです。
ですが、今はビジネスにおいてはスピードが命の時代です。購入を決めているのにそこから見積書や契約書のやり取りをして、というプロセスに数日を要するようでは、現場のスピード感にあいません。

特に、ITの世界ではクラウドでのサービスが当たり前のようになってきていて、モノの出荷を伴わない取り引きが普通になってきています。IaaSにしろPaaS、SaaSにしろ、基本的にはハードの設置やソフトのインストールなしですぐに使えるようになります(その後の利用量の増減も柔軟に)、というのを売りにしているのに、見積や契約のフェーズで足踏みしてしまうのは望ましくありません。

そこで、クラウドサービスなら見積も契約もセルフサービスに近い形で完了させる、新たな取り引き手法が出てきています。これであれば、営業担当者の来訪を待つことなく料金を確認できますし、契約条件に納得すればクレジットカード決済の形で契約を取り交わすことさえできます。契約が完了すれば、すぐにクラウドサービスの利用を開始できますので、スピード感重視であればこんな素晴らしいことはないでしょう。

営業もういらないじゃん、と言われそうですね。私も営業なので、営業の存在否定は本意ではありません。いや、そうではなく、購入を検討しているお客様をサポートするのが新たな役割なのです。

IBMでは、クラウドサービスをセルフサービスで見積、購入できるサイトを「IBMマーケットプレイス」として開設しています。そこに訪れた方が、サービスの概要や料金について知りたいときにはその場で営業担当者とチャットで問い合わせすることができるようになっています。アナリティクス系の一部サービスでは私がその担当者になっています。また、私もたびたび講師を務めるWebセミナーは、こうしたお客様に検討していただくための材料であるとも言えますので、それも営業活動の一環なのです。

このような新しい形でのサービスの商取引は今後どんどん増えていくと思っています。その先駆けとして、さらなるスキルアップとコミュニケーション力の向上に取り組もうと意識している今日この頃です。

IBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)

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