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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

2018年は、クラウドは第2世代(クラウド2.0)に 〜IDC Japan調査より

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調査会社のIDC Japanは2017年12月14日、「2018年 国内IT市場の主要10項目」を公表しました。

主要10項目は以下のとおりです。

1. デジタルネイティブ企業が出現し、デジタルの文化を持つベンチャー企業と組んだ新ビジネスの創出が始まる
2. 企業の成長と存続を左右するDXへの支援能力が、ITサプライヤーの選択基準になる
3. 労働生産性の向上や柔軟な働き方の必要性が企業で高まり、働き方改革に向けたICT市場が成長する
4. 発展が続くクラウドは第2世代(クラウド2.0)に進化し、IT変革が加速する
5. 国内のIoT利用企業の1割が、データ流通エコシステムを通じ既存事業以外への事業領域の拡大を図る
6. コグニティブ/AIシステムが普及期に入り、2018年には2017年の2倍に市場が拡大する
7. GDPRによるデータ主権の脅威に企業がさらされ、データ保護に対するブロックチェーンの有効性が試される
8. エンタープライズインフラストラクチャ支出モデルの多様化が進むと共に、ベンダー間の競争力の差が広がる
9. AR/VRの業務利用がIT導入に積極的な企業で本格化し、音声インターフェースの業務活用がスタートする
10. 企業の情報システム部門/情報システム子会社向けの組織変革コンサルティングのニーズが拡大する

クラウド関連では、

4. 発展が続くクラウドは第2世代(クラウド2.0)に進化し、IT変革が加速する

が該当しますので、そのポイントをご紹介したいと思います。

IDCでは、2018年以降の国内クラウド市場は「従来型ITからの移行」「デジタルトランスフォーメーションの基盤」を両輪として高い成長を継続し、2018年の同市場の支出額規模は2兆円を超えると予測しており、クラウドは多様なビジネスニーズに対応するために発展しており、第2世代となるクラウド2.0へと進化を始めたとみています。

クラウド2.0とは、以下に挙げる要素を統合した概念としています。

· Trusted(高信頼)
· Concentrated(寡占化)
· Intelligent(インテリジェント)
· Distributed(分散)
· Hybrid Cloud(ハイブリッドクラウド)
· Hyperagile Applications(ハイパーアジャイルアプリケーション)
· DevOps/Everyone a Developer(DevOps/誰もが開発者)

クラウド2.0において、最も注視すべき動向は、「分散」と関連して発展する「ハイブリッドクラウド」「ハイパーアジャイルアプリケーション」「DevOps/誰もが開発者」としています。これらの動向は、アプリケーションアーキテクチャや開発方法論、ITバイヤーの組織体制やスキルなどを根本から変える動向であり、IT変革を加速するものであるとしています。

「分散」に関して、以下の3つに分類しています。

一つ目は、ワークロードごとに複数のクラウドを利用するマルチクラウドのコモディティ化と、複数のクラウドを統合的に運用・管理するハイブリッドクラウドへの進化です。

二つ目は、クラウドの分散配備であり、パブリッククラウド、プライベートクラウドといった「データセンター」の配置だけでなく、IoTゲートウェイといったエッジコンピューティングが含まれています。

三つ目は、ワークロード特化型のコンピュートインスタンスが増加することである。クラウド2.0ではAIに対応したコンピュートインタンス(GPU、FPGA、AI特化型ASIC、量子コンピューティングなど)や、IoTエッジに適したコンピュートインスタンス(ARMアーキテクチャなど)など多様化が進むとしています。

2018年は、特定型のワークロードに対応し、CPUではなく、GPU、FPGAなどのアクセラレーテッドコンビューティングの流れが、今後は増加していく傾向がみられるでしょう。

「ハイパーアジャイルアプリケーション」「DevOps/誰もが開発者」は、新しいアプリケーションアーキテクチャ/開発方法論の適用や、ITバイヤーの組織体制やスキルの変化といった大きな変革を示しており、この流れも加速していくと見込まれています。これまでのクラウドは従来型ITのアーキテクチャを継承することも可能でしたが、DXアプリケーションといった「迅速性」「拡張性」「連携性」が求められるワークロードでは、アーキテクチャの刷新は必須となるとしています。ハイパーアジャイルアプリケーションでは、クラウドネイティブアーキテクチャ/マイクロサービスに対応したPaaS(Platform as a Service)を活用することが増加し、2021年には、新規開発アプリケーションの50%が、同PaaSを活用したものになるとIDCは予測しています。

アプリケーションアーキテクチャの刷新と並行し、開発方手法もDevOpsへと移行が加速すると予測しています。DevOpsと関連し、ローコード/ノーコード(Low Code/No Code)の開発ツールが劇的に拡充、改良され、技術系以外の開発者が急増し、「誰もが開発者」の時代が到来すると予測しています。ローコード/ノーコードでは、2つの大きなトレンドがあり、既存のアプリケーションを組み合わせて、業務担当者が必要とする業務アプリケーションを構築する「コンポーザブルアプリケーション」とマイクロサービスベースの機能/プロセス/データをAPI(Application Programming Interface)連携によって開発する「イベント駆動型フレームワーク」をあげています。IDCでは、特に、コンポーザブルアプリケーションでは、2021年には新規ビジネスアプリケーションの40%が技術系以外の開発者によって開発されるようになると予測しています。

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