5Gで実現できることと実現に向けた課題
総務省は2016年11月29日、「情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会 基本コンセプト作業班 ワイヤレスIoTアドホックグループ(第1回)」を開催し、多数同時接続を先行的に実現するIoT関連技術の技術的条件などの検討を進めています。
本検討会議の資料から、5Gで実現できることと実現に向けた課題について、少し整理してみたいと思います。
移動通信システムの進化では、最大通信速度は30年間で約10,000倍となっています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
5Gでは、超高速、多数同時接続、超低遅延などが主な性能となっています。
超高速:現在の移動通信システムより100倍速いブロードバンドサービスの提供
超低遅延:利用者が遅延(タイムラグ)を意識することなく、リアルタイムに遠隔地のロボット等を操作・制御
多数同時接続:スマホ、PCをはじめ、身の回りのあらゆる機器がネットに接続
などの実現が可能となり、社会的に大きなインパクトを与えるインフラへの期待が高まっています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
ITUにおける5G実現に向けた検討では、2015年9月、2020年以降の将来の移動通信システムに関する枠組及び目的を示した「IMTビジョン勧告(M.2083)」の策定などの取り組みを行っています。
5Gの利用シナリオでは、
✓ モバイルブロードバンドの高度化(Enhanced moible broadband)
✓ 大量のマシーンタイプ通信(Massive Machine Type Communication)
✓ 超高信頼・低遅延通信(Ultra reliable and low latency communication)
5Gの主な要求条件では、
✓ 最高伝送速度 20Gbps ※一定の条件下
✓ 100万台/km²の接続機器数
✓ 1ミリ秒程度の遅延
などをあげています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
産業構造の変化への戦略的な対応では、IoTや自動車、産業機器、スマートメータといった新しい分野の市場創出に向けて、「5Gビジネス戦略」をたてることが必要としています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
IoT時代の無線通信システムにおいては、5Gは、IoT時代のICT基盤として様々な分野での活用が期待されており、IoT向けの通信仕様については、 3GPPにおいてもNB-IoTやeMTCなどの検討が進められており、早期サービス開始を念頭に、対応可能なものから、技術的条件を検討することが必要としています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
5G実現に向けた課題への対応として、研究開発・総合実証試験の推進と、国際連携・協調の強化、5G導入に向けた技術的条件の策定の3つをあげており、5G導入に向けた技術的条件の策定では、5Gを導入する周波数帯毎に技術的条件を策定し、制度整備を行うことが必要であるとしています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
5G実現に向けた研究開発・総合実証試験では、
2020年(平成32年度)の5G実現に向け、2015年度(平成27年度)より超高速、大容量、低遅延等に関する研究開発を実施 [H29年度要求額 28.4億円 ]
2017年度(平成29年度)より、5Gを社会実装させることを念頭に、交通分野など具体的なフィールドを活用した総合的な実証試験を東京及び地方で実施 [H29年度要求額 27.0億円 ]
の取り組みを進めていくとしています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29
5Gが実現する社会のイメージとして、スポーツの楽しみ方、買い物のスタイル、防災・減災の仕組み、仕事のやり方などの変化について、イメージ図をまとめています。
出所:総務省 情報通信審議会 2016.11.29