クラウドが登場してきた背景
■クラウドが登場するまでの歴史
ITを活用した情報処理システムには、10年おきに大きな変化が訪れています。1980年代は「メインフレーム」と呼ばれる大型汎用コンピュータの時代で、アプリケーションもデータもすべてメインフレームに集中して処理させ、端末側では入力と出力表示機能のみをこなしていました。 1990年代は、クライアント端末にも処理機能を持たせた、分散型のクライアント・サーバーモデルとなりました。2000年代に入ると、社内システムがイントラネット上に構築されるようになり、サーバーに処理が集中するようになりました。そして2010年ごろから、世界中に分散するサーバーのリソースを必要なときに必要な分だけ利用するクラウドコンピューティングのモデルが進展しています。
■クラウドが普及してきた背景
クラウドコンピューティングが実現可能になり、普及してきた背景には、技術的な要因、ユーザ企業、そして、クラウドサービス事業者の3つの要因(視点)で整理します。
技術的な要因では、CPUの高速処理化、仮想化や分散処理技術などのクラウド関連技術の進展や、モバイルも含むネットワークの高速化と低価格化、データセンターの大規模化による規模の経済(スケールメリット)などがあげられます。
ユーザ企業においては、IT投資コストの削減、柔軟なサービス設計や利用、構築・運用稼働の軽減などがあげられます。
クラウドサービス事業者にとっては、サービスとして提供することで、ユーザ企業のセルフサービス利用によるサービス提供の効率性の向上や、継続的に売上が獲得できることで安定した収益源になるといったメリットがあります。一方で、クラウドの市場は成長していますが、サービスのコモディティ化が進み、価格競争が熾烈になるなどの競争環境は厳しくなっています。