温泉旅館化したハイブリッドクラウドから近代化したホテルに建て替えしたハイブリッドクラウドへ
企業はITシステムの急速な業務変更に伴う突貫工事や買収・合併による企業統合などにより、年々、ITシステムの構造は複雑化しています。
『デジタル化を勝ち抜く新たなIT組織のつくり方(日経BP社)』の第二章「追い詰められるIT部門」では、
いずれの企業においても業務システムは多かれ少なかれ温泉旅館化している。それぞれの温泉旅館を解体して、近代的なホテルに建て替えできれば、わかりやすいシンプルな構造のシステムができる。だが、現実は厳しい。
ITシステムの更改時に、クラウドを優先的に検討するクラウド・ファーストの流れが加速しています。現在の状況は、現在のオンプレミスシステムを残しつつ、パブリッククラウドと専用線やVPNで接続するといったようなハイブリッドクラウド構成が中心となっています。
つまり、温泉旅館化されたオンプレミスのシステムに、専用線やVPNによる廊下の通路を経由して、近代的なホテルであるパブリッククラウドへ接続するといったスパゲティ構造となっています。温泉旅館のシステム構造と近代的なホテルのパブリッククラウドの構造は、大きく仕様などが異なるため、運用管理もセキュリティガバナンスも大変となるでしょう。ハイブリッドクラウドが注目されていますが、スパゲティ構造のようなシステム構造は、暫定的なシステム構造であり、決して理想な構造とはいえなく、いずれ建て替えが必要となるでしょう。
これからは、温泉旅館化されたシステムの同じような環境を近代的なホテルに移行し、近代的なホテルの同一ビル内に、VIP待遇用の個室とビジネスパーソンが安価に泊まる部屋と、フロアレイアウトがしっかりとできる中で、安全に効率的にホテル経営ができる環境が望ましいと考えています。
そういった意味で、先日(3/1)、NTTコミュニケーションズが、
デジタル・トランスフォーメーションを実現する「Enterprise Cloud」の大幅機能強化
~トラディショナル、クラウドネイティブ双方のICT環境を統合管理できるクラウドを実現~
というリリースをしましたが、上記のようなホテル経営に対応したクラウド環境を提供できているのかもしれません。