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2030年に完全自動走行車が実現したらどうなるのだろうか(メモ)

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仮に2030年に完全自動走行車が実現したらどうなるのなるのか、メモベースで予測をしてみたいと思います。

2030年ごろに、完全自動走行車の実現が見込まれているが、この完全自動走行車の実現は、社会全体に革新的なインパクトをもたらす可能性がある。

完全自動走行車の実現により、自動車産業はサービス産業化し、自動車に対する価値観が変化し、所有から利用するシェアリング・エコノミーへの形態に大きく変化していくことになるだろう。各家庭が駐車場を持ち、自家用車を持つことから、完全自動走行機能の無人タクシーを、必要なときに必要な時間だけ利用する形態が一般となるかもしれない。

自動走行車の普及に伴い、エンジン車からHEV(Hybrid Electric Vehicle)車やEVElectric Vehicle)車の比率が急速に増加していくことになり、CO2排出量の大幅な削減にもつながるだろう。テスラの家庭向け新バッテリー「Powerwall」が品切れ状態が続いているように、電池産業などの素材産業が大きく市場を拡大しているだろう。

自動走行車が相互にインテリジェントネットワークでつながり、都市全体の自動走行車全体の動きを制御できるようになり、個々の自動走行車は、周囲の状況にあわせて最適なルートを選択して目的地に最短時間で到着できるようになり、そもそも渋滞という概念はなくなるのかもしれない。

東日本大震災のような大規模な自然災害に発生した際に、自動車による被災地から避難が必要な場合には、センサーから収集されたデータや、自動車が相互のネットワークを通じて、渋滞を回避しつつ、最適なルート選択を行うことができるようになるだろう。被害の大きい被災地域の被災者捜索においては、救助の人手不足の状況の中、空からドローンが被災者を探し出し、自動走行車と連動して、救助にあたるといった連携もできるかもしれない。大規模災害においても自動走行車が活躍することで、人的被害を最小限に押されられるかもしれない。

自動走行車により、ADAS(先進運転支援システム)が搭載されることで、予防安全や乗車安全も大幅に改善され、交通事故も大幅に減るだろう。テレマティクス保険に代表されるように、走行中のデータを収集し、自動車保険料や安全運転のサービスなどに反映させるといったように、自動車保険の形態も変わっていくだろう。

物流においても、高速道路を走る長距離トラックから宅配便を配達する小型トラックまで、自動走行車が主流となれば、運送業者の人手不足は解消されてくことになるだろう。特に、消費者はリアル店舗からオンラインでの商品の購入の比率が増加すると予想されており、オンラインでの商品発注と自動走行車やドローンによる宅配と連携したオンデマンド型の物流形態も増えていくことになろかもしれない。

自動走行車により、自動車は単なる移動手段ではなく、新たなコミュニケーションスペースや、ワークスペースへと進化していくだろう。一般社団法人 自動車検査登録情報協会の調査によると、2015年5月現在で自動車保有台数は8000万台を超えており、毎日数千万人規模の人間による運転稼働がなくなれば、社会全体の大幅な生産性向上にもつながるかもしれない。自動車通勤そのものの考え方も変化し、自動車通勤中も業務ができるようになり、働き方の形態も変わっていくことになるだろう。

超少子高齢化が進む日本においては、特に、高齢者が多く住む地方の過疎地においては、交通手段の確保が深刻な問題となることが予想される。高齢者が、自動走行車を活用して、音声やタッチパネルなどで病院やスーパーなどの目的地を指定することで、目的地まで送り迎えをしてくれるシステムは、一般的になっているのかもしれない。

自動車からセンサーなどで収集されるデータは膨大なものとなり、自動車が生成するデータの価値はさまざまな領域で活用されるようになるだろう。たとえば、これらのデータを活用することで、コンパクトシティやスマートシティを手がける、環境にやさしいサスティバブルな都市計画にも大きな効果をもたらすことになるかもしれない。

自動車メーカーも自動車を生産するメーカーとして、自動車本体のハードウェアの部分の性能に大きな経営資源を投資してきたが、ハードウェアのコモディティ化が進むことで、サービスで差別化をしていくサービス事業者や、IT事業者へと変化していくことになるだろう。ハードウェアそのもののモジュール化も進み、パソコンのように、安全性には配慮しながら簡易に自動車が製造できるようになっていくだろう。

グーグルをはじめ、アップルなどの事業者が参入してきているように、ハードウェアそのものよりも、ネットワークとつながるサービスを提供し、自動車走行車の乗車時のサービス体験の付加価値を高めていくことで、収益をあげていくモデルへと変化していくことが予想される。その場合は、自動車本体の価格は値下げ圧力がかかり、低価格がが進んでいくのかもしれない。

自動車周辺にある部品メーカーやサービス事業者の構造も変化し、新たなエコシステムが形成されるようになるだろう。

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