人工知能やロボットがもたらす未来への取り組みを議論、総務省の「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究」資料から
総務省情報通信政策研究所は2015年2月6日、「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究会第1回研究会」を開催しました。
開催の背景には、ICTのインテリジェンス化が進み、2045年にはコンピュータの能力が人間を超え、技術開発と進化の主役が人間からコンピュータに移る特異点(シンギュラリティ)の議論、IoTの進展など、ビッグデータや人工知能、ロボットなどの技術の恩恵を受けており、これらの技術の進化に対して、何を考えどのように社会を変えていくのか、分野の枠を超えて議論を深め、今後の課題の整理と今後の取り組みに係る提言を行っていくとしています。
主な検討事項として
- ICTインテリジェント化のもたらす可能性
- 具体的分野における可能性
- 社会へのインパクト
- ビジネス展開、国際競争における展望
- 政策課題
をあげています。
総務省情報通信研究所が公開した以下の資料から興味深い内容を少し抜粋したいと思います。
- コンピュータ能力の加速度的進展 ~演算・蓄積・伝送
- ネットワーク能力の加速度的向上 ~データ伝送速度が指数関数的に向上
- IoT時代の到来 ~インターネットへの接続端末数とセンサーの出荷数の予測
- ビッグデータ化の加速 ~デジタルデータの爆発的増加
- シンギュラリティ(特異点)について
- ICTのインテリジェント化により将来の雇用はどうなるか~英オックスフォード大の予測
- ICTのインテリジェント化による知識労働の自動化
- 諸外国主要企業のICTのインテリジェント化の取り組み例
- グローバル企業におけるICTのインテリジェント化に関わる連携状況(IoT関連)
- 諸外国のICTのインテリジェント化関連ビッグプロジェクト
- 諸外国におけるその他ICTのインテリジェント化への取り組み
- 人工知能と人間の関係を描いた映画の例
ポイントになるのは、シンギュラリティ(特異点)に対する考え方です。
発明家・未来学者のレイ・カーツワイル氏は、2045年にはコンピュータが全人類の人間の能力を超えると予想しており、この未来予測に対して、どのように考え、どう取り組んでいくのかが、重要なテーマとなっています。
出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究会第1回研究会 2015.2
英オックスフォード大の予測で、ICTのインテリジェント化により将来の雇用はどうなるか、についてまとめています。702職種のコンピュータがどの程度置き換えられるかの脆弱性の確率を示しています。原文の資料は「The Future of Employment」から確認できます。
出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究会第1回研究会 2015.2
ICTのインテリジェント化による知識労働の自動化では、人工知能による知的労働の自動化がもたらす経済的なインパクトは2025年時点で5兆ドルを超えると試算しています。つまり、知的労働者の自動化が進むことになれば、これまで知的労働に関わってきた労働は、コンピュータに置き換えられていくと、考えることができるでしょう。
出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究会第1回研究会 2015.2
諸外国主要企業のICTのインテリジェント化の取り組み例では、グーグルのNest LabsやDeepMind Technologiesの買収やロボットベンチャー7社の買収、IBMのワトソンの展開などの事例が紹介されています。
諸外国の長期的なビックプロジェクトでは、米国のBRAIN InitiativeやEUのSyNAPSEやHuman Brain Projectなど人工知能を中心としたプロジェクトなどの取り組みが紹介されています。ドイツで取り組んでいるIndustry4.0の取り組みも注目でしょう。
出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究会第1回研究会 2015.2
これまで、人工知能と人間との関係を描いた映画が多く出ており、映画の内容が、近い将来実現する可能性もあるかもしれません。
出所:インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する調査研究会第1回研究会 2015.2
この辺の取り組みは、引き続き注目してみたいと思います。
スマートマシン時代の到来 - ZDNet Japan で、未来志向をテーマに連載しています。
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