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【2015 State of the Cloud Report】パブリッククラウドはAWSが市場のリードを拡大、Azureもシェアを拡大。Dockerも利用拡大へ

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RightScaleが2015年2月「2015 State of the Cloud Report」を発表し、クラウド事業者の市場シェアや、情報システム部門のクラウド採用、DevOpsなどについての動向を解説していますので、ポイントをまとめてみたいと思います。

■ハイブリッドクラウドの利用は58%に

クラウドを採用している事業者は、58%がパブリッククラウドとプライベートクラウドを併用しており、パブリッククラウドのみが30%、プライベートクラウドのみが5%となっており、ハイブリッドクラウドとしての利用が進んでおり、当面は適材適所のハイブリッドクラウドの利用が進むとみられます。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■情報システム部門はクラウドブローカー機能を持つ戦略的な部門に

情報システム部門では、68%がクラウドの採用を決めると回答しており、情報システム部門がクラウドブローカーのようなアプローチが求められているとしています。これまで、各業務部門が自部門の判断でクラウドサービスを導入してします「Shadow IT」が問題視されていましたが、Shadow ITから情報システム部門の戦略的に全社的にクラウドを採用するケースにシフトしているようです。また、エンタープライズ分野において、クラウドおよびクラウドセキュリティに関しても寛容的になっており、今後さらにクラウドの利用が進み、プライベートクラウドよりもパブリッククラウドの採用が加速するとしています。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■パブリッククラウドはAWSが支配的なポジションに

パブリッククラウドのシェアにおいては、AWSは2014年の54%から2015年は57%へと拡大し、市場の圧倒的なリードを保っています。一方、マイクロソフトのAzure IaaSが2014年の6%から12%とシェアを2倍と大きく拡大しています。

シェアを落としている事業者では、Rackspace Public Cloud が2014年の12%から2015年は11%となり、Azure IaaSに逆転を許しています。Google はIaaSは1%シェアを伸ばしているものの、Google App Engine は2014年の9%から2015年は8%とシェアを落としています。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■エンタープライズ分野では、Microsoft Azureが健闘

エンタープライズクラウドの領域では、AWSは50%がAWSのクラウド上でエンタープライズアプリケーションを稼働しています。Azureの健闘が顕著になっており、IaaSでは2014年の11%から19%、PaaSにおいても12%から15%と拡大しています。マイクロソフトはエンタープライズの領域でマーケティングやプレセールスを強化しており、その結果が数値にも現れています。一方で、VMware vCloud Airが2014年の18%から10%と大きく減少しています。

エンタープライズ企業においては、エンタープライズ企業の利用調査によると、クラウド上で稼働しているアプリケーションは20%以下となっており、まだまだビジネスの成長の余地は高いと考えられます。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■SMBの領域はAWSは独壇場に

SMB(中堅中小企業)の領域をみてみましょう。従業員1000人以下のSMBでは、AWSの存在がさらに強く、2014年の56%から2015年は61%まで拡大しており、市場を大きく支配しています。特に、スタートアップにおいてAWSは熱狂的な支持を獲得しており、スタートアップのビジネスを成長させていくための重要な位置付けとなっています。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■プライベートクラウドはVMwareが堅調

最後に、プライベートクラウドの領域ですが、VMware vSphere/vCenterが2014年の31%から33%にシェアを拡大しており、vCloud Suite13%、OpenStack13%、Microsoft System Cnter10%、Citrix CloudStack8%と続いています。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■クラウドにDevOpsは欠かせない存在に

開発と運用の一体化を図るDevOpsは、クラウドの利用において欠かせない存在となりつつあり、採用も進んでいます。DevOpsの採用は2014年の62%に対して、2015年は66%と増加しています。クラウドにおいてのDevOpsの採用により、構築運用のスピードやアジリティを高めることで、クラウド採用の効果を高めています。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■DevOpsのツールではChefがトップ、Dockerの採用は今後大きく増加

DevOpsのツールでは、Chefが28%とトップで、Puppet24%と続いています。特に、Dockerは今後採用予定が35%となっており、利用者の関心度が高まっています。

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出所:2015 State of the Cloud Report

■クラウドの採用が進めば課題も減少

クラウドの採用はよりコアな領域への採用が進んでいます。クラウドの初期段階の場合は、リソース不足やセキュリティやコンプライアンスなど多くの課題が顕在化していましたが、クラウドの採用を進めクラウドへの理解が深まることで課題も解決されているといった数値も出ています。クラウドの導入を進め、自社の成功モデルをつくることが、必要不可となるでしょう。

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出所:2015 State of the Cloud Report

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