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「ロボット新戦略」(ロボット革命実現会議とりまとめ)について

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政府は、2015年1月23日、第6回ロボット革命実現会議」を開催し、『「ロボット新戦略」(ロボット革命実現会議とりまとめ)』を公表しました。

日本は1980 年代以降ものづくり分野を中心に、ロボットの生産、 活用など各面において世界をリードする「ロボット大国」としての地位維持しリードしてきました。

一方、日本は世界でも類をきないスピードで少子高齢化、生産年齢人口の減少、社会保障費が増大するなどの課題先進国であり、ロボット技術の活用により、製造業の生産現場、医療・介護現場、農業・建設・インフラの作業現場などの幅広い分野において、人手不足の解消や過重な労働からの解放、生産性の向上などの社会課題を解決する可能性があるためです。

近年、米国が2011年に公表した「National Robotics Initiative国家ロボットイニシアティブ)」では、人工知能分野や音声や画像認識などの分野を中心としたロボットの基礎研究に対して毎年数千万ドル規模の支援を実施しています。

欧米や先進国や中国などの先進国において、政府主導のロボット関連のプロジェクトが相次いで立ち上がっています。デジタルデータの増大や人工知能技術の進展などにより、ロボットを巡る新たな国際競争が始まっています。グーグルのロボットベンチャーの相次いでの買収も大きな注目を集めました。

こういった世界の流れを背景に、政府では、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月閣議決定)において、「ロボットによる新たな産業革命」として、ロボット技術の活用により生産性の向上を実現し、世界に先駆けての課題解決、企業の収益力向上、生産性向上による賃金の上昇を図るといったテーマを掲げています。

政府は、2014年9月にに、「ロボット革命実現会議」を設置し、技術開発や規制改革、標準化などの具体策を検討し、今回「ロボット新戦略」を公表しています。

ロボット革命で目指す社会は

  1. ロボットが劇的に変化(「自律化」、「情報端末 化」、「ネットワーク化」) 自動車、家電、携帯電話や住居までもがロボット化
  2. 製造現場から日常生活まで、様々な場面でロ ボットを活用
  3. 社会課題の解決や国際競争力の強化を通じて、 ロボットが新たな付加価値を生み出す社会を実現

するとし、ロボット革命を実現するため、政府では以下の3つを柱としています。

  1. 日本を世界のロボットイノベーション拠点とする「ロボット創出力の抜本強化」
  2. 世界一のロボット利活用社会を目指し、日本の津々浦々においてロボットがある日常を実現する「ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)」
  3. ロボットが相互に接続しデータを自律的に蓄積・活用することを前提としたビジネスを推進するためのルールや国際標準の獲得等に加え、さらに広範な分野への発展を目指す「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」

政府では、ロボット革命実現会議の議論や成果を踏まえて、現場における革命実現のための産学官を分厚く巻き込んだ推進 母体である「ロボット革命イニシアティブ協議会」を設置します。

ロボット革命実現会議20150125.png

出所:ロボット新戦略 2015.1.23

本協議会では、プロジェクトにおけるニーズ・シーズのマッチングや国際標準の獲得、セキュリティへの対応、国際標準や連携などを推進、さらには、イノベーションのための場づくりとして、新たなロボット技術の活用を試みる実証実験のための環境整備や人材育成を実施するとしています。

実証フィールドでは、福島県において「福島浜通りロボット実証区域」(仮称)を設置し、陸上、水中、空中などの分野におけるロボット開発の集積拠点となることを目指しています。また、ロボットシステムを組み立てていく上で中核となるシステムインテグレーターやソフトウェアを中心とした IT人材の育成を抜本的に強化していくとしています。

研究開発の分野では、ロボットのためのコアテクノロジーである人工知能やセンシング・認識、駆動(アクチュエータ)・制御についての次世代の研究開発を強化するとともに、ロボットOSなどのミドルウェアにおけるソフトウェアや、通信などの機器間連携に関する規格化や標準化に取り組んでいくとしています。

ロボット革命実現会議 2015-01-25 9.25.31.png

出所:ロボット新戦略 2015.1.23

世界に向けてロボットショーケース化した日本を発信する場として、2020 年に「ロボットオリンピック(仮称)」を開催するとし、2014年度中に一項委員会を発足氏体制を整備して、2016 年までに具体的な開催形式・競技種目を決定し、2018 年にプレ大会を開催し、本大会に着実に繋げていくとしています。

本戦略については、もう少し読み込んで別の機会にご紹介したいと思います。



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