オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

2014年オープンデータに関して印象に残った10のこと

»

2014年は、オープンデータへの注目度が大きく高まった時期でもありました。独断と偏見で2014年のオープンデータに関して印象に残った10をあげてみたいと思います。

1.日本政府のオープンデータカタログサイト本格版の運用開始(2014.10)

海外では、2009年の米国のData.govなど、欧米を中心にデータカタログサイトの開設は先行していましたが、日本では2013年12月にデータカタログサイトの試行版を開始し、ようやく2014年10月にデータカタログサイトの本格版が運用開始となりました。

政府では、2014年度からはデータカタログサイトの本格運用を実施し、2014年度および2015年度の2年間をオープンデータ推進のための集中取り組み期間と位置付けています。まだまだ、データ形式でPDFが多いなどのいくつかの課題もみられますが、データカタログサイトの本格運用開始は、日本のオープンデータの推進において大きな前進といえます。

http://www.data.go.jp/

2.NHKクローズアップ現代でオープンデータ特集(2014.9)

NHKのクローズアップ現代で、2014年9月17日(水)に『公共データは宝の山 ~社会を変えるか?オープンデータ~』という内容でオープンデータの特集が組まれました。余談ですが、本放送にあたって、私自身も1時間ほど取材を受けました。オープンデータがNHKの特集でも組まれたことで、注目度は高まってきているといえるでしょう。

関連URL
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3552.html

3.シビックテックによるムーブメント

オープンデータなどを活用して、行政機関と開発者である市民との連携により、行政サービスをより良くする取り組みが世界各地で始まっています。また、アイデアソンやハッカソンの開催など、全国規模でオープンデータに関わるイベントが開催されました。

米国では、2009年からコード・フォー・アメリカ(Code for America)というオープンデータなどを活用した市民による行政向けウェブサービスを開発するプロジェクトが進められています。コード・フォー・アメリカはシビックテック(Civic Tech)と呼ばれる地域・市民のための技術分野における強力なブランド組織として、また民間のスキルを行政の問題解決に役立てるプラットフォームとして、大きな支持を得ています。

日本では、2013年11月に正式に「Code for Japan」を設立し、「Code for Kanazawa(金沢)」や「Code for Sabae(鯖江)」や「Code for Namie(浪江)」など日本各地で設立の動きが広がっており、2014年11月時点で公式では日本国内18地域で活動を行っています。

関連URL Code for Japan
http://code4japan.org/

「Code for Kanazawa」では、金沢市との情報交換を定期的に行い、地域課題解決のために最初に開発したアプリが「5374(ゴミナシ).jp」です。「5374(ゴミナシ).jp」は、地区を設定すれば、一画面でどのゴミをいつ捨てればいいか分かるように表示され、新しく金沢市に住むようになったときでもすぐにゴミの出し方がわかるようになっています。「5374(ゴミナシ).jp」もすでに市民などの活動により、20か所を超える地域で利用されています。

2015年は、シビックテックによるさらなる利用地域の拡大に伴い、地域の行政サービスの改善や、ビジネスへの展開が期待されるところです。

関連URL:5374(ゴミナシ).jp
http://5374.jp/

4.自治体のデータカタログサイト開設

自治体においては、福井県鯖江市や神奈川県横浜市、福岡県福岡市、静岡県など、オープンデータにおいて先進的な取り組みを行う自治体も増えてきました。IT 総合戦略本部のオープンデータ実務者会議で公開された資料によると、2014年9 月時点で、全国で1800弱の自治体に対して、オープンデータ公開済みの自治体は44で、取り組み中および検討中の自治体を含めても200強という状況です。

関連URL:都道府県のオープンデータの取組状況
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/jichibukai/dai2/sankou.pdf

jig.jpの福野さんがメンテナンスされている自治体のオープンデータの取組み状況ですが、2014年12月24日時点で、都道府県は11団体 の普及率23.4%、市町村では68団体で普及率 3.6%となっています。

関連URL:地方自治体のオープンデータの取組状況について
http://fukuno.jig.jp/2014/opendatajpstat

まだまだ、普及率は高いとはいえない状況で、2015年は自治体がどれだけユーザが使いやすいデータカタログサイトを開設できるかが、大きなカギとなるでしょう。

5.民間事業者からのオープンデータ向けのサービス提供

2014年になってから、自治体のオープンデータのデータカタログサイトの開設や、オープンデータを活用したマーケティング支援などのサービスが登場しました。

ウイングアークは、オープンデータや各種統計データ、マーケティング・ターゲット選定やマーケティング効果測定に有益なデータを提供し、お客様の情報活用を支援する、第三者データ提供サービス「3rd Party Data Gallery」を提供しています。

関連URL:3rd Party Data Gallery(ウイングアーク)
http://www.wingarc.com/welcome/bi/dg/

Jig.jpは、自治体が保有するExcel(R)データをウェブから登録するだけで、かんたんに汎用性の高い5つ星オープンデータ(Linked-RDF)に変換し、公開可能なオープンデータプラットフォームを提供しています。

関連URL:オープンデータプラットフォーム(jig.jp)
http://odp.jig.jp/

鯖江市では、Jig.jpのサービスを利用してサイトを構築しています。

関連URL
http://data.city.sabae.lg.jp/

スマートバリューは、オープンデータを負荷なく簡単に公開できるオープンデータポータルサイトを提供しており、埼玉県の自治体で2015年1月にサイトの公開が予定されています。本サービスでは、専用フォームへの入力でオープンデータとして公開する事でき、公開された行政データは自動的にビジュアライズ化(地図や表やグラフなど)ができるようになっています。

関連URL:SMART OPENDATA(スマートバリュー)
http://www.smartvalue.ad.jp/business/pc/smart-lgov/smart-opendata

オープンデータ関連の民間のサービスはまだまだ十分とはいえず、オープンデータによるデータドリブンのエコシステムもまだ発展途上です。2015年は、オープンデータをどう使って、ビジネスを展開し、各プレイヤーが収益を上げるモデルを構築できるかが、大きなテーマの一つとなるでしょう。

6.「インターナショナルオープンデータデイ2014」開催(2014.2)

オープンデータの活用を推進するための世界的イベント「インターナショナルオープンデータデイ2014」が2014年2月22日(土)に日本各地で開催されました。世界の約110都市で開催され、日本国内では33カ所が参加するなど、1カ国の開催数としては世界最多となるなど、盛り上がりを見せました。2015年2月21日には、「インターナショナルオープンデータデイ2015」が開催される予定で、日本国内ではさらに多くの地域での開催が期待されるところです。

関連URL:インターナショナルオープンデータデイ2014について
http://odhd14.okfn.jp/?page_id=286

7.自治体オープンデータ推進ガイドラインの策定(2014.12)

IT 総合戦略本部のオープンデータ実務者会議では、自治体のオープンデータの取組を促進するため、自治体オープンデータ推進ガイドラインの策定のとりまとめを実施し、2014年12月にも公表予定となっています(2014年12月24日時点では未確認)。自治体のデータカタログサイトの開設はまだ少数にとどまっており、2015年はこのガイドラインをもとに、どこまで自治体が取組みを本格化できるか、一つ大きなポイントとなるでしょう。

関連URL:自治体オープンデータ推進ガイドライン(仮称)の策定に向けて(IT総合戦略本部 電子行政オープンデータ実務者会議 自治体普及作業部会)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/jichibukai/dai3/gijisidai.html

8.一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構 発足(2014.10)

オープンデータ流通推進コンソーシアムが、2014年10月に一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構に移行され、法人の設立が承認されました。本機構は、データのオープンデータ公開を推進し、国・地方公共団体のデータと組み合わせてビッグデータとして利活用することによって、地方創生を推進するとともに、経済の活性化を行うための組織です。特に、新たに設置された「2020オープンデータシティ推進委員会」の取組みは、注目してみたいと思います。

関連URL:一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構
http://www.vled.or.jp/

9.世界のオープンデータ進捗度(Open Data Index)で日本は19位に(2014.12)

Open Knowledge Foundation は、「オープンデータインデックス2014」を公開し、日本は、97カ国中19位という評価となっており、27位と比べて順位をあげています。他の先進国と比べると、まだまだ遅れている部分も多く、2015年はさらなる飛躍が期待されるところです。

関連URL:Japan is ranked #19 in the 2014 Index(Open Knowledge Foundation)
http://index.okfn.org/place/japan/

10.Knowledge Connector(β版)開始(2014.11)

経産省とLinkData.orgを中心に、全国的に行われているオープンデータを活用したイベントの成果等を集約し、一元的に検索でき、アイディアやアプリを創出した人材とビジネスパートナーとのマッチングを支援するためのサイトが立ち上がっています。オープンデータを使ったビジネス展開がなかなか難しいと言われている中で、ビジネスマッチングによるビジネス創造が期待されるところです。

関連URL:Knowledge Connector(β版)
http://idea.linkdata.org/

(番外編)

オープンデータ超入門発刊(2014.3)

智場 特集 オープンデータ(国際大学GLOCOM)発刊 (2014.10)
「オープンデータを理解するための10のポイント」の章を担当させていただきました。

情報通信白書2015 
「第3章第2節オープンデータ活用の推進」の一部作成のお手伝いをさせていただきました。

Comment(0)