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SoftLayer CEO ランス・クロスビー氏とのミートアップに参加して

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日本IBMが、SoftLayer CEOであるランス・クロスビー氏の来日にともない、クラウドの動向に関心の高いCloud Influencerを十数名を招待したミートアップを開催し、私自身も参加してきました。

まず、ランス・クロスビー氏より、SoftLayerのアップデートについてです。

ランス・クロスビー氏のプロフィールです。弁護士の資格もとられているとのことです。

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WhatAppやNETFLICなどのSoftLayerを利用し、イノベーションを生み出した企業の事例を紹介しています。

SoftLayerの強みの一つとなるのが、ベアメタルサーバーで、シェア型のみしか提供しないAWSやAzureとの大きな差別化要因としています。中でもベアメタルサーバーはサービスの半分以上を占めているとのことです。

SoftLayerがIBMのグループに加わったことで、従来の13のデータセンターから40のデータセンターまで拡大をし、各データセンター間をグローバルのバックボーンを自前で接続し、グローバル拠点はすべて同じ仕様でマネジメントしています。ユーザはこのバックボーンを無料で利用できるということも大きなメリットの一つとなっています。

また、世界最大のDNSサーバを保有し、世界のアクティブドメインの25%を占めているとのことです。また、世界最大のDoS攻撃の経験もあり、サービスのセキュリティの高さも強調しています。

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東京データセンターも2014年12月中に提供することも紹介されました。物理サーバーを15000台から開始し、将来的には10万台にする目標を立てるなど、かなりアグレッシブな設定をしているという印象です。東京データセンターは現在一つの拠点ですが、3つのポッドに分けて冗長性を確保しているとのことです。

データセンターは、2005年にインテルのCEOと交渉し、サーバー等はSoftLayer用の仕様にし、Supermicro、QuantaやLenovoなどから大量調達しています。

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東京データセンターの提供と、15000台から始めて、将来は10万台とかなり高い目標としていることから、今後は様々な展開をし、業界に大きなインパクトを与えていくことは間違いないでしょう。

その後、1時間程度質疑応答の時間となり、なかなか書ききれませんが、かなり踏み込んだ情報交換がなされました。

ターゲットしている企業は、金融業界や製造、小売などの従来のエンタープライズ系企業から、ソーシャルゲームなどのB to C向けのアプローチにも力をいれています。特に、スタートアップ企業に対しては支援プログラムを用意し、12万ドルの無償のサービスを提供し、これまで多くのスタートアップ企業がSoftLayerのサービスを利用しイノベーションを生み出しています。

また、スタートアップ支援のほか、開発コミュニティやSIパートナーにも力をいれて、エコシステム力をいれていくことも強調していました。

AWSとの差別化については、EC2やS3の基本的なサービスはほぼ同じ料金体系を設定しつつ、ベアメタルサーバーの優位性を強調していました。AWSはコンシューマベースからサービスを展開している一方で、SoftLayerはB to Bの企業を中心とし、ベアメタルサーバーによる大規模案件への対応実績も紹介していました。IBMは、100年以上もユーザ企業との付き合いがあり、ユーザ企業を理解したトータルな提案ができる点も差別化要素となっています。

幸運にもランス・クロスビー氏と名刺交換をし、次に、クラウド事業者説明会に参加してきました。

本説明会では、SoftLayerの多くのパートナーが紹介されたほか、金融・ゲーム・ハイパフォーマンス・コンピューティングなど11の「業界業務プロファイル」を発表しています。

金融業界向けの業界業務プロファイルです。金融業界ではFISC対応など、業界特有の対応が必要となり、セキュリティを強化したプロファイルとなっています。

ハイパフォーマンス・コンピューティングでは、ベアメタルサーバーの性能をいかした構成になっています。

IaaSレイヤのサービスはコモディティ化し、サービスの内容や機能の差別化が難しくなり、一部では価格競争になっており、ここ数年で事業者の淘汰も指摘されています。そのため、各事業者は生き残りをかけて、様々な仕掛けをしてきています。

AWSの場合は、サービスのパーツを提供しパートナーがクラウドインテグレータとしてエンドユーザに提供するのに対して、IBMの場合は事業者自身が業種業態別のプロファイルをパートナーと一緒に用意することで、ユーザニーズにあわせた差別化や付加価値をつけた提案を強化していることが伺えました。

クラウド事業者自身がトータルでより多くの収益を確保していくためには、IBMのようなクラウドを核とした垂直統合型の業種業態にあわせたお客様志向の提案モデルが、一つの主流になっていく可能性は高いでしょう。

 

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