1杯のコーヒーから学ぶビジネス戦略
永井 孝尚さんの新著「戦略は1杯のコーヒーから学べ!」には、スターバックス、マクドナルド、セブンイレブン、ドトールコーヒーなど、1杯のコーヒーに隠されているさまざまなビジネス戦略をとりあげ、主人公のさくらが勤務する新町さくらが入社するドリーム・コーヒーは競合会社がひしめく中、自社らしさとは何か、自社が生き残るための戦略を、主人公が様々な出来事から学んでいく姿の中からわかりやすく解説されています。
ドトールコーヒー
ドトールコーヒーは、従来のフルーサービスの形態から、カウンターで注文を受付によるセルフサービス、最新の自動コーヒーマシンの導入、自動パン焼機の海外調達などにより、少人数でサービスできるよに徹底的な省力化を図ることで、常識破りの価格による価格競争力を高める戦略をとって成功をしています。
何かを加え、何を捨てるのかを明確にした戦略をとっています。
UCC上島珈琲
UCC上島珈琲は、これまでの喫茶店の顧客中心から、「どこでも飲める」という顧客の隠れたニーズを見つけ出し、缶コーヒーの開発に果敢に挑戦することで、8000億円の市場を新たに創造し、さらには1970年代にホット/コールド兼用の自販機を開発するなど、缶コーヒーの分野でライバルに差をつけています。
顧客のニーズに答えるのではなく、顧客もわからないニーズを引き出すことで新たな市場を創造するというのは、モノやサービスが成熟しつつある市場においては、新しい顧客を生み出すアプローチが重要となっています。
マクドナルド
マクドナルドのコーヒーは、「他の競合店と対抗するための商品ではない」と当時の原田泳幸CEOが名言しているように、人気のある高品質のコーヒーを100円で販売し、新しい顧客を集めて、来店頻度を高めることで、「金のなる木(キャッシュカウ)」のビッグマックの販売増につなげています。
スターバックス
スターバックスは、一時期低迷した成長と効率性を追求するのではなく、社員一人ひとりが「スタバらしさ」を考え続け、「第3の場所」というスタバの魅力を発揮していくために、店舗を半日休みにしてバリスタの研修、新しいコーヒーの開発、店舗でコーヒー豆を挽く方式に戻すといったように、価値向上への投資を惜しまずしてきた一方で、不採算店舗の閉鎖やITインフラの効率化などを進めていきました。
その結果、スターバックスらしさを取り戻して、再び成長軌道にのっています。
ネスレ
ネスレはコーヒーマシンの本体価格を安くして導入数を増やし、専用コーヒーのカートリッジの利益率の高い消耗品で設けるジレットモデルを展開しています。
セブンイレブン
セブンイレブンは、これまで店内でのコーヒーを5度目の正直で「セブンカフェ」を成功させています。セブンイレブンは幅広い顧客層にアピールするために「美味しく飲みやすい本格化コーヒー」を目指し、200社以上のコーヒーの味の分析によりコーヒー生豆の厳選し、新型コーヒーマシンの富士電機との共同開発、北海道での試行販売など、仮説検証を愚直に繰り返し、全国1万6000店舗へ展開し、大きな成果を生み出しています。
こういった競合がひしめく中、ドリーム・コーヒーは、製品の中核、製品の実体、製品の付随機能の製品設計の中で、自社らしさとはなにか、社会貢献やマーケティング3.0などを通じて、どのような成果につながっていったのか、本書の後半では、なるほどと感じる、ビジネス戦略を考えていく上でのさまざまな示唆を与えてくれます。