オープンクラウドのまとめ
2014年4月16日に開催された「Open Cloud Summit 2014」にてお話しをさせていただきました。その際の資料をベースに一部内容を加えてご紹介したいと思います。
オープンクラウドが使われるようになったのは、2009年3月30日にWebに公開された「オープンクラウド・マニフェスト(The Open Cloud Manifesto)」がベースとなっております、当時、IBMなど数十企業が参加を支持しました。
1.サービスにあたってはオープンスタンダードに準拠する
2.市場での地位を利用し独自プラットフォームに縛り付けない
3.標準規格を使用する
4.新たな規格の作成や変更には注意を払う
5.顧客ニーズを重視する
6.クラウドコンピューティング団体やコミュニティは協調を図る
オープンクラウド実現のための5つの要素として
1.オープンAPIを実装
2.オープンソースベースのクラウド基盤やプラットフォーム環境が開発コミュニティーにより共同で開発
3.オープンソースプロジェクトの豊富な運用経験を持つ組織や団体、人材による支援
4.ユーザー自身が、アプリケーションなどを複数のオープンなクラウド環境で利用
5.複数の事業者がサービスをアドオンできるオープンで全体の最適化が図られるアーキテクチャーと運用環境
があげられます。
オープンクラウドが進む背景として、以下のように、「利用ユーザ」「サービス/SI事業者」、そして「開発者」のそれぞれのメリットがあるからと考えられます。
オープンクラウドを実現するソフトウェアやプロジェクトとしては、IaaSレイヤでは、OpenStackやCloudStack、PaaSレイヤではCloud Foundry、Openshidtなどがあげられます。
オープンクラウド・アーキテクチャーをイメージベースでまとめたものが以下の図です。レイヤー横断でソフトウェアを統合的に管理するSDx(Software Defigned x)の動きが広がっています。
導入事例を見てみましょう。OpenSatackは海外では、RackSpaceやIBM、最近ではHP Helionなど、など多くの大手事業者が採用しています。日本では4月28日にNECがNEC Cloud IaaSを発表しています。
国内では、グリーやYahoo! Japan、楽天、サイバーエージェントなど、大規模なソーシャルゲーム基盤などに採用されています。
CloudStackの採用事例を見てみましょう。CloudStackは、NTTコミュニケーションズやIDCフロンティア、KDDIなどの事業者が採用しており、プライベートクラウドソリューションでは日立製作所、富士通、日商エレクトロニクス、ユニアデックスなどが提供しています。
PaaSレイヤでは、マルチ言語、マルチデータベースに対応したCloud Foundryの採用が進んでいます。2014年2月には、EMC,IBM,HP,SAP,Rackspace,VmwareによるCloud Foundry Foundationを設立しています。
利用事例では、IBM BlueMix ベータ版(SoftLayer基盤)、NTTコム Bizホスティング Cloudn PaaS、楽天プライベートPaaSなどがあげられます。
2012年のオープンソースソフトウェアのエコシステム市場規模は6751億6200万円、2017年には1兆962億円と予測しています。その背景には、OpenStackやCloudStackといったオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアの台頭があげられています。
オープンソースを活用したパブリッククラウドとプライベートクラウドの構築は、2015年頃から2015年頃から本格的に普及するとしています。
最後にまとめですが、
- オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアの普及によるIaaSレイヤーのオープン化とコモディティ化
- 幅広いレイヤーや事業領域をカバーするオープンなクラウドエコシステムを形成する動きが加速
- オープンクラウドの動きは、2015年頃から本格普及
2014年は、各社がOpenStackを採用したサービスや戦略、エコシステムなどを強化しており、2015年からの本格的な動きが注目されるところです。