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地方公共団体における情報システムの現況と自治体クラウド加速化のための予算について

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総務省は2014年1月29日、第4回「電子自治体の取組みを加速するための検討会」を開催し、自治体クラウドに対する地方財政措置の拡充と地方公共団体における情報システムの状況調査等についての検討を行っています。

総務省のこれまでの自治体クラウドに関する実証事業や調査研究は以下のとおりとなっています。

「自治体クラウド開発実証事業」 (平成21~22年度)
 地方公共団体におけるASP・SaaS導入 活用ガイドライン (平成22年度)
 自治体クラウドの導入に関する調査研究 (平成23年度)
 自治体クラウドの情報セキュリティ対策等 に関する調査研究報告書 (平成24年度)

総務省では、自治体クラウドの推進に向けて、H23年度からの特別交付税として平成23年度から情報システムの集約と共同利用 (共同化計画策定等の経費) や住民データのクラウド移行 (データ移行経費) を実施しています。

また、H26年度~H28年度限定で、番号制度の導入を契機とした自治体クラウド導入の取組を加速するために、自治体クラウド導入支援コンサルタントや 自治体クラウド導入後の実務処理研修などの支援策を拡充しています。

平成26年度の予算案では、自治体クラウドの取組の加速に向けた調査研究に34百万円を計上し、平成25年度比70%増額しています。本調査研究では、自治体クラウドに取り組む地方公共団体に対する フォローアップを通じ、適宜助言などを行うための調査研究を実施するとしています。また、情報化についての目標管理(PD CA、コスト削減等)、情報化職員に関する人材育成、 オープンガバメント化に向けたセキュリティ対策等についても調査を行うとしています。

総務省が実施した「地方公共団体における情報システムの状況調査」では、平成26年の調査では庁内に設置したオープン系システムが55%と半分以上を超え、自治体クラウドが13%、単独クラウドが11%、外部データセンター設置が11%、ハードウェアのクラウド化(IaaS)が6%となっています。

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出所:地方公共団体における情報システムの状況調査 2014.1

次期更新時のシステム形態の予定は、自治体クラウドが33%、単独クラウドが17%、ハードウェアのクラウド化(IaaS)が11%と、クラウドの採用が半分以上を超えていることがわかります。

自治体クラウドの検討状況では、「未検討であり、今後も検討を行う予定がない」が31.1%ともっとも多く、30.9%の「未検討だが、今後検討を行う」が続いています。

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出所:地方公共団体における情報システムの状況調査 2014.1

導入予定団体の大半は番号制度の導入に併せて自治体クラウドの導入を予定しており、効率的な自治体クラウド移行に向けては番号制度の導入がひとつの契機となるでしょう。

全市区町村の全庁情報システム関係予算は毎年減少傾向にあり、効率的な行政システムの運営には、番号制度の導入に伴う、自治体クラウドなどの導入が重要となっていくでしょう。

一方、既存システムからの移行の難易度や、人材育成など、様々な課題も山積しており、平成26年度予算の「自治体クラウドの取組の加速に向けた調査研究」などにより、どこまで加速にはずみがつくか、今後の動向が注目されるところです。

 

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