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なぜ今、オープンデータなのか?

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今、国内外の様々なメディアで取り上げられ、オープンデータの取り組みが国内外で注目を集めています。

オープンデータとは、公共性の高い情報を、自由に編集・加工などができるように、オープンライセンスで提供されるデータです。

では、なぜ、今、オープンデータが注目されているのでしょうか?

政治的(P=political)、経済的(E=economic)、社会的(S=social)、技術的(T=tchnological)のPEST分析の視点から整理をしていきたいと思います。

政治的環境要因(P=political)

世界各国の政府では、開かれた政府「オープンガバメント」を推進しており、オープンデータはこのオープンガバメントの取り組みの一つとなるデータの民主化の動きとなります。オバマ政権ではオープンデータ推進の代表的な取り組みとして2009年5月に統計データなどのデータを公開する「Data.gov(データ・ドット・カバメント)」を開始しています。

政府や自治体などの行政機関は、オープンデータとしてデータを公開することで、行政の見える化が強化され、国民や市民からのチェック体制が強化されることで、行政におけるプロセスの改善や効率化、さらには、行政効率の向上にもつながっていくことが期待されています。

経済的環境要因(E=economic)

民間事業者にとっては、膨大なデータ取得にかかるプロセスにリソースを割く必要がなくなり、民間事業者では網羅できないさまざまなオープンデータを活用することで、自社のコアコンピタンスを活かしデータを活用した付加価値の高いアプリケーションやサービスの創造にフォーカスできるなど、イノベーションを生み出しやすい環境を生み出していくことが期待されています。

オープンデータにより、これまでリソースをかけてデータを取得して販売するビジネスモデルは変化が求められるように、データ活用によるデータドリブンの付加価値創造のビジネスモデルが一つの競争軸となっていくでしょう。

特にオープンデータは、統計データなど消費者に関わるデータが多く、これらのデータを活用したサービスが提供されるようになれば、消費者の利便性向上にもつながることが期待されます。

社会的環境要因(S=social)

オープンデータ活用による行政の透明化やイノベーション創出は、結果的に社会全体の効率化が期待されています。たとえば、予算の支出状況の可視化するサイトを開設することで、国民のチェックを促し無駄な支出を削減にもつながります。また、有益なデータをオープンにシェアし、各々がデータを活用した付加価値の高いアプリやサービスを提供し、社会全体の効率化や利便性向上にもつながるでしょう。

オープンデータへの取り組みは、世界各国の政府や自治体が積極的に取り組みが進められています。各国における課題をデータによる可視化して議論をすることで、客観的なデータ指標による地球規模全体で課題解決に取り組む動きが拡がっていくでしょう。

また、Code for AmericaやCode for Japanに代表されるように、地域の課題を解決するために市民がサービスを開発するシビックハックの取り組みが世界や日本各地で広がりをみせており、市民と行政との新しい協働づくりの場が形成されつつあります。

民間企業の中にも自社が保有するデータを公開しようという動きが出ています。政府や自治体が提供するオープンデータと、民間企業の膨大なデータがオープンデータとして公開され、データをマッシュアップして活用されるようになれば、社会全体の効率化や問題解決、経済活性化などさまざまな波及効果が期待されます。

技術的環境要因(T=tchnological)

最後に、技術的な視点ですが、インターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータに代表されるように、データにアクセスしデータを活用するためのIT環境が整ってきているのも要因の一つとしてあるでしょう。

以上のように、様々な環境要因が重なり、オープンデータ活用のための環境が整いつつあるといえます。2014年は、そういった意味でオープンデータを中心とした、新たなアプローチが注目されてく年になるでしょう。

 

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