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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

2013年クラウドビジネスまとめ

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2013年は、本格的に企業のクラウドの導入が進んだ年でした。

MM総研は2013年8月28日、「国内クラウドサービスの市場規模・予測と需要動向に関する調査」を発表しました。国内クラウド市場は急成長しつつあり、12年度のクラウドサービス市場全体の5,102億円から2017年度には市場規模が2兆円に達すると予測しています。

新規システム導入時にクラウドの活用を優先的に検討する法人ユーザーは、7割に達するという調査結果となり、日本においても「クラウドファースト」の浸透が顕著となっています(関連記事)。

クラウドビジネスをリードするAWS

パブリッククラウドにおけるIaaS市場は、AWS(Amazon Web Services)のクラウドサービスがマーケットリーダーとして市場を牽引しています。

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http://aws.amazon.com/jp/

調査会社の米ガートナーが2013年8月21日に発表したパブリッククラウド事業者を対象とするリポート:「The 2013 Cloud IaaS Magic Quadrant」によると、AWSは「リーダー」のポジションに位置付けられており、年々他のプレイヤーとの差を広げ、パブリッククラウドサービス市場を牽引しています。

AWSはこれまで、多くの機能向上とサービスを提供し、多くの新サービスとアップデートを発表、過去7年間で頻繁な値下げを実施するなど、顧客からのフィードバックや規模の拡大により持続的なイノベーションを生み出しています。

AWSが、重点を置いているのが、クラウドエコシステムです。AWSのクラウドビジネスの展開においては、自社のサービスの拡充を図ると共に、独自APIを提供し、コミュニティーなどを通じて多種多様のサードパーティを取り込み、独自のクラウドエコシステムを強力に展開しています。

日本においては、40以上の全国各地に拡大するAWSのユーザーコミュニティ「AWS User Group Japan(略称JAWS-UG)」などによるコミュニティー戦略でユーザーのすそ野を広げるとともに、ビジネスパートナー企業となるAWSソリューションプロバイダーに力をいれ、エンタープライズ向けへの販路の拡大を図っています。

2013年11月には、エンタープライズのお客様に限定したクローズドなコミュニティ「Enterprise JAWS-UG (E-JAWS)」も発足しています(関連記事)。

AWSは、AWSソリューションプロバイダーを重要なエコシステムを支えるプロバイダーと位置づけ、国内では、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)やシステムインテグレーター(SI)およびAWS Direct Connect サービス(専用線接続サービス)をサポートするAWS Direct Connect ソリューションプロバイダー、AWS グローバルストラテジックパートナーなど数百社社規模の事業者が参加しています。

野村総研や日立製作所、CTCなどの大手SIベンダがAWSを組み合わせてソリューションを提案するいわゆるCI(クラウド・インテグレーター)が定着しつつあるのも一つの大きな流れの一つといえます。

AWSでは国内の利用ユーザが2万を超えたことを明らかにしており、2014年もAWSがクラウドビジネス市場を引き続きリードすることになるでしょう。

マイクロソフトはAzureのIaaSレイヤの展開と国内リージョンも提供予定

マイクロソフトが提供するWindows Azureは、これまではアプリケーションを実行するプラットフォームを提供するPaaS(Platform as a Service)を中心にサービスを提供していましたが、Linuxを含むオープンソースをサポートするIaaSサービスをWindows Azureのランナップに加えることでサービスの拡充を図っています。

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http://www.windowsazure.com/ja-jp/

マイクロソフトでは、クラウドOSビジョンを掲げ、オンプレミス用クラウド基盤となるHyper-V/Windows Server/System Centerを中心としたソフトウェアや、Windows Azure、パートナーが提供するWindows Serverを基盤としたパブリッククラウドを3つの重要な要素として位置づけています。

日本マイクロソフトは、2014年前半にも東日本と西日本の2つの国内リージョンからAzureを提供することを予定しており、国内リージョン提供を契機に、2014年は国内でのシェアを拡大させていくことが予想されます。

日本マイクロソフトは2013年2月27日に、「Office 365」のサービスの提供を開始しており、2014年はActive Directoryとの連携など、企業におけるOffice利用のクラウド化が加速していくと予想されます。

グーグルはIaaS「Google Compute Engine」の一般提供を開始

米グーグルもクラウドサービスで追い上げを見せています。2013年12月2日、グーグルが提供するIaaSレイヤのパブリッククラウドサービス「Google Compute Engine」の一般提供を開始しました。

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https://cloud.google.com/products/compute-engine/

一般提供開始に伴い、対応OSの拡張や16コアインスタンスの追加、仮想サーバーの値下げや99.95%のサービス品質保証制度(SLA)と、24時間サポートなど機能の充実を図っています。

グーグルは、SaaSレイヤのGoogle Apps for Businessや、PaaSレイヤのGoogle App Engineなどの知名度が高いですが、2014年はグーグルのIaaSレイヤの「Google Compute Engine」も注目度が高まっていくことになるでしょう。

IBMのオープンクラウド戦略とSoftLayerの買収と日本への展開

IBMは2013年3月、IBMのクラウドソリューション「IBM SmarterCloud」をクラウドの仕様や規格にオープンスタンダードを採用した「オープンクラウドアーキテクチャ」ベースで構築する「オープンクラウド戦略」を発表しました。

また、IBMでは、ソフトウェアによって構成を自動化する環境を実現する「Software Defined Environment(SDE)」のコンセプトも発表しています。

IBMはIaaSレイヤのオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアのOpenStackやPaaSレイヤのオープンソースの基盤ソフトウェアのCloud Foundryなどオープンソースを積極的に採用していくことを明らかにしています。

IBMは6月4日には、パブリッククラウドサービスを提供する事業者の大手であるSoftLayer Technologiesの買収を発表し、買収を完了させています。

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http://www.softlayer.com/

すでに日本国内においてもマーケティングなどに力を入れ始めており、ベアメタルサーバーなどSoftLayerの強みを活かしたサービスが国内にも浸透するようになれば、2014年は国内においても台風の目になっていく可能性はあるでしょう。

OpenStackを採用するクラウド事業者の台頭

AWSやマイクロソフトなどが独自のクラウドエコシステムを展開する中で、オープンソースを採用しオープンなクラウド環境を構築し、エコシステムを形成する動きも活発化しています。

その代表的なオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアのOpenStackです。

OpenStackプロジェクトは、Rackspace 、Red Hat、HP、インテル、AMD、NTT、NTTデータなどが参加し、2013年12月現在で132カ国で1万3000人以上が参加しています。

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http://www.openstack.org/

OpenStackを採用するクラウド事業者も増加傾向にあります。いくつか取り組みをご紹介しましょう。

(Red Hat)

Red Hatは「Red Hat OpenStack」を採用した「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」とOpenStackベースのクラウドシステムへの移行をサポートするソリューション「Red Hat Cloud Infrastructure」を提供しています。

PaaS型のクラウドサービスでJava、Ruby、PHP、Python、Node.js、Perlのマルチ言語と、MySQL、MongoDB、PostgreSQLの複数のデータベースをサポートしており「OpenShift Online」も商用サービスとして北米と欧州向けの提供を発表しています。

2013年12月20日には、商用サービスに対応した「OpenStack」の商用サポート版「OpenStack Platform 4.0」をリリースしています。

Red Hatは、Linuxと同様にOpenStackやOpenShiftなどのオープンソースをにエンタープライズユーザー向けに安定性や信頼性を強化しています。

HPは、2011年にオンプレミスとクラウド環境を共通化されたオープンプラットフォームで統合化する「HP Converged Cloud」構想を発表し、OpenStackをベースとするHP Cloud OSを展開しています。

HPは、2012年5月、OpenStackを採用したパブリッククラウド「HP Cloud Services」のPublic Beta開始し、プライベートクラウド「HP CloudSystem」の基盤にもOpenStackを採用し、12月はじめには提供を開始しています。

(Rackspace)

Rackspaceは2012年8月1日、OpenStackを採用したパブリッククラウドサービス「Rackspace Open Cloud」を正式開始の発表をしました。

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http://www.rackspace.com/open-cloud/

「Cloud Servers」はOpenStackのCompute(Nova)のコンポーネントを利用したIaaSで、ストレージサービス「Cloud Files」の提供は、OpenStackのObject Storage(Swift)を採用しています。Rackspaceの商用サービスの提供は、OpenStackを採用した初の大規模なパブルッククラウドサービスとなります。

451 Research による最新のレポートによると、OpenStack 関連市場は2013年に6億ドルのビジネスに成長し、2015年には、OpenStack 市場の規模は、10億ドルを超えと予測しています(関連記事)。

2014年は、国内でもOpenStackを採用したクラウドサービスがいくつか登場することが予想され、OpenStackというクラウドOSを採用したクラウドサービスや関連するクラウドビジネスも拡大していくことでしょう。

国内ではCloudStackを採用する事業者が拡大

CloudStackはすでに韓国の最大の固定電話・携帯通信サービス事業者コリアテレコム(KT)や世界最大級のソーシャルゲーム会社のZyngaなど全世界で130社を超える規模でIaaSの構築が行われており、中でもその半数がパブリッククラウドサービスとして提供されています。

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http://cloudstack.apache.org/

日本国内のパブリッククラウドサービスの導入事例では、NTTコミュニケーションズの「Bizホスティング Cloudn(クラウド・エヌ)」、IDCフロンティアの「IDCFクラウドサービス」、KDDIの「KDDI クラウドプラットフォームサービス」、SCSKの「netXCloud」などがあります。

また、CloudStackを利用したソリューションでは、SCSKのプライベートクラウドアプライアンス「Cloud System ENABLER」のほか、ユニアデックスの「U-Cloud クラウド環境構築サービス」や日商エレクトロニクスの「Nissho-Blocks」、日立製作所の「日立クラウド基盤導入ソリューションPowered by Apache CloudStack」、クリエーションラインなどが多くのSIベンダなどが採用しています。

大学では2000台のインスタンスが同時に稼動可能で国内の大学では最大級のプライベートクラウド環境を構築している北海道大学、そして、九州大学や北陸先端科学技術大学院大学など、アカデミッククラウドの基盤としてCloudStackを採用する動きが広がりを見せています。

国内事業者も独自色でクラウドビジネスを展開

国内のクラウド事業者の動きも見てみましょう。さくらのクラウドが仮想サーバの組み合わせの自由度とコストパフォーマンスなどを強みにユーザを拡大させています。

ニフティクラウドはRDBやDNSなどのIaaSレイヤの機能やコントロールパネルの充実をさせるとともに、BaaSのサービスの展開し上位レイヤサービスによる差別化を図っています。ニフティはECサイトなどの基盤での実績が豊富です。ニフティは、ハコクラという中小企業など向けのパッケージ商品を展開しています。

IDCフロンティアは、CloudStackを採用したパブリッククラウドとプライベートクラウドを展開するとともに、モバイルオンラインゲームなどゲーム分野への事業展開の強化を図っています。

「BIGLOBEクラウドホスティング」を提供するビッグローブは親会社のNECが売却を予定しており、買収先の戦略によってクラウドビジネスの方向性も大きく変わってくるでしょう。

IIJは、ソーシャルゲームへの展開のほか、中国やヨーロッパなどグローバルビジネスへの展開を強化しています。

NTTコミュニケーションズは、エンタープライズ向けの「Bizホスティング Enterprise Cloud」とパブリッククラウドサービスの「Bizホスティング Cloudn」を提供しています。「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、世界8カ国に拠点を展開しており、製造業を始めとしたグローバルユーザへの展開を加速させています。「Bizホスティング Cloudn」は、低価格な料金体系に加えて、RDBやObject Storage、PaaS、DNSなど、豊富な機能を提供しています。

945円から全部入りパブリッククラウド
http://www.ntt.com/cloudn/

PaaS事業者も勢揃い

2013年はPaaSレイヤのビジネスも立ち上がった時期になりました。セールスフォース・ドットコムが提供するForce.comやHeroku、Engine Yardなどの海外勢のほか、ニフティクラウドが提供するニフティクラウド C4SA、NTTコミュニケーションズが提供するオープンソースのCloud Foundryを採用した「Cloudn PaaS」などがPaaSレイヤのクラウドサービスを提供しています。

IIJはβ版で提供していた「IIJGIO MOGOK」を2013年12月10日に正式提供開始をしており、国内のPaaS事業者も一段落しています(関連記事)。

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http://mogok.jp/

PaaSの導入実績では、「Cloudn PaaS」が2013年3月にNTTデータイントラマートのエンタープライズ向けのクラウドサービス「Accel-Mart」の基盤に採用されるなど、エンタープライズでの採用も広がりを見せています(関連記事)。

複数の事業者を扱うクラウドブローカーの展開

複数のクラウド事業者を組み合わせてクラウドビジネスを展開する事業者も出てきています。

米デルは2013年12月12日、米レッドハットのOpenStackディストリビューションのOEM提供や、米マイクロソフトのWindows Azure、米グーグルのGoogle Cloud Platformの提供について発表しました。

米デルは、プライベートクラウドについては将来に向けてOpenStackを採用しますが、パブリッククラウドでは主要なクラウドサービス事業者と幅広く連携し、デルが提供するクラウド管理ツール「Dell Cloud Manager」で複数の統合管理できる環境を提供していきます。

NTTデータは、複数クラウド基盤の統合管理・運用をサポートする「クラウドブローカーサービス」の提供を開始しています。「クラウドブローカーサービス」の「マルチクラウドインフラ提供サービス」では、NTTコミュニケーションズが提供するパブリッククラウド「Bizホスティング Cloudn」に対応した「BizXaaS プラットフォームサービス Flex」とAWSに対応した「BizXaaS プラットフォームサービス Flex-A」を提供しています(関連記事)。

【図】
http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2013/100800.html

エンタープライズやビッグデータ、オープンデータの領域へ拡大

2012年まではクラウドの活用基盤はECサイトやWebサイト、ソーシャルゲームなどの開発運用基盤が中心でしたが、2013年に入ってからエンタープライズへの採用が加速しています。

ケンコーコムのSAP on AWSに代表されるようにERPパッケージのSAPをクラウド基盤で採用する事例も出てきました(関連記事)。

また、ヤマハ発動機は700台規模の物理サーバーにある基幹システムをNTTコミュニケーションズの「Bizホスティング Enterprise Cloud」にグローバル規模で移行する計画を発表しているように、基幹系のシステムをグローバルにクラウドに移行するケースも出てきています(関連記事)。

(別紙)クラウド移行完了後のシステム構成イメージ
http://www.ntt.com/release/monthNEWS/detail/20131009.html

ビッグデータ基盤や、統計データの分析やサービス開発基盤としてクラウドを採用するケースも増えています。

たとえば、スシローの店舗オペレーションの改善やデータ分析基盤にAWSを採用しています(関連記事)。

オープンデータでは、クラウドテストベッドコンソーシアムにて、統計センターが提供する統計データの「e-Stat」の開発基盤としてNTTコミュニケーションズのパブリッククラウド「Cloudn」が約80社に採用されています(関連記事)。

2014年は、エンタープライズの領域、特に金融分野などへの導入が進んでいくことが予想されます。また、政府や自治体、医療や教育など公共分野やスマートシティ、IOTやM2Mなどの社会基盤としてのクラウドの採用も加速していくことになるでしょう。

エバンジェリストの存在感

コミュニティーやビジネスパートナーにおいての重要な役割を担うエバンジェリスト(Evangelist)の存在も大きな1年でした。

エバンジェリストは、技術やサービスに精通したエンジニアや開発者が多く、正式な職位として採用する企業も外資を中心に増えています。

アマゾン データサービスジャパンでは、玉川 憲氏、堀内 康弘氏の2名がエバンジェリストとして活躍しています。

マイクロソフトでは、テクニカルエバンジェリスト、エバンジェリストマネージャの採用募集もしています(関連URL)。

日本のクラウド事業者でもIDCフロンティアやGMOクラウドなど、肩書にエバンジェリストを使うケースも増えています。

エバンジェリストがコミュニティーへの影響力を強め、さらには自社のクラウドサービスの認知度向上に大きく寄与しおり、2014年はエバンジェリストの役割はさらに大きくなるでしょう。

2014年はクラウド事業者の淘汰が進む!?

2013年は多くのSI事業者がAWSなどのクラウド事業者を組みあせて提案・構築する機会が増えてきました。一方で、SI事業者など一部の事業者が提供するパブリッククラウドの利用ユーザ数は頭打ちとなっており、事業継続にあたっての収支を考えていく時期にきている事業者も出てきているのではと想定されます。

2014年は、AWSをはじめとしたクラウド事業者がユーザ数を拡大する中で、撤退を余儀なくされるサービスや事業者も出てくると予想されます。

また、一社の企業ユーザに複数のCI事業者がAWSの組み合わせを提案するといったように、CI(クラウド・インテグレーター)同士での競合も加熱していくことが予想されます。クラウドサービスに加えて、複数の事業者を組み合わせてハイブリッドを提供するなど、より差別化したサービスやソリューションを提供していく必要性も出てくるでしょう。

 

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