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ビッグデータのバリューチェーンにおける3つのカテゴリ。「データ・ニンジャ」や「データ仲介事業者」の存在も。

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ビッグデータビジネスにおいては、バリューチェーンを構築し、事業への効果や収益への貢献が必要となります。

書籍「最強のビッグデータ戦略」においては、バリューチェーン構築にあたって「データ保有者」「データスペシャリスト企業」、そして、「ビッグデータ思考の企業や個人」の3つのカテゴリに分けて整理をしています。

第1のカテゴリ:データ保有者

第1のカテゴリのデータ保有者は、たとえば、JR東日本のSuicaデータ、NTTドコモなどの携帯事業者などが保有するGPSデータ、自動車メーカなどが保有するプローブデータなどがあげられます。

本書では、銀行や加盟店を抱えるカード会社は、取引の詳細データを活かして消費者行動の分析や行動予測をビジネスとして展開している事例を紹介しています。

カード会社のビジネスモデルは、決済処理をする事業者からデータ収集へ軸足をシフトさせ、ビジネスと消費者トレンドの予測情報を外部に販売し、収益をあげるビジネス構造が成り立つことになります。事例としてマスターカードの取り組みが紹介されています。

カード会社はデータのバリューチェーンの仲介事業者としてデータ収集と価値を享受でき、将来は決済収入よりもデータを軸にした分析情報の販売収入が事業の大きな利益になることも期待されます。

第2のカテゴリ:データスペシャリスト企業

データスペシャリスト企業とは、複雑な分析を実施するノウハウや技術のある企業を指します。データ保有企業の多くは、データスペシャリスト企業に委託することで、分析などを通じてデータの価値を見出すことができます。米国では魔法使いのようなその見事なテクニックから「データ・ニンジャ」と呼ばれることもあるようです。

第3のカテゴリ:ビッグデータ思考の企業や個人

ビッグデータでもっとも多くの価値を手にすることができる可能性があるのが、ビッグデータ思考の企業や個人をあげています。

この3つのカテゴリに加えて、データ仲介事業者の存在をあげています。複数の情報源からデータを収集・集約して画期的な用途を生み出すことができるようになります。

ビッグデータを軸としたサプライチェーンモデルやエコシステムは、複数の事業者がそれぞれの強みを活かしてWin-Win関係を構築することで、ビジネスとして発展する可能性を秘めています。

一方で、データのガバナンスにおいても注意が必要であり、たとえば、価値のなくなったデータを、有効性などにスコアをつけたりなどをしてデータを処分するといった「データの減価償却」の必要性も示しています。

データサプライチェーンのカテゴリにおいて、自社がどの立ち位置に立ち、ビジネスとしての価値を生み出していくのか、ビッグデータビジネスがまだまだ黎明期にあると考えると、この辺のアプローチは重要になっていくでしょう。

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