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Platform as a Service(PaaS)のアプリ実行の用途はモバイル、eコマースで6割超。PaaSの市場は?

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ここ数年、さまざまな事業者からIaaSレイヤのクラウドサービスが提供され、価格競争による低価格化と機能の充実により、コモディティ化が急速に進んでいます。

IaaSレイヤでは市場をリードするAmazon Web Services、そして、OpenStack、CloudSackといったオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを採用する事業者が増え、IaaSは汎用的なITインフラストラクチャとなりつつあります。

IaaSレイヤーでのサービスの差別化が難しくなりサービスの淘汰も進んでいくと思われ、今後のクラウドサービスの主戦場は、PaaSレイヤーに一部シフトしていくと予想されます。

PaaSは、アプリケーションの実行や運用環境をサービスとして提供するクラウドサービスで、IaaSと比べて、サーバ、ネットワーク、セキュリティの知識が不要で、構築や管理が容易でSaaSとくらべてアプリケーションのカスタマイズの自由度の高いことが特徴です。クラウドサービスの利用者の拡大とともに、PaaSを利用する企業や開発者などは増えていくでしょう。

The State of PaaS 2013

Engine Yardは、調査会社「IT Business Edge」に依頼し、2013年7月4日に公開された「The State of PaaS 2013」で2013年のPlatform as a Service(PaaS)の市場調査をまとめ、2013年10月3日に日本語版ダイジェスト版を公開しています。

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出所:The State of PaaS 2013 Engine Yard 2013.7.4

アンケートの回答者は、システム管理者が31%を占め、技術管理者、アプリケーション開発者、CIO、CEOが続いています。会社の規模では、60%以上が従業員500名以下の企業に所属しています。国の対象が示されていませんが、おそらく北米が中心と推測されます。

Java、JavaScript、.NET、PHPが高い数値に

アプリケーション開発において利用する言語は、最も利用率が高いのがJavaとなっており、続いてJavaScript、.NET、PHPが続いており、この4つの言語が多数を占めています。Rubyが思いの外、低いという印象です。おそらく日本においてはもう少し高い利用率となっているでしょう。

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出所:The State of PaaS 2013 Engine Yard 2013.7.4

PaaSの利用率は3割を超える

回答者の30%がPaaSソリューションをすでに導入済みであり、13%が
今後12カ月に導入を予定しています。日本と比べると、PaaSの導入率は高いという印象です。

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出所:The State of PaaS 2013 Engine Yard 2013.7.4

モバイルとeコマースで6割を超える

アプリケーション実行の用途(予定含む)ですが、モバイルが38%となっており、eコマースが24%、ソーシャル(14%)、ゲーム(13%)と続いています。

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出所:The State of PaaS 2013 Engine Yard 2013.7.4

スマートフォンやタブレットは今後も利用者は拡大傾向にあり、モバイルの比率はさらに高まっていくでしょう。利用用途はコンシューマ向けのサービスで、B to B Cの利用が多く、しばらくはこの利用用途が多数を占めると思われますが、次第にエンタープライズPaaSへと利用も拡大していくと推測されます。

利用メリットはアプリケーションをより早く市場に投入

PaaSのを使用するメリットについては、「市場に速くアプリケーションを提供すること」、 「チームの専門知識を増大させること」、「アプリケーションの革新のためのより多くの時間使うこと」がそれぞれ75%を占めています。

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出所:The State of PaaS 2013 Engine Yard 2013.7.4

PaaS環境を利用することで、アプリケーションの開発時間を確保し開発効率を高め専門性を高めるといったメリットがあるでしょう。

日本でもPaaSの採用が加速する

このアンケートを見る限り、日本よりも海外のほうがPaaSの利用が進んでいるという印象です。日本においては、スマートフォン向けのアプリや、ソーシャルゲームやECサイトなどは非常に提供が増えている一方で、開発者やエンジニアなどの不足が指摘されています。

また、大手のソーシャルゲームで人員削減が発表されたように、より開発の効率性がさらに求められるようになるでしょう。

こういった状況の中、海外と同様の流れが日本にも進み、モバイルやeコマース、さらには日本が得意とされるソーシャルゲームなどの開発基盤にも利用が進んでいくと考えています。

 

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