観光庁の全国8地域から観光客のGPSデータ収集による観光行動の調査分析について
観光庁は2013年10月17日、全地球測位システム(GPS)からの許諾を得て蓄積される「位置情報」(個人情報は一切含まれない統計的なデータ)を活用し、観光地における来訪者の行動・動態について調査・分析し、その結果を地域の取組に反映するための手法の構築を目的とした「GPSを利用した観光行動の調査分析に関するワーキンググループ」を開催しました。
観光庁が本ワーキンググループを設置し、取り組みを進める背景には、国内外から選好される魅力ある観光地をつくっていくためには、GPSから観光客の行動データを分析・収集し、新たな観光ルートやスポットの発掘に活かすといった取り組みをすることが重要としています。
出所:GPSを利用した観光行動の調査分析に関するワーキンググループ
現状での課題は、これまでの調査票による調査では観光客の行動や動態が把握できず、また、GPSなどを利用した観光客の行動・動態における調査・分析手法が確立されていない点をあげています。
この課題を解決するため、携帯電話会社が利用者の承諾を得た上で、GPSの5分ごとの行動履歴をサーバーに収集し、個人情報が一切含まれない統計データとなる「位置情報」を収集します。このデータから地域振興に役立てるために、観光客の行動・動態のデータベースを作成し、観光地の出発地域や、鉄道や道路などの交通手段、旅行時期、滞在期間、宿泊の有無や動線などをデータベース化します。
このデータベースを地図情報サービス会社や民間シンクタンクに提供し、多種分散型観光地域、滞在交流型観光地域、通過型観光地域、一極集中型観光地域といったように観光地域の位置づけを確認し、観光行動動態の見える化、観光圏間の比較などを行います。
そして、分析データ結果を自治体や旅行会社などに情報提供することで、たとえば、横浜市から多くの人が富士山エリアに訪れることが分析結果から把握できれば、横浜で富士山への観光キャンペーンを行うことが有効といったような対応が導き出せるとしています。
対象地域は、福島県全域および富士山エリアの平成25年度のGPSデータと、平成24年度の1月から12月に収集した「富良野・美瑛観光圏」「八ヶ岳観光圏」「雪国観光圏」「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」「「海風の国」佐世保・小値賀観光圏」「阿蘇くじゅう観光圏」の観光圏6地域のGPSデータで約70万人分となります。
本事業を通じて、2014年度3月までに調査手法の検討と分析手法を確立し、将来はデータ活用の対象地域を拡大し、観光振興につなげていく予定です。