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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

ガートナ「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年」と「2014年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」におけるクラウドコンピューティング

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調査会社のガートナー ジャパンは2013年10月16日、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年」を公表し、日本における2013年以降に企業のIT戦略に大きな影響を及ぼす36個のテクノロジと関連キーワードを選定し、トレンドを示しています。


出所:日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年、ガートナージャパン

ハイプ・サイクルからは、ビッグデータや3Dプリンティングなどが「過度なピークの期待期」に入っているのに対して、クラウドコンピューティングは昨年に続き「幻滅期」に入っています。

ビッグデータは、「過度なピークの期待期」の中で、テレビや新聞、雑誌など様々な一般メディアに紹介されるようになり、経営者からデータサイエンティストまで大きなトレンドになっているものの、ビッグデータの活用領域が多岐に渡るため、各企業のどのようなビジネス課題において、意思決定などの改善に役立つのか、探索の必要性を示しています。

一方、クラウドコンピューティングは、「幻滅期」に入っているものの、議論や実践よりも足についたものとなっており、各プレイヤーの戦略の見直しが進むとともに、Nexus of Forcesを構成する重要なテクノロジと考え方であることに変わりがないと指摘しています。クラウドコンピューティングは、コスト削減のみならず、新たなビジネスの成長と革新の契機としても捉えるべきとしており、クラウドコンピューティングはビジネスの成長エンジンとしての期待が高まってきているともいえます。

ガートナーは2013年10月15日、2014年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表しました。

・モバイル・デバイスの多様化とマネジメント
・モバイル・アプリと従来型アプリケーション
・「すべて」のインターネット (Internet of Everything)
・ハイブリッド・クラウドとサービス・ブローカーとしてのIT
・クラウド/クライアント・アーキテクチャ
・パーソナル・クラウドの時代
・ソフトウェア定義 (SDx: Software Defined Anything)
・WebスケールIT
・スマート・マシン
・3Dプリンティング

注目すべきところは、10のテクノロジ・トレンドのうち、3つがクラウドというキーワードが含まれているという点です。その他のトレンドもクラウドなくして成立しにくいものが多数を占めています。ビッグデータが含まれていないのが、意外でした。

ハイブリッド・クラウドとサービス・ブローカーとしてのITでは、

各企業は、複数のクラウドを導入するようになり、クラウド環境と統合して相互に連携して利用するためのハイブリッドクラウド環境が求められています。

これらのハイブリッドクラウドの実現にあたって、サービスの管理は、サービスの集約、統合、カスタマイズを行うクラウド・サービス・ブローカー (CSB)の存在が注目されており、必要なときにダイナミックに連携、バーストし、ポータルから一括管理と運用の自動化ができるような環境が求められるようになっていくとしています。

ハイブリッド・クラウドの効率的な運用が進めば、「運用担当者、激減中」の記事にもあるように、運用担当者を削減でき、開発などのよりコアな事業に人員をシフトしていけるようになるでしょう。

クラウド/クライアント・アーキテクチャでは、モバイルにシフトし、デバイスがインテリジェント化する中、モバイルデバイスからクラウドアプリケーションを利用するケースが増加すると指摘しています。そうなると、様々な環境からクラウドにアクセスするためより大容量のストレージやコンピューティングパワーが必要とされるようになるでしょう。

パーソナル・クラウドの時代では、デバイスからサービスにパワーシフトしていく中で、パーソナルクラウドの存在感が高まっていくとしています。昨今、コンシューマライゼーションや、産消逆転などと言われているように、パーソナルクラウドの進化により、エンタープライズや、公共分野など、様々な分野にクラウドシフトが進む契機となるでしょう。

以上のように、ガートナーは、クラウドコンピューティングが「幻滅期」に入っているとしながらも、2014年も引き続き、重要なテクノロジー・トレンドの重要な位置づけとなり、この流れは2015年以降も続き、クラウドは欠かせないテクノロジーとしての地位を確保していくことになるでしょう。

 

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