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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウド時代の人材像(2)進むクラウド、動かぬ人材

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クラウドの普及が進む一方で、クラウド分野への人材シフトが進まない状況となっています。

情報処理推進機構(IPA)は2012年5月24日、IT人材に関する調査報告書「IT人材白書2012~行動こそが未来を拓く 進むクラウド、動かぬ人材~」を公表しました。

「IT人材白書2012メッセージ」をご紹介しましょう。

行動こそが未来を拓く ~進むクラウド、動かぬIT人材~

今年度の調査結果から、リーマン・ショック以降厳しさが続いたIT人材需要が回復傾向に転じ、新卒人材需要も回復しつつあることが示された。その一方、IT人材の質の不足感は高止まりの状況にある。質の不足感の高止まりの背景に、IT人材が現業の生産性や品質を高める上での能力の不足と同時に、転換期とも言うべき昨今のIT市場環境変化の中で、新たな技術パラダイムや事業モデルに必要な能力が不足していることに注目しなければならない。すなわち、IT人材は、日々の仕事の質を高める能力と同時に、急速に変化する市場や技術に対応していく変化への対応力が求められている。また、新たなITのパラダイムにむけた人材育成が出来なければ、企業やIT人材個人が成長していくことは出来ない。このような中で、IT人材個人、企業、情報系教育機関に求められる取り組みとはどのようなものであるのかを考え、メッセージを掲げる。

本白書では、急速にクラウドコンピューティングの普及が進むなどの、IT産業におけるパラダイムシフトが進みつつある中で、人材への変化への対応力の遅れが指摘されています。

個々のメッセージを見ていきましょう。

IT企業・ユーザー企業のIT部門

IT人材戦力を明示せよ

クラウドコンピューティングなどITのサービス化への動きの加速、生産・市場のグローバル化への対応等、新たな技術パラダイムや事業モデルへの対応が求められている。IT企業やユーザー企業のIT部門では、新たなITのパラダイムを見据え、的確な事業戦略とその戦略に連携するIT人材戦略の計画・実行を加速させなければ、IT環境が激変する中での存続は危ぶまれる。

クラウドが普及する中でIT人材戦略の計画・実行を加速させる必要性が指摘されています。

IT人材個人

未来に生き残るため自ら行動せよ

ITのビジネスモデル変化、利活用領域の拡大などにより、IT人材を取り巻く環境変化は加速している。しかしながら、IT人材は、将来への強い不安を持ちつつも、行動を起こしていない。
変化の激しいITの世界は、新たな技術やビジネスに挑戦できる魅力的な分野であるからこそ、日々の仕事の経験を通じたスキルアップを図るとともに、社内外での新たなスキル獲得の機会を活かし、自らを高める行動を起こすことが重要である。

個人においては、社内のみならず、自ら社外で新たなスキル獲得の機会をつくるなどの自分自身のスキルを高める行動を起こすことが重要であると指摘しています。クラウドの分野では、クラウド関連の勉強会やセミナーや団体、コミュニティなど、毎日のように開催されています。こういった場に積極的に顔を出すことで、クラウド業界の中での自分自身の立ち位置を確認し、行動していくことが大切になるでしょう。

情報系教育機関

継続的な産学連携教育の実現へ

産学連携教育の重要性に対する認識が産学双方で高まり、実践的IT教育の取り組みも浸透しつつある。また、産学連携による実践的IT教育の効果が産業界で求められる知識やスキルのみならず仕事に対するモチベーション面にも及ぶことが明らかになる中、産学連携による実践的IT教育の教育のメリットを改めて産学で共有し、産学連携教育が継続的に展開されるための仕組みづくりを実現していくことが求められる。

大学などの教育機関においては、産学連携などにより、クラウド関連の教育プログラムを強化し、IT企業に就職してから即戦力として活躍できる人材の育成が重要となっています。立教大学とEMCは2012年5月22日、経営学部の国際経営学科にビッグデータをテーマにした授業を開講することを発表しています(関連記事)。本授業は、技術的な内容よりも、ビジネスにおけるビッグデータの効果的活用について議論し、学生が自ら想定した顧客に対して、ビッグデータを活用した新しいビジネスモデルやユースケースの提案を最終目標としています。

クラウドコンピューティングやビッグデータは、エンジニア育成のための技術論という印象がありますが、経営やビジネスモデルの視点も重要で、文系出身の人材育成も必要となっています。

 

 

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担当キュレーター「わんとぴ
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