オープンソース・クラウド戦争の始まり? 「CloudStack」と「OpenStack」の最近の動き
オープンソースのクラウド基盤ソフトウエアの「CloudStack」と「OpenStack」で、この1、2週間、かなり大きな動きが出ています。
その動きについて、少し整理をしてみたいと思います。
まずは、CloudStackの動きです。
CloudStackプロジェクトのApache2.0への寄贈
Citrix Systems, Incは2012年4月3日、「Citrix Unveils Next Phase of CloudStack Strategy ~CloudStack Submitted as the First Cloud Platform in The Apache Software Foundation」を発表し、CloudStack開発プロジェクトをApache Software Foundation(AFS)に移行する計画を発表し、ライセンスモデルはこれまでのGPL v3からApache 2.0に移行することを明らかにしました。
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関連記事には、「オープンソース・クラウド戦争の始まりなのか?」というタイトルにもあるように、Citrix社が今後、OpenStackとどように関わるのかに、注目が集まっています。
CloudStackを採用する国内事業者
CloudStackを採用する事業者でも動きがありました。
NTTコミュニケーションズは、CloudStackを採用した「Cloudn(クラウド・エヌ) 」を2012年3月30日からサービスを提供しています(関連記事)。Yahoo! JapanもIDCフロンティアのサービスを利用し、CloudStackを採用した「Yahoo!クラウド」を提供しています。
Citrix Japanでは2012年4月19日、「Citrix Cloud Vision 2012 Spring」を開催予定となっており、CloudStackなどの今後のクラウド戦略や、CloudStackを採用した事業者や大学の取り組みが注目されます。
その前日の18日には、第7回CloudStackユーザ会が19:00から開催が予定されており、定員150名に対して、ほぼ満席な状況となっており、CloudStackへの注目度が伺えます。
OpenStackのメジャーリリース"Essex"
一方、OpenStackにも大きな動きがありました。
The Open Stack Projectは4月5日、OpenStackの第5回目のメジャーリリースである「OpenStack 2012.1」(コードネーム : Essex)を公開しました。ユーザーインタフェースであるDashboard(Horizon)と統合認証システムであるIdentity(Keystone)の2つがコアコンポーネントが新たに追加され、150もの新機能や改善が行われています。
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OpenStack Foundationの発表
OpenStack Foundationが4月12日、19社の設立メンバーと共に立ち上げを発表しました。プラチナメンバーとして、米Red Hat、米IBMなどが新たに参加しています。今後、プラチナとゴールド会員企業とともに規約などのドラフトを作成し、コミュニティにプレビューを公開予定となっています。
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OpenStackを採用する事業者(HP)
米ヒューレット・パッカード2012年4月10日、OpenStackを採用したパブリッククラウド「HP Cloud」の公開ベータを開始したことを発表しました。そして、日本国内においても4月13日、パブリッククラウドの「HP Cloud」の一般企業向けβサービス(パブリックβ)を5月から開始する予定です。
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「CloudStack」と「OpenStack」はどちらに軍配があがるのか?
上記のように、「CloudStack」と「OpenStack」では、双方ともに活発な動きがある状況です。
「CloudStack は Apache へと走るが、OpenStack に問題は生じないのか? 2012.4.15 Agilecat」の記事には、
Cloudstack と Openstack の双方ともが、プログラマの支持を求めて競い合い、プロプライエタリ・クラウド・スタックにおける、VMWare と Microsoft の競合に似た関係になりつつある。 そして、さらに、ブリック・クラウドのリーダーである Amazon AWS の API と互換性を持つ、Eucalyptus のスタックとも戦わなければならない。(中略)現時点では、多くのオープンソース・クラウド・デベロッパーたちが、OpenStack と CloudStack の双方を見ながら、賭けには走らずヘッジをかけているように思える。
とあるように、利用者(開発者)側もCloudStackとOpenStackの双方のどちらか見極めがつかず、判断をしかねている状況にあります。
「Eucalyptus、OpenStack、CloudStack――勢いがあるのはどれだ 2012.4.9 Computerworld」の記事では、コミュニティにおけるトピック数ではOpenStackが最多の250トピック、CloudStackが200と続いています。OpenStackに関しては、4月5日のバージョンアップ(開発コード名:Essex)を控えて、開発者たちがコードのバグ修正に関する情報をやり取りしていた時期だったことを考慮すると、ほぼ拮抗していると考えられます。4月の双方の活発な動きでさらに開発コミュニティの動きも活発になっていると推測されます。
「CloudStack、Apacheプロジェクト化の背景 2012.4.15 @IT」の記事には、Go DaddyのCTO、ウェイン・セイヤー(Wayne Thayer)氏の日本語でのコメントが掲載されています。
多数の非常に成功したプロジェクトできわめて有効だったApache Software Foundationの能力主義的なガバナンスモデルのもとで、CloudStackはオープンソースからオープンコミュニティへの重要な一歩を踏み出そうとしている。これで、CloudStackのコミュニティプロセスに関わりたいと思う企業はどこでも他の人たちと同様に、自由に参加できる。
4月のCloudStackのApacheプロジェクトやOpenStackのメジャーリリースなどは、今後のオープンソース・クラウド戦争が始まりの契機となり、パブリッククラウド業界のデファクト化と競争の促進と再編を促す序章となるのかもしれません。
CloudStackとOpenStackの双方の展開は、今後のパブリッククラウドサービスの業界の行方を占う上でも重要な位置づけとなるでしょう。
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※担当キュレーター「わんとぴ」
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