ICTによる日本の再生(1)成長戦略の実現
総務省は2011年9月29日、2012年度の総務省重点施策である「総務省アクションプラン2012」を公表しました。
これまでの「原口ビジョンⅡ」などと比較すると、具体的な数値があまり示されていませんが、今回のプランから特にフォーカスして盛り込まれているのが、「東日本大震災からの復興に向けて」そして、「ICTによる日本再生の推進」です。
震災復興に関しては、また別の機会にとりあげたいと考えており、今回は、「ICTによる日本再生の推進」を少し整理したいと思います。
1.ICTを活用した成長戦略の実現
日本再生に向けたICT総合成長戦略の策定・推進
2020年頃の通信・放送ネットワークの将来像を明確化し、通信・放送の融合・連携サービスやプラットフォーム型ビジネスの展開等を踏まえた新たなICT戦略を策定・推進
ICTを活用した新たな街づくり実現のための環境整備
・家庭、オフィス、公共施設等街全体に整備されたICTインフラを活用し、安全・快適で環境に優しい街づくりを実現するICTシステムの開発・実証等を行うことにより、ICTの利活用促進を図る環境整備を推進し、我が国の経済活性化や雇用創出に寄与
・他国とも連携して、国際展開可能な「新しい街づくりモデル」を確立
【予算】経済成長に資する情報通信技術の研究開発・利活用促進新規189億円の内数
情報流通連携基盤の構築
・これまで行政・医療・教育等個別分野ごとの「縦軸」の情報化の促進が中心であったところ、昨今のブロードバンド市場における環境変化や、今次震災で顕在化した「情報の横の連携の重要性」を踏まえ、情報流通連携基盤の実現という「横軸」の取組を推進
【予算】情報流通連携基盤構築事業新規9億円
クラウドサービスの普及促進
・高付加価値を生み出す中小企業等による新たな事業機会の拡大を支援するため、(独)情報通信研究機構の有する研究成果や新世代通信網テストベッド(JGN-X)、政府統計等の統計データが利用可能なクラウドサービスの開発環境を提供
・国民生活の向上等に不可欠なICT利活用推進の鍵となる、高度なICT人材の育成を推進
電波を利用した新産業の創出
・新たな周波数需要に的確に対応するため、周波数利用の効率化や高い周波数への移行を可能とする技術の研究開発を実施
・これらの電波有効利用技術の早期の実用化を図り、新産業の創出を促進【予算】電波資源拡大のための研究開発等119億円(23年度112億円)
日本再生に関して、多くの予算が計画されているのが、ICT利活用に関する街づくりのための環境整備です。クラウドやセンサーネットワーク、ブロードバンドやワイヤレスネットワークなどのインフラ環境の整備による利活用推進です。日本の景気が低迷している中で、これらの環境整備がどのように経済活性化や雇用につながるのか、注目されるところです。
また、今回の政策で幾度となく目にしているのが、横軸を中心とした情報連携です。データ様式の共通化やAPIの提供等を通じた「オープンデータ環境」の整備などによる情報流通連携基盤の構築を目指しています。具体手例として統計情報の連携による新サービスの創出や、災害関連情報の収集・加工、そして図書館と博物館との間の横断検索などをあげています。この情報連携基盤上で、行政や医療などの公共分野においてICT利活用が期待されます。
日本の再生、地域の活性化には、地域における公共分野のICTやクラウドの活用が不可欠となるでしょう。震災後の政府の情報通信政策が、経済成長や地域産業の発展に寄与できるのか、課題先進国の日本において、その対応が急がれています。
※担当キュレーター「わんとぴ」
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