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新IT戦略(2):国民ID制度の導入について

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新IT戦略の工程表の改訂の中で、目玉の一つになるのが、「国民ID制度」です。

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2010年度の取り組み実績としては、

○国民ID制度の検討体制を番号制度と一体となって構築し、サービスの利用目的、利用者の範囲、接続対象範囲、情報の内容、利用手段等について検討を実施。
○番号制度・国民ID制度及び制度導入に併せて設置する第三者機関に関する制度設計、関連法令の整備に向けた検討を実施。
○民間ID利活用を実現する官と民との間のインターフェース実証実験を踏えた行政情報システムとの連携可能性について検討を実施。
○番号制度・国民ID制度における付番方法等の実現条件を整理するとともに、番号制度・国民ID制度の在り方を検討する機関について検討を実施。
○個人情報保護に関して自己情報を確認できる仕組み等を検討するとともに、監視等を行う第三者機関の在り方について検討を実施。

厚生労働省:実証事業を踏まえ、公的ICカードの要件等の課題を整理。
総務省:行政業務システムと民間事業者との連携に係る実証実験、制度的課題等の整理。
経済産業省:官民連携した行政サービスモデルシステムの構築、運用。
文部科学省:研究者の業績や略歴等を繰り返し審査に活用できるよう、次期e-Radの仕様書案を作成。
内閣官房、関係府省:タスクフォースを立ち上げ、国民ID制度に関するサービス要件、実現条件の整理。個人情報保護ワーキンググループ、情報連携基盤技術ワーキンググループ、社会保障サブワーキンググループを立ち上げ、
番号制度の検討を実施

これらの検討は主に、新IT戦略本部の電子行政に関するタスクフォースで議論が進められ、「電子行政推進に関する基本方針に係る提言」でまとめられています。

提言で盛り込まれている国民ID制度を引用してみます。

(1)社会保障・税に関わる番号制度と国民ID制度

社会保障の安心を高め、税と一体的に運用すべく、電子行政の共通基盤として、官民サービスに汎用可能ないわゆる国民ID制度を実現し、自己に関する情報の活用については、政府及び地方公共団体において、本人が監視・コントロールできる制度及びシステムを整備することは、我が国の電子行政において極めて重要な政策課題である。

国民ID制度を実現するためには、個人情報保護を確保し、府省・地方公共団体間等のデータ連携を可能とする情報連携基盤を整備することが必要となる。情報連携基盤は、現在社会保障・税一体改革の中で導入が検討されている社会保障と税に関わる番号制度(以下「番号制度」という。)と共通する事項であり、両制度において一体的に検討を進めていく必要がある。

情報連携基盤においては、個人を一意に識別するための符号5を用いて各機関の情報の紐付けを行うことが必要であるが、当該符号の在り方としては、個人情報保護やセキュリティ確保の重要性等を踏まえれば、番号制度における「番号」とは別の識別子とし、また、一意性、悉皆性の観点から、住民票コードに対応した新しいコードを符号とする方向で検討を進めることが望ましい。
 
なお、個人情報保護・セキュリティは、法制度やシステム、それらの運用方法を含む番号制度及び国民ID制度全体で確保されるべきものであり、また、システムコスト、国民の負担等も含む社会的コスト及び利便性との適切なバランスを図っていく必要がある。

平時における行政サービスの提供のみならず、災害時における被災者支援や復興等の観点からも、番号制度及び国民ID制度により実現を目指している情報連携が大きな役割を果たす可能性を有しており、速やかな制度の整備に向けて取組を進める。

今後の検討については、番号制度基本方針において「平成27年1月 税務分野等のうち可能な範囲で利用開始」というスケジュールが示されており、それに向けて、番号制度及び国民ID制度において共通する事項である上記の情報連携基盤のほか、個人情報保護の仕組み(第三者機関の設立等)、本人確認、マイ・ポータル(仮称)等について、利用場面の拡大を見据えた拡張性について十分に配慮しつつ、検討を加速することが必要である。

工程表には、今後の取り組み(短期:2011年度)では、

短期(2011 年度)
○国民ID制度の検討体制を番号制度と一体となって構築し、サービスの利用目的、利用者の範囲、接続対象範囲、情報の内容、利用手段等の検討を継続し明確化する。
○番号制度・国民ID制度及び制度導入に併せて設置する第三者機関に関する制度設計、関連法令の整備を行う。
○民間ID利活用を実現する官と民との間のインターフェース実証実験を踏まえた行政情報システムとの連携可能性の検討を継続する。
○番号制度・国民ID制度における付番方法等の実現条件を整理する。
○個人情報保護に関して自己情報を確認できる仕組み等を検討するとともに、監視等を行う第三者機関の在り方の検討を継続し明確化する。
○引き続き公的ICカードの整理・合理化を検討する。

総務省:行政業務システムと民間事業者との連携に係る実証実験・制度的課題等の整理を継続。
経済産業省:官民連携した行政サービスモデルシステムの構築、運用を継続。
文部科学省:研究者の業績や略歴等を繰り返し審査に活用できるよう、次期e-Radの設計・開発を実施。
内閣官房、関係府省:番号制度・国民ID制度に関するサービス要件、実現条件の整理。個人情報保護ワーキンググループ、情報連携基盤技術ワーキンググループ、社会保障サブワーキンググループを通じて番号制度の検討を継続。番号法の成立により国民ID制度を導入。

そして、中長期では、

中期(2012 年度、2013 年度)
○引き続き公的ICカードの整理・合理化を検討する。
○引き続き国民ID制度に関するシステム要件の整理を行うとともに、システム設計、構築を行い、第三者機関の設立準備を行う。

内閣官房、関係府省:国民ID制度の制度設計やシステム設計を継続、第三者機関の
設立準備を継続、公的ICカードの整理・合理化に向けての検討を継続。
文部科学省:次期e-Rad 運用開始。

長期(2014 年度~2020 年度)
○国民ID制度のサービス提供を開始する。
○2020 年までに、50%以上の自治体において、条例改正を実施し、公平で利便性が高い電子行政を実現する。
内閣官房、関係府省:国民ID制度運用開始。

番号制度ついて少し整理をしてみます。

政府・与党社会保障改革検討本部は2011年6月30日、「社会保障・税番号大綱」を公表しました。国民一人ひとりに年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務などの情報を一元管理する共通番号を割り振るとしている。大綱の発表に合わせて、共通番号の名称を「マイナンバー」に決定しています。

政府は、今秋にも「番号法案」として国会に提出する方針で、法案の成立後は、国家による国民の一元管理や個人情報の漏えいなどを監視する第三者機関を設置する予定です。2014年6月にマイナンバーを個人と法人に交付し、2015年の1月以降に社会保障分野・税務分野のうち可能な範囲で番号の利用を開始する方針となっています。

国民IDと番号制度は情報連携基盤の活用など共同で活用する部分も多く、一体となった対応が必要となってくるでしょう。

工程表では、「2020 年までに、50%以上の自治体において、条例改正を実施し、公平で利便性が高い電子行政を実現する」となっており、国民がどこまで利便性を享受でき、電子行政が実現できているのか、中長期スパンで国民ID制度の導入に向けた取り組みと国民への浸透とその効果について、注視してみたいと考えています。

 

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