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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウド市場の過大評価と「クラウド超大国日本」?

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日経産業新聞(9月27日)にクラウドコンピューティング市場について厳しい指摘がされていました。

国内IT大手が公表しているクラウドコンピューティング関連の売り上げ目標を分析すると、“空騒ぎ”の感が否定できない。

クラウド関連の国内IT大手、富士通、NEC,日立の売り上げ目標は、それぞれ、富士通の目標は2015年に1兆5000億円、NECは2012年度に1兆1300億円、日立製作所は2015年度に5000億円を掲げており、単純に足すと3兆円規模となります。調査会社IDCが公表した2015年の国内IT市場は8兆円で、単純に計算すると3社で全体市場の約4割を占め、「クラウド超大国日本」が誕生することを意味すると指摘しています。

一方、IDCは、2010年9月に2014年のクラウド市場は、クラウドサービスが1430億円、クラウドSIは3750億円で合計5180億円と、公表しており、国内IT大手1社の売上目標に届きません。

NISTが定義するクラウドコンピューティングを厳密に当てはめると「国内クラウドの市場はほとんどないに等しい」というIDCジャパンのリサーチャーの指摘もあり、調査会社と国内大手ITとの市場や売り上げに関する考え方について、大きなギャップがあるのも現状ではないかと思います。

クラウド市場が成長することによって、果たしてIT全体の市場の底上げができるのでしょうか。クラウドビジネスの拡大によって、システム更改機会減少や運用保守費の減少により、IT市場全体が縮小してしまうのではないかという指摘もあります。もちろん、利活用が進み、提案機会も増え、利用ユーザが増え、IT市場全体が底上げするという意見もあるでしょう。

クラウド市場はこれから急拡大するのか、課題評価で空騒ぎに終わってしまうのか。そして、日本は「クラウド超大国」になるのか、ならないのか。クラウド市場の整合性を整理し、IT業界のこれからをしっかりと見据え、過大投資とならないよう事業の見極めと展開が必要になってきているのかもしれません。

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