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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウドコンピューティングと”戦略”

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Web2.0など、過去に様々なIT関連のバズワード的なキーワードが登場しては消えていますが、クラウドコンピューティングについては、認知度も高まっており、これからも継続的に使われるキーワードになるのではないかと感じています。様々な調査機関のクラウド市場を見ると、いずれも右肩上がりで、今後の市場の成長が期待されている分野です。

今後のクラウド市場拡大に向けては、”戦略”が重要になるのではないかと考えています。ここで少しクラウドと”戦略”の関係について自分なりにまとめてみたいと思います。

企業の情報戦略

2010年は、企業にとって節目のある年です。2015年や2010年を見据えた経営戦略と照らし合わせた情報戦略が重要となってくるでしょう。中長期視点にたった場合、クラウド導入のロードマップ策定と、どの部分をクラウドにしてオンプレミスに残すといった事業仕分けも重要となってくるでしょう。

情報システム部門の戦略

企業の情報戦略と少しダブルところがありますが、クラウドの導入が進めば、クラウド側でバージョンアップされ、システムの構築や更改、そして運用・保守といった従来の情報システム部門の業務は大きく減少することになるでしょう。そのため、これまでとは違ったシステムやサービスをデザインするといった視点や経営的な視点も必要となってきます。実際に情報システム部門が経営企画部門の配下になるケースも事例として増えてきており、クラウドの導入の普及が進めば、情報システム部門のあり方が議論されていくことになるのではないかと考えています。

ビジネスモデル戦略

これまでSI(システムインテグレーション)を中心としていたITベンダは、サービスへと事業を転換していくことが重要となります。クラウドに関してはセールスフォースやアマゾンに代表されるように外資系のITベンダが引っ張ってきましたが、日系IT企業も、サービス事業への転換など、ビジネスモデル戦略においてクラウドを柱とした展開が目立つようになっています。

モバイルクラウド戦略

近年、スマートフォンに代表されるように、様々なモバイルデバイスが登場しています。今後はLTEの提供も予定されており、モバイルブロードバンドの動きもさらに加速化します。また、その中で、モバイルクラウドを中心としたクラウドビジネスの拡大が予測されており、モバイルを中心とした、サービス戦略、デバイス戦略などが重要となるでしょう。

マーケティング戦略

日系ITベンダの中では、クラウドをキーワードに積極的に宣伝広告をしている事例が増えてきています。最近の新聞や専門誌の広告やニュースリリースを見てもクラウドのキーワードが多く目につくようになりっています。1年ちょっと前は、各社が提供するクラウドサービスをまとめることができたのですが、最近は、あまりにも多くの企業がクラウドというキーワードを使うようになったため、ユーザにとっては見極めが難しくなっています。そのため、他社を一歩リードしたマーケティング戦略が重要になってくるのではないかと考えています。

パートナー戦略

先日、マイクロソフトが富士通との提携を発表したように、今後、クラウドビジネスの拡大に向けて、提携が加速化していくと考えられます。クラウドビジネスが拡大すると、勝者と敗者の優劣がはっきりするようになり、パートナー戦略は今後益々重要となっていくでしょう。

情報通信戦略

政府は新IT戦略や総務省のスマートクラウド戦略など、様々な情報通信政策において、クラウドが重要な位置づけとなっています。電子政府や電子行政クラウド、そして教育や医療分野でのクラウド利用など、社会基盤としてのクラウドの活用が進んでいくことが期待されます。

データセンター戦略(国際競争力)

クラウドビジネスの拡大に伴い、セールスフォースやアマゾンなどが国内のデータセンター経由でサービスを提供することが明らかになっています。また、マイクソフトは富士通と提携し、館林のデータセンター経由でAzureなどのサービスを提供する計画です。そして、政府もデータセンター(クラウド)特区などで、データセンターの誘致策の検討を進めており、国際競争力の視点でもデータセンター誘致と、海外への輸出というのも議論の焦点になっていくのではないでしょうか。

(参考)パーソナル戦略

クラウドは、企業だけでなく、個人も利用する時代です。むしろ、企業よりも個人のほうが利用が進んでおり、産消逆転現象が続いていると言えるでしょう。ツイッターやEvenote、そしてGmailなど、様々なクラウドサービスが登場しており、個人としての使いこなし方も、大切になります。

少しまとまりがありませんでしたが、クラウドを”戦略”の視点でまとめてみました。いずれにしても、クラウドの潮流は、様々な”戦略”を策定していく上で重要な位置づけとなっているのは間違いないでしょう。

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