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『石狩データセンター(仮称)』の話を「グリーンエナジーデータセンターセミナーin東京」で聞いてみて

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7月16日(金)に石狩市が主催する「グリーンエナジーデータセンターセミナーin東京」に参加してきました。会場は、満席状態でとても盛況でした。郊外型データセンターへの関心度は高まってきていることを肌で感じています。

冒頭では、石狩市の田岡市長が挨拶をされました。田岡市長は、様々なセミナーなどでも自ら講演され、そしてトップセールスを積極的されるなど、データセンター誘致に積極的です。石狩市へのデータセンター誘致におけるメリットを様々な視点で話をされていました。データセンターに特化した条例設定や優遇措置を講じたデータセンター特区への申請、そして通信インフラ整備などの取り組みをあげていました。また、最後に情報通信関連企業が集積する「石狩データセンターバレー」を目指している点を述べられていました。

次に「北海道GEDC推進フォーラム」の会長である鈴木氏より、本フォーラムの活動概要について報告がありました。「北海道データセンター立地アセスメント委員会」での調査で、石狩湾新港地域がデータセンター立地環境に最も高い評価であるし、石狩市へのデータセンター誘致にあたって、様々なワーキンググループでの活動概要が紹介されました。

日経システムの森重副編集長の「グリーンとクラウドで変わるデータセンター」の講演では、都市型のハウジングから郊外型のデータセンター経由での安価で使いやすいホスティング系サービスが増えると述べ、郊外型とグリーンデータセンターの今後の可能性について、述べられていました。

そして、最も楽しみにしていた講演は、さくらインターネットの田中社長による「クラウドコンピューティングに最適化したデータセンター"石狩モデル"のご紹介」の講演です。

当日の講演模様もツイートしたのですが、少しポイントをご紹介したいと思います。田中氏は、郊外型データセンターについて3つの要素をあげていました。一つ目は、税制優遇も含めた経済性です。土地代も安く、データセンター誘致のための税制優遇も積極的に推進されている点を評価されていました。二つ目は拡張性です。都市型データセンターの場合は、ビル型のため拡張が難しいのですが、郊外型のデータセンターの場合は、棟を増設していければいいので、需要が増えれば、棟を増やすといった拡張性が容易な点があげられています。石狩データセンターの場合は、8棟まで増設可能とのことです。三つめは、環境への配慮です。北海道は寒冷地ということもあり、外気空調を前提にデータセンターの設計をしています。

さくらインターネットの「石狩データセンター(仮称) 」については、専用サイトで詳しく掲載されています。

写真:全体図(最終8棟:合計4,000ラック)

田中氏は、実際に複数の候補地を調査されたようですが、その中で石狩市を選定されています。石狩市を選んだ理由としては、土地代や安く、そして外気空調を利用でき、空調コストが安いこと、そして、税制優遇補助制度が整っていることをあげています。回線環境は遠距離ということで、△をつけていましたが、回線コストが多少高くても、全体としてのコストを安く抑える全体最適化ができ、総合的な評価が高かったようです。そして、もう一つ評価していたのが、地元の歓迎です。石狩市の田岡市長が積極的にトップセールスをされ、親身になって対応されたというのもプラスになったようです。

また、都市型はハウジングの利用者が一般的には多いのですが、石狩データセンターの場合は、ホスティング特化型で提供をするとのことです。

今後の展望としては、排熱の活用や風力や雪氷などの再生エネルギーの利用など、電気の地産地消の検討もしているようです。また、排出権の利用で郊外型と都市型のデータセンターの使い分け、つまり、ハイブリッド型の活用を推進していくとのことです。

そして、最近話題となっているコンテナデータセンターへの対応も考慮し、コンテナのスペース貸しも検討しているようです。石狩市には、コンテナが運べる石狩港があり、韓国の釜山港から数日で運べるとのことで、効率的にコンテナの設置ができるとしています。

田中氏がおっしゃっていたように、日本から米国へのサイトへアクセスする比率が増加傾向にある一方で、米国から日本にアクセスする回線はガラガラ状態です。つまり、ネットワークのトラフィックの不均衡が起き、ネットワークのただ乗りの状況でもあると言えます。日本から米国に情報発信すること、そして、日本からアジアに対して情報発信し、トラフィックの均衡をするための仕組みづくりは、今後重要となってくるでしょう。そう考えると、郊外型データセンターで海外にも対抗できる価格での提供が期待されます。

最後に田中氏は、日本のデータセンター業界は、クラウドによってパラダイムシフトが起こるとし、郊外型データセンターにより世界標準を目指していくことが需要だと、述べています。

クラウドがこれから本格化すれば、都市型で駆けつけができるハウジングサービスはもちろん一定のニーズはあるものの、国内の郊外型のホスティングやクラウドサービスへのニーズがより増えていくのではないかと感じています。

今後、アマゾンやセールスフォースなどが国内のデータセンター経由でクラウドサービスを提供することが明らかになっています。そして、マイクロソフトは富士通と提携し、群馬県の館林のデータセンター経由でWindows Azureの提供を計画しています。また、国内IT企業では、IIJが島根県の松江市にコンテナ型のデータセンターを、そして日本ユニシスが福井県に大規模なデータセンターを建設することが明らかになっています。

これまで、米国上でのクラウドサービスの利用が、日本上空でのスカイコンピューティング戦争が起きようとしています。クラウドビジネスで勝者になるためには、郊外型のデータセンターによる規模の経済(スケールメリット)も活かしたビジネスも要素の一つになるでしょう。

国内のIT市場には限界もあります。だからこそ、他の産業界と同様に巨大なアジアのクラウド市場をターゲットとしていく必要があるでしょう。クラウドの輸出が重要であり、クラウドによる情報の空洞化にならないための、仕掛けづくりは、益々重要になっていくのではないかと感じています。

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