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民主党政権のICT政策と予算重点分野について

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日経コミュニケーション(2009.12.1)に特集『民主党政権のICT政策の核心』が掲載されていたので大変興味深く読ませていただきました。

書かれている内容のポイントをいくつがご紹介したいと思います。

グローバル政策に関するタスクフォースについて

民主党政権により、総務省の政務三役が主導権を持ち、政策の運営がなされています。総務省の目玉となっているのが、「グローバル時代のICT政策に関するタスクフォース」です。グローバルな視点から競争政策を見直し、ICTの利活用によって各種課題を解決すべく、ICT政策を1年間かけて検討するとしています。政策によって即座に実行にうつしていくことも視野にいれているようです。

本タスクフォースでは

過去の競争政策のレビュー部会
電気通信市場の環境変化への対応検討部会
国際競争力強化検討部会
地球的課題検討部会

の4つのタスクフォースで構成されています。既にタスクフォースでは各々部会での議論が始まっており、「情報通信技術タスクフォース混乱 方向性見えず「議論の議論(フジサンケイビジネスアイ 2009.12.1)」や「総務省ICTタスクフォース,12月10日にNTTなど主要キャリアにヒアリング(2009.11.30)」等のサイトでも掲載されています。記事を読む限りでは、まだ検討が始まったばかりということもあり一部混乱も見られるようです。今後どのような議論がなされ、どのように政策に反映されていくのか、動向が注目されます。

「通信・放送委員会(日本版FCC)」の設置について

また、日本版FCC(最近は言わないようになっていますが・・)の設置の検討をする「通信・放送委員会」も注目されます。民主党の政策集INDEX2009の「郵政事業・情報通信・放送」を読むと、「通信・放送委員会」の設置について以下のように説明をしています。

通信・放送行政を総務省から切り離し、独立性の高い独立行政委員会として通信・放送委員会(日本版FCC)を設置し、通信・放送行政を移します。これにより、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入を排除します。

米国のFCCの場合は、政策立案(振興)と法執行(規制)を独立機関として一体運営をしていますが、英国のOfcomように振興と規制分離する案が近いのではないかという意見もあり、規制と振興を分離するか否か等、今後の動向が注目されます。


電波政策について

総務省は11月25日、「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」の発足を公表しました。ホワイトスペースの活用など新たな電波の有効利用の促進に向けた検討を行うとのことです。ホワイトスペースの活用の議論は、市場の拡大も期待されます。

その他の政策について


一方、経済産業省では「成長戦略検討会議(2009.1.027)」を開始し、必ずしもICTだけではありませんが、アジアを視野に入れ、温暖化対策をチャンスをとらえた経済成長戦略の検討を始めています。また、「地球温暖化問題に関する閣僚委員会タスクフォース会合(10/23)」も始まっています。ICTの利活用によってどのようにCO2が削減できるか、というのも大きなテーマとなるでしょう。

中長期の政策について

自民党政権の時代になりますが、IT戦略本部は、7月6日、「i-Japan戦略2015(案)」 を公表しました。2015年までを見据えた中長期的な戦略でu-Japan戦略の次の政策として議論されていましたが、民主党政権によって大幅な 軌道修正が進んでいるように見受けられます。これらの動きは、2009年度補正予算の見直しや2010年度概算要求+事業仕分けの中で、一部読み取ることができます。

2009年度補正予算の見直しについて
総務省は、4月27日に緊急危機対策として「2009年度の補正予算」を公表しましたが、民主党政権交代後、かなりの見直しがはかられました。以下、日経コミュニケーション(2009.12.1)の資料も参考にしながら、
削減率の高い項目削減率の低い項目に分けてみました。

削減率の高い項目
削減率の高い項目は、「新しい公的個人認証システムの開発実証(削減率100% 当初予算77.9億円)」、「国民電子私書箱関連ネットワーク基盤確立事業(削減率100% 当初予算30億円)」は民主党の打ち出す共通番号制と一致しないため執行停止となっています。

また、「クラウドテストベッド環境の構築(削減率99.9% 90億円)」、「情報通信研究機構における省エネルギー対策推進(削減率100% 35億円)」、「公共ブロードバンドシステムの早期導入のための実証実験(削減率100% 19.3億円)」等、緊急性を伴わない実証実験の補正予算は軒並み停止となっています。また、「国内外におけるコンテンツ流通促進(削減率100% 52億円)」等、コンテンツ関連は全面執行停止(次年度見送り)となっています。

削減率の低い項目
削減率の低い項目は、「ブロードバンドゼロ地域の解消(削減率3.9% 433億円)」、「地域情報通信基盤整備推進交付金(削減率0.9% 332億円)等、インフラ整備の補正予算はほとんど削っていません。

また、「超高速伝送システム技術開発(削減率0.4% 49.3億円)」「セキュアクラウドネットワーキングの技術の研究開発(削減率0% 31.4億円)」、「ICT先進事業国際展開プロジェクトの推進(削減率6.7% 20.1億円)等、国際競争力強化につながる研究予算は削減なしとなっています。

2010年度の概算要求について

2010年度の概算要求で増額の動きが見られるのは、総務省では「ICT産業の国際力競争力強化(89.3億円)」、「ICTを使ったグリーンニューディール(30.9億円)」、「電子政府・電子自治体の推進(33.4億円)」等があげられます。

また、経済産業の概算要求で は、「次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発・実証事業(12.5億円:新規)」、「低酸素社会実現プロジェクト(16億円:新規)」、「国際エネル ギー消費効率化等システム共同実証事業(20億円:新規)」、「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト(21.2億円:新規)」といったよう に、環境系の新規案件が目白押しです。

一部、事業仕分けによって見直し等もありますが、グリーン関連や電子政府、そして国際競争力強化については、特に強化をしている点が伺えます。

最後に

2010年「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークに簡単につながるユビキタスネット社会の実現を目指した『u-Japan政策』 は終了し、自民党政権下で検討を進めてきた『i-Japan戦略 2015』も大きな見直しがなされることになるでしょう。タスクフォースでの検討や重点予算配分等から政策の方向性の検討が始まっており、民主党としてのどのようなICT政策の中長期的にビジョンを明示していくのか、その動向が注目されるところです。

Comment(1)

コメント

酒井 敦

削減率の高いと低いが、ごっちゃになっています。
ので読みにくいです。

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