霞が関のグローバル化について
最近、様々なところで日本の国際競争力について議論がなされています。例えば、ICTの場合、総務省では、「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の「国際競争力強化検討部会」、経済産業省では、「クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会」があげられます。
日経コミュニケーション(2009.12.15)に「霞が関を日本最強の貿易産業にせよ」とかなり刺激的な記事があり、興味深く読ませていただきました。本記事の趣旨は、国内の制度を世界共通のものにすることで日本の企業が世界市場で対等に戦えるようにする「霞が関のグローバル化」が必要であると指摘しています。
本記事の中で、少しポイントを引用してみたいと思います。
国内でガラパゴス化している産業は、国の規制や制度の影響を濃く受けた金融、情報通信、ソフトウエア、教育、医療など、サービス産業に多く見られる
日本は超高齢化や人口減少などの”課題先進国”である。ここで作られる制度や仕組み、基準を世界でも通用するものにしていく必要がある
ガラパゴス基準”を設け、一定程度の資源を投入して世界標準になることが無理だと分かった後は、日本基準の国際化をあきらめ、海外の基準を持ち込む
制度の輸出入という考え方を導入すれば、霞が関はある意味で日本のICT産業を左右する最強の貿易産業である。そうなれば、日本の企業の海外進出あるいは外資系企業の日本参入が容易になる
”従来の発想”は、(1)官が民のグローバル化を支援し、(2)民がグローバル化するという流れであったが、”今後求められる発想”は、(1)民が官のグローバル化を支援し、(2)官がグローバル化し、そして(3)民がグローバル化する
といった流れをつくることが必要であるとしています。ルールをつくる官、すなわち霞が関がグローバル化し、最強の貿易産業になれば、日本企業の進出や外資系企業の参入が容易になり、国際競争力強化につながるというものです。
様々な課題を多く抱える”課題先進国”である日本が、この先、世界市場において国際競争力を強化していくためには、課題を多く抱えていることを先行者利益としてとらえ、制度の輸出入を積極的に推進し、日本の先行する仕組みを海外展開できるかというのが重要なポイントとなっていくのかもしれません。