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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

国内のクラウド普及の鍵は国内データセンターの活性化か

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総務省は7月28日「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会(第2回)」を開催し、第一次報告書を公表しました。本報告書の中では、国内データセンターの活性化を図る必要性やデータセンター利用の現状やデータセンターを国内設置するに際しての課題整理、そして、課題解決に向けて取るべき方向性等が記載されています。

国内のデータセンターの活性化を図る必要性の中では、国内のデータセンターが利用されることが望ましいとし、その理由とし、利用者や提供者の視点から海外のデータセンターを利用することのほうがデメリットが多く、経済活性化の観点からも重要であるとしています。また、海外にデータがあることによりデータをコントロールできなくなるリスクや、日本国内にエンジニアが育たない環境になってしまうという懸念もあげられています。   

また、データセンターを国内設置する際に対しての課題整理として、土地・建物の価格、電力の調達、通信コスト、機器調達コスト、対海外ユーザのメリット、要員の確保、法的措置、優遇措置等があげられています。これらを冷静に見た場合、規模の経済を生かした海外の事業者に対抗するのはなかなか厳しいというのが印象です。

課題解決に向けて取るべき方向性として、刑法的リスクへの対応(セーフハーバー制度の要否の検討など)、税制措置等の優遇措置の検討、データセンター施設の基準、地球温暖化への対応、賠償額の相場、日本のデータセンターの対外PR方法などがあげられています。   

グーグルやマイクロソフト等は世界各地でデータセンタを建設し、規模の経済(スケールメリット)を生かしたビジネスを展開しています。また、寒冷地等にデータセンターを建設することにより、環境に配慮したコンテナ型のデータセンターの建設も進めており、PUEも基準値をかなり上回るいい数値を出しています。   

エンドユーザだけの視点から見ると、海外のクラウド環境を利用することはコスト削減等のいくつかメリットがあります。しかしながら、日本国内の全体産業の視点から見た場合、デメリットのほうが多いのかもしれません。クラウドビジネスの中心となる日本国内のデータセンターの活性化がこれから先、益々求められるようになるのかもしれません。

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