クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会 等
クラウドコンピューティングのビジネス展開は、データセンターのビジネスが大きく左右されます。GoogleやMicrosoft等は世界各地に巨大なデータセンターを建設し、規模の経済(スケールメリット)を生かし、クラウド市場への影響力を高めています。日本としては、重要な情報が海外に次々と流れ、「情報の空洞化」が進むことが懸念されます。
クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会
総務省は5月8日、「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会」を開催することを公表しました。検討会の第一回は5月12日に開催される予定です。
クラウドコンピューティングの進展に伴い、国内の総トラフィックは順調に増加しています。しかしながら、その内訳は、海外データセンターからの流入トラフィックの増加が顕著である点を指摘しています。つまり、GoogleやMicrosoft、Amazon等のデータセンターからのトラフィックが流れてきているのです。
今回の検討会開催の背景は、国内データセンターからの送出トラフィックを増加させることを目的とし、その結果、電気通信事業の発展、新規サービスの送出、利用者の利便性の向上をはかることを目指しています。さらには、日本がアジアの情報発信拠点となることによって、アジアのハブとなり、アジアの情報を誘致していくための検討もされるようです。
検討項目としては、
(1) 国内データセンターの利用促進方策
(1) 立地に係る環境整備
(2) 業務運営の円滑化
(3) 利用者の選択が容易な環境の整備
(2) 国内向けサービスの活性化方策
(1) 利用者に安心感を与える環境の整備
(2) 新たなサービスが創生される環境の整備
があげられています。(1)については、立地に係る環境整備とあるように、国際競争力のあるデータセンターをどのように、どの場所に、どのような環境の中で整備していけばいいのかといったことが議論されるのではないかと思われます。
構成員の中には、グーグルやマイクロソフト、そしてヤフーといった外資系IT企業も名前を連ねています。「国内データセンターからの送出トラヒック」を増加するというテーマについて、有識者、日本のIT企業、外資系IT企業がどのような議論をされるのか注目されるところです。
ASPIC「ASP・SaaS データセンター促進協議会
総務省は、2月26日には、ASPIC「ASP・SaaS データセンター促進協議会」の設立も公表しており、データセンターに関する課題対応のための政策立案を進めていく予定であるとしています。
活動テーマとしては、
(1)データセンター情報開示
①情報開示に係る用語の統一
②PUE等環境対応指針作り
③データセンター情報開示認定制度の検討
④ASP・SaaS情報開示認定制度への提言
(2)クラウドコンピューティング
①ネットワーク対応(IX、NGN、IPv6対応)
②プラットフォーム対応
③ASP・SaaS対応
④技術連携、導入推進
⑤クラウドコンピューティング利用ガイドの検討
(3)ネットワーク環境の変化を踏まえた新たな国際戦略
があげられています。
日本データセンター協会
経済産業省は、昨年の12月4日、「日本データセンター協会」を設立することを公表しました。世界的な情報量の爆発的な増加に対応し、データセンター事業の国際的な競争力を向上させることを目的としています。日本データセンター協会(JDCC)の4月10日にNPO認証取得し、4月13日に法人登記をしています。
本データセンター協会の事業・プロジェクトとしては、
技術部会では例として以下の3つをあげています。
- In-Row空調実証実験
- J-Tier(仮称)の制定
- データセンター最適化サーバーの評価指標
政策部会では、具体的な活動内容として、
- CO2キャッピングへの異議提起
をあげています。
クラウドコンピューティングの普及に伴い、国際競争力等の観点から、政府が積極的にデータセンター事業に取り組みを見せており、今後、どのような展開を見せていくのか大変注目されるところです。