オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

メモ:「コンテンツ学会」設立記念シンポジウム模様

»

コンテンツ学会設立総会・シンポジウム」が10月11日(土)、秋葉原のコンベンションホールで開催されました。会場は満席で立ち見等が出るほど多くの方が参加されており、「コンテンツ学会」への関心の高さが伺えました。

まず最初に、本学会会長に選任された一橋大学名誉教授で堀部政男氏が開会の挨拶をされました。 

contents0

その後、今回の事務局長に選任された慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授の金正勲氏が学会設立趣旨の説明をされました。学会で取り扱う主な領域は、コンテンツに関する「産業」「政策」「技術」「表現」の4つの領域を中核に学際的嗜好性の強い学会を想定し、適宜分科会や研究会等を設立し、活動をすすめられるとのことです。特に今回は、コンテンツ人材の育成や教育も視野にいれています。また、本学会の設立記念講演シリーズを予定しており、全体で48回の開催を予定しています。 

残念ながら予定されていた内閣総理大臣麻生太郎氏は、現在の政局の事情から参加されませんでした。続いてビデオ映像にて、民主党衆議院議員の原口一博氏と民主党参議院議員の鈴木寛氏が本学会への期待をコメントされました。

contents2

この後、経済産業省、総務省、内閣府、文化省のコンテンツ政策に関わるキーマンの方からご挨拶をされました。 

経済産業省商務情報政策局メディア・コンテンツ課課長の村上氏はゲームやアニメ等のコンテンツの産業育成を政策として考える視点、特にコンテンツが産業にどう貢献させていくかという点を強調されていました。

総務省情報通信政策局コンテンツ振興課課長の小笠原氏はコンテンツを流通させる仕組みを政策として考える視点、特に技術は進歩しても使っている人がストレスを感じるような政策であってはいけないと、ユーザ視点を強調されていました。 

内閣官房知的財産戦略推進事務局内閣参事官の大路氏はコンテンツの日本ブランドの点について強調をされていました。また、日本版フェアユースについては必要性も含めて検討しているようです。

文化庁長官官房著作権課課長は、クリエータへの利益還元など、デジタルコンテンツの著作権のあり方について述べられていました。 

コンテンツの市場がさらに成長していくためには、4省庁のさらなる連携が期待されるところです。

次にパネルディスカッションが行われました。副会長に選任されたデジタルハリウッド大学 学長の杉山知之氏、東京大学先端科学技術研究センター教授の玉井克哉氏、そして、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉が登壇されました。特に興味深かった内容は、中村氏のコメントで「人類のすべてがコンテンツ化する時代がきたとき、何が起こるのか」という点です。 

contents3

その後、会場からの質問を受け付けました。最初に大学2年生の学生が質問され、「今回の学会の学生への期待」を質問されました。パネリストからは、他の学会は法律や制度等のこれまでの知見が必要だが、本学会は学生の若い感性や若いパワーを必要としている点を述べられていました。その後も様々な立場からコンテンツに携わっている方から意見が出され、少々発散してしまうのではないかと思うほど、質問の内容は多岐に渡っていました。 

最後に事務局長の金氏からコンテンツは大きな広がりを持っている。その範囲で何をやっていくか皆さんといっしょに考えていきたいという趣旨のコメントをされ、本設立シンポジウムは終了しました。

「コンテンツ学会」の「産業」「政策」「技術」「表現」の4つの領域を中心とした活動が、今後のコンテンツ市場の成長寄与していくことが期待されます。


(参考:コンテンツ学会 設立記念講演シリーズ )

全体で48回を予定しているようです。テーマはいずれも仮題となっており、詳細は「コンテンツ学会」のホームページで案内をされるようです。

 

10月21日(火):「IPTVの目指す新しいサービスとは」   
講師:岸上順一氏 (NTTサイバースペース研究所所長)

10月29日(水):「デジタル・ネットワークとコンテンツ規制」   
講師:小向太郎氏(情報通信総合研究所上席主任研究員)

11月4日(火):「モバイルコンテンツビジネスの現状と課題への対応」   
講師:岸原孝昌氏(モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長)

11月6日(木):「著作権の法と経済学」   
講師:林紘一郎氏(情報セキュリティ大学院大学副学長)

11月10日(月):「メタデータとコンテンツ流通」   
講師:深見嘉明氏(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究課博士課程)

11月21日(金):「アメリカにおけるDTV普及支援策の実施仮定ー官民協力の実態」   
講師:清原聖子氏(情報通信総合研究所)

11月26日(水):「変質するネットユーザのコンテンツ”利用”」   
講師:小寺信良氏(ジャーナリスト、コラムニスト)

12月1日(月):「ジャパニーズ・クールの現在(村上隆の活躍とその影響)」   
講師:山口裕美氏(アートプロデューサー)

12月3日(水):「日本のMVNOの現状」   
講師:福田尚久氏(日本通信株式会社常務取締役CMO兼CFO)

12月8日(月):「2016年東京オリンピックと文化振興」   
講師:太下義之氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング    
芸術・文化政策センター長 兼 経済・社会政策部主任研究員)

12月10日(水):「ネットビジネスとフェアユース」   
講師:城所岩生氏(成蹊大学法学部享受、米国弁護士)

12月17日(水):「’人間系の情報社会’構築に向かって」   
講師:坪田知己氏(日本経済新聞社日経メディアラボ所長、慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別研究教授」

■関連URL
麻生さんも出席予定の「コンテンツ学会設立総会・シンポジウム」に参加してきます (2008.10.9)

Comment(0)