グーグルの創造的破壊とマイクロソフトの挑戦
米Microsoftのビル・ゲイツ会長は5月7日、都内で記者会見を開き、Microsoftの今後の戦略や米Yahoo!の買収提案などについて言及しています。ゲイツ氏は、日本市場に対して「日本市場は独特、SaaSのような賭けも必要」と述べています(関連記事)。
Yahoo!の買収断念や「SaaS」というコメントを出すなど、マイクロソフトのインターネット事業戦略の見直しの苦悩と危機感が見え隠れしています。また、来月新しい検索プロダクトプロダクトのバージョンを披露する予定で広告主の選択肢を増やしていくとコメントし、検索市場で先行するグーグルに対してライバル意識も見せています(関連記事)。
「グーグルが日本を破壊する」の本には、後半に「マイクロソフトはグーグルに追いつくか」という内容が書かれています。グーグルとマイクロソフトの比較を少し整理すると、
広告売上高は、
- グーグル(Google) 約105億ドル (2006年)
- マイクロソフト(MSN) 約18億ドル (2007年)
とグーグルが5倍以上の売上げを占めています。
全体の売り上げは、
- グーグル(Google) 約106億ドル
- マイクロソフト(MSN) 約511億ドル
とマイクロソフトが5倍以上も売上げています。
グーグルの成長率は現在70%、今後50%で成長するとすれば、マイクロソフトの売上高に届くのは、2012年ごろになる計算です。
これまでグーグルは「検索」+「広告」に「無料」サービスを提供し、既存のビジネスモデルを破壊してきました。オーストリアの経済学者シュンペーターによって唱えられた考え方、「創造的破壊」をグーグルがまさに実践していると言えるでしょう。
ソフトウエアなどをパッケージで提供しているベンダや、既存でASP/SaaSで提供しているプロバイダにとってグーグルの存在は脅威でしょう。そして、テレビや携帯電話のアンドロイド、新聞業界、WiMAX等のインフラ事業等の分野に、創造的破壊の範囲を広げようとしています。
MicrosoftがGoogleの創造的破壊のターゲットとならないためには、インターネットの検索と広告事業への注力が必要であり、さらにSaaSのような賭けも必要となってきているのでしょう。破壊されるのではなく、同じ土俵で勝負をしていくための環境と戦力を整えていかなければならない時期にきているのかもしれません。