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離陸する動画アフィリエイトビジネス

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インターネットで広告収入を得るにはホームページやブログそして携帯サイトの画像やテキストのアフィリエイトが一般的でしたが、4月から動画投稿によるアフィリエイトや広告還元の動きが活発化しています。

まず、ソニーが4月9日に「BLOGENT」(ブロジェント)を開始し、同社が運営する「eyeVio」の動画をアフィリエイト広告として利用し、動画をクリックするとECサイトにアクセスする仕組みを検討しているようです(関連記事)。

また、グーグルは4月17日に、「YouTube」で人気が高いオリジナル動画の投稿者に広告収入を得られる機会を提供する「YouTubeパートナープログラム」の申し込み受け付けを始めています(関連記事)。

そして、NTTコミュニケーションズは、4月23日、業界初の著作権保護機能付き動画アフィリエイトサービスを始めています(報道発表資料)。DRM(Digital Rights Management)に対応し、動画コンテンツの暗号化、改ざん防止、視聴期間と視聴回数の制御が可能です。

さらにNTT(持株会社)は、4月22日にネット上に投稿された動画や映像コンテンツの中に、あらかじめ登録された動画や映像コンテンツが含まれているかどうかを高速に検索できる技術(ロバストメディア探索技術)を開発したと発表しました。1日数万件の動画処理を行える行う計画でYouTubeの規模クラスでも検証可能なレベルとしています(関連記事)。この開発は動画アフィリエイトとは直接関係ありませんが、違法コンテンツを除外する点で動画アフィリエイトビジネスをサポートする技術であると考えられます。


では、これらの仕組みにより動画のアフィリエイトビジネスは離陸するのでしょうか?

以前、「YouTubeは規制からクリエーター支援のプラットフォームへ」の中でご紹介させていただきましたが、角川グループが、YouTube上で動画の著作権を配慮したクリエーター支援のプラットフォームの事業展開を発表しました。動画のアフィリエイトが普及していけば、興味本位で投稿していた動画も、動画投稿で生計をたてるプロシューマーやクリエーターも出てくることが考えられます。つまり、質の高い動画が増え、時にはマッシュアップを経てCGMから商用レベルのトランスフォームされるコンテンツが増えてくることが予想されます。

一方、「日本語のブログ数は世界一だが、4割はスパム」で指摘させていただいたように、アフィリエイトに誘導することが目的のアフィリエイトスパムのブログが増えてきているのも現状です。動画投稿においても同様にアフィリエイトスパム動画が増え、動画全体の質を落としていくリスクも考えられます。

これら動画アフィリエイトの一連の取り組みは歓迎すべきことなのですが、今までの動画投稿の良さが失われてしまう可能性も少なからずあるでしょう。しばらくこの動画アフィリエイトの動きには注目してみる価値はありそうです。


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