『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

Googleはインターネットを利用する上でもはや手放せない状況になりました。最初のスタートページはInternet Explorerでは会社のイントラネットのポータルサイトを立ち上げますが、FirefoxではiGoogleをスタートページにしています。その他、Google ニュース、Gmail、Googleリーダー、Google Map、Googleドキュメント、Google Analyticsなど利用は様々です。

 

進まないGoogleのエンタープライズ分野での利用

しかし、Googleの利用はあくまでもコンシューマとしての利用がほとんどで、企業の情報システムの中で利用しているわけではありません。Google Appsが昨年度から提供されていますが、まだまだ企業での導入が進んでいるとは言い難い状況です。Googleが便利で安価であることは多くの人が理解しているところですが、企業の導入においては二の足を踏んでいるのが現状かと思われます。

以前、「Gmailは企業に普及していくのか?(1) --企業にとってのメリットとは?」、「Gmailは企業に普及していくのか?(2) --セキュリティは大丈夫か?」というブログをご紹介させていただきました。Gmailの導入にあたっては、SLA(Service Level Agreement)やセキュリティ等問題があり、中小企業やベンチャー企業等の中でITの先進企業は導入に踏み込むケースは出ていますが、大企業になると、リスクを懸念し導入ケースはあまり見られないのが現状です。

 

Googleはエンタープライズ市場を理解していないのか?

また、Google自体がエンタープライズ分野においては、まだまだ認識が低いという指摘もあります。Gartnerのアナリスト、トム・オースティン氏は、「Google AppsがMicrosoftとIBMを犠牲にして、企業へと浸透する可能性は十分にある」としながらも、「Googleはエンタープライズ市場を理解していない」と指摘しています(関連記事)。

 

GoogleとSalesforce提携のインパクト

しかし、Googleもエンタープライズ市場への拡大に向けて手は打ってきているようです。米Googleと米Salesforce.comは4月14日、Salesforce.comのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)にGoogle のオンラインオフィスアプリケーションGoogle Appsを統合したクラウドコンピューティングスイート「Salesforce for Google Apps」を提供すると発表しています。SalesforceユーザであればGoogleの新機能を追加費用なしで利用できるようです(関連記事)。

 

SalesforceはSaaSの今後の展開においてNGNを視野に?

そのSalesforceは、4月21日に「「実例から見るSaaSと今後の展開」~ICT時代の中心からモバイル連携、次世代ネットワーク(NGN)へ~」という内容のセミナーを開催します。4月15日時点で既に満席となっておりSaaS、NGNというキーワードに対しての人気の高さが伺えます。本セミナーの詳細はよく理解していませんが、SalesforceはSaaSをNGN経由で提供することも視野にいれているのではないかと推測されます。

NTTもSaaSには積極的で「SaaS over NGN」というキーワードを打ち出し、「次世代サービス共創プラットフォーム」の中でSaaSプロバイダの要望を聞き取り、NGN上でのSaaS展開(NGNの機能をSNI<application server-network interface>経由で提供)の検討を進めていくようです(日経コミュニケーション2008.4.15記事参照)。

 

GoogleもNGN経由で提供されるのか?そのメリットは?

SalesforceがNGN経由で提供すると仮定すれば、提携するGoogleもNGN経由で提供されることも可能性としてはあるかもしれません。しかし、既にコンシューマの世界、そしてインターネットの世界で普及しているGoogleはNGN上で提供する必要はあるのでしょうか?

まず、セキュリティ面です。NGNは第三者によるなりすましの攻撃を防ぐことのできる「回線認証」の機能をもっており、Googleで懸念されるセキュリティリスクを低減することはできるでしょう。また、SLAについてもNGNはインターネットにはないQOS(帯域保証機能)や安定した通信が期待されるので、SLAも現在のGoogle Appsの99.9%よりも高い稼働率が期待されます。

そして、SIP(session initiation protocol)と一般的なアプリケーションAPIを仲介するSDP(service delivery platform)が整備されれば、SaaSプロバイダ等が、認証や帯域保証と連携するサービスが提供可能になるでしょう。

Googleがコンシューマ市場からエンタープライズ市場に足を踏み込んでいくためには、近い将来、NGNとの連携が必要不可欠になっていく時が来るのかもしれません。

MASAYUKI HAYASHI

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林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスの開発企画を担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『「クラウド・ビジネス」入門』

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