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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

アップルやグーグルに日本企業は何故勝てないのか?

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日本の日経平均株価が下落の一途をたどり、日本市場に対して海外メディアはネガティブな記事を相次いで掲載し、外国人投資家の日本市場に対しての失望感も漂っています。

 

海外パソコンメーカ上陸のインパクト

一方、海外のパソコンメーカ等の日本上陸の動きが活発です。アップルは116日(米国時間115日)に「MacBook Air」の発売を発表し、日本のユーザも非常に関心を示しています。そして今月25日には、台湾メーカのASUSTeK Computerが、ゼロスピンドルA5モバイルノートPCEee PC 4G-X」を49,800円前後で発売されますが、日本のパソコン市場の価格破壊等の影響も大きいでのではないかと考えられます。

 

日本の携帯市場は鎖国から開国を迫られる!?

携帯市場においてはどうでしょうか?NTTドコモやソフトバンクモバイルはiPhoneとの提携交渉も進めています。どちらが提携するにしてもiPhoneの日本上陸は、日本の携帯市場の勢力図も大きく塗り替えられる可能性も考えられます。そしてグーグルのGoogle Androidの登場や通信サービスのID共通化等により、端末のオープン化が進み、日本の携帯市場の垂直統合から、水平分散型のビジネスモデル転換を余儀なくされることになるでしょう。

 

googleは既になくてはならない存在

グーグルが提供する検索エンジンやiGoogle、そしてGmailYouTubeは、私たちがインターネットを利用する上でなくてはならない存在になってきています。さらに米グーグルは1月17日に、今後510年間の5つの社会貢献活動分野を発表し、2500万ドル以上の助成金提供などを計画し、インターネット分野だけでなく、環境分野やフィランソロフィーにも力を入れてきています。

 
世界の技術のイニシアティブもソニーからアップルに変わり、日本の検索エンジンは、グーグルとヤフーの2強や中国の百度等に歯が立たず苦戦を強いられています。現在、経済産業省主導で情報大航海プロジェクトを推進しており、日本発のウェブ国産技術に期待が寄せられています。

 

では、日本企業は何故、アップルやグーグルのような勢いがないのでしょうか?

 

日本の技術改革遅れの背景

日経新聞の119日の9面に「「ニッポン」失望のワケ ~改革遅れの背景分析」の中では、ニューズウィーク誌の記事を紹介し、アップルやグーグルのように飛躍的な成長を遂げられないのは、

  1. 年功序列のため、IT(情報技術)の知識の薄い層が管理職となっている
  2. 大学との技術交流がない

と分析しています。

特に一般的な大企業においては、年功序列の比率が高いだけでなく、ビジネスを推進していくにあたって、特にボトムアップの場合は多くのプロセスを踏んでいく必要があるため、気付いたときにはベンチャー企業に先を越されているというのも多々あるのは否めません。

 

消費者向けサービスを生み出すパワーに欠けている

佐々木 俊尚 ()の「ウェブ国産力 日の丸ITが世界を制す 」の中では、閉ざされた日本の要素技術の問題点をあげ、“要素技術の研究が大企業主導型になってしまい、その結果、要素技術が消費者向けのサービスに結びつかない構造にできあがってしまっている”と指摘しています。

 
現在、Web2.0の潮流にのった“mixi”や“モバゲータウン”等に代表されるSNSや、“はてな”に代表されるソーシャルブックマーク、QAサイトの“オウケイウェブ”、そして“ニコニコ動画”等の動画投稿共有サイト等多くの消費者向けのサービスは、(多くの顧客基盤を持っていた大手企業から)ベンチャー企業が提供するサービスにシフトしてきているのが現状なのではないでしょうか。

 

日本企業はこれからも勝てないのか?

同じく佐々木 俊尚 ()の「ウェブ国産力 日の丸ITが世界を制す」の中では、大企業の持っている世界に誇る要素技術と若いベンチャーを結びつけることの重要性を述べています。要素技術とベンチャー企業のフロンティア精神を融合させれば、まだまだ世界でも通用するサービスを提供することも不可能ではないでしょう。

 

まとめ

現状、日本はICT国際競争力において遅れが目立っています。大田経済財政担当相は1月18日、衆参両院の本会議で経済演説を行い、「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではなくなった」と、日本の国際的立場の地盤沈下に強い危機感を表明しています。


中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は1月17日、2007年12月末時点で中国のネット人口は億人を突破したと発表しています。中国は年内にも米国を追い抜く勢いでアジアにおいての日本の存在感も薄まってきています。


日本は今、世界にも負けない日本国産のIT技術そしてウェブ技術とサービスの展開を真剣に考え、そして再度世界への挑戦者の立場としての気持ちを持って対応していかなければならない時代にきていると言えるでしょう。


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