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翻訳・WEB・キャリアを極める?楽しく正しく新しい会社経営&オリンピックへの道?

観光通訳をするには、資格がいるのを知ってました?

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翻訳者も通訳者も医者や弁護士と違って資格がいらない
「私は翻訳者だ」と名乗れば仕事をしていなくても今日からあなたは翻訳者・通訳者だ。

もちろん各種検定試験はあり、実力値の目安になるが、それを持っていないからと言って、仕事をしていけないわけではない。

しかし、例外がひとつ。

通訳案内業である。

報酬を得て行う外国人への観光案内は、通訳案内士法に定められている。
国際観光振興機構が行う国家試験に合格して、通訳案内士として登録して初めて、仕事をすることができる。
「通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行ってはならない」(第36条)のであり、違反すると50万円以下の罰金に処せられるのだ。(第40条)
平成21年度は8078人が受験し1225人が合格(合格率15.2%)している。

さて、「通訳」と同じ単語を使うが、ビジネスで行う逐次通訳や同時通訳と観光案内で行う「通訳」案内業はかなり仕事の内容は異なる。

クライアントまたはクライアントが対話をする第三者の発する言語を他の言語に変換し、両者の意思疎通を図るのが通訳業務である。通訳はあくまで黒子で、通訳者自身の意見を反映させるものではない。(クライアントが通訳者の存在を忘れ、直接話し相手と話しているかのごとく快適に感じるのが、究極のサービスであると私は思う)

しかるに、通訳案内業は、通訳というより観光案内業と思ったほうが実態に近い。例えば、金閣寺の前を通れば、金閣寺の説明を外国語で行うし、日本料理を食べたいという観光客にどこへ行けばよいのかアドバイスし、言語能力や知識以外に、ホスピタリティがとても重要である。
その他の通訳案内業としては、国際会議でのインフォメーションデスク業務、会議の参加者や同伴者のためのツアーへの動向、企業のインセンティブツアーへの同行、来日したセレブのお忍び旅行の同行・・・なんていうのもある。

創業当初はビジネス通訳の仕事のみを行っていた弊社だが、最近は日本にやって来る外国人観光客への通訳サービスを提供することも増えだした。

通訳案内業については言語によって需要と供給のミスマッチが起こったり、資格をとっても実際にその業務につかない人も多いなどで、規制緩和をすべきという意見や、質の悪いサービスが横行しているのでむしろ取り締まりを強化すべきだという意見があり、足並みはそろっていない。観光立国を目指す日本が解決していかなければいけない問題であるが、まずは、みなさん、善意で法律を犯さないようにご注意あれ。

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