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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

ITエンジニアのセカンドライフを考える

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業界に関係なくバブル入社組の早期退職勧告が増えていると聞きました。昨年、伊勢丹三越が大幅なリストラ計画を発表してから話題にはなっていたと思います。

一昨日にはこんな記事も出ていました。

5年ぶりに増加 「希望・早期退職者募集」実施企業リスト

これによると、製造業、小売業などで早期退職募集が顕著であり、今後メガバンクも増えていくだろうということです。

必ずしもバブル入社組だけではないのでしょうが、メインターゲットはそこであるのは間違いありません。50歳を超える人が増え給与が高い上に、人数も多いからです。

一方、この世代の方々も「自分は給料ほど会社に貢献していない」と考えている方が多いらしく(出典を探したのですが見つかりませんでした)、早期退職募集に応募しやすいのだと言います。

IT業界はどうなのでしょうか。

バブルの頃は、大手SIerの中には2000人ぐらい採用していた会社がありました。そういうことが数年続いたわけで、半数が辞めたとしてもまだかなりの人がいると思われます。これがバブルが弾けてからは、一挙に5分の1ぐらいに落ち込んだわけで、かなりいびつな年齢ピラミッドを描いているはずです。

実際、私の友人にもメーカーグループ内の大手SIerを昨年辞めた人がいます。Aさんとしておきましょう。Aさんは在職中から株式投資等で資産形成していたので、早期退職募集にはすぐに応じたと言っていました。「なるほどあの会社でも早期退職募集をしているのだ、だったら他でもやっているのだろうな」と推測する次第です。

SIerだけではありません。もう5年前のことになりますが、私がシステム部門要員の教育について10社ぐらいを取材したときに、半分ぐらいの会社から40歳過ぎの社員をどう再育成したらいいか分からないという話を聞きました。正直、なかなか無責任なことを言うなあと思ったのですが・・・。

Aさんのように資産形成ができていて、投資等にも詳しく、他にもやりたいことがある人であれば、早期退職に応募するのもいいでしょうが、そうでない人の多くは、とりあえず退職金をもらって、ゆっくり再就職しようと考えるのではないでしょうか。

しかし「人生100年時代」と言われる昨今です。再就職は本当に得なのでしょうか?

私にも正解は分かりません。しかし、50歳を過ぎた再就職にはいくつかのデメリットがあると思います。

  • なかなか希望の職種にはつけない
  • 多くの場合給料が下がる
  • 役員として残れる道は狭いので、長くても10年ぐらいしかその会社では働けない

※希望の職種につけない件に関しては、いっけん正社員を募集しているように見えますが、実は派遣社員を募集している会社がIT業界には多いことも知っておいたほうがいいでしょう。

これらのデメリットが当てはまるのであれば、石にかじりついてでも今の会社で定年を迎えるほうが得策ではないでしょうか?

ただし、今度は55歳で役職定年となり、肩書きが剥奪され、給料も下がるという屈辱を受ける人も出てくるでしょう。これは諸先輩方を見ていたら、本当につらいことのようです。

であれば、独立・起業を選択するほうがいいかもしれません。

60歳で定年退職(その頃はもう少し伸びているかもしれませんが)しても、その先20年以上働かなければならないのであれば、できるだけ早くに自力で稼げるようになるほうがいいと思うのです。

とはいえ、Aさんのように40代後半で資産形成ができていて、株式投資や事業投資を知っていて、マーケティングにも造詣がある(Aさんは最後の14年間、マーケティング部門におり、部門の立ち上げから経験しています)人ならともかく、そんな準備はできていない人がほとんどではないでしょうか?

実は私自身、全く何も準備していなかったのに、ある先輩の話に飛びついて独立しました。2005年のことでもう12年半前のことになります。

現在ではITエンジニアだったことを強みとして、ライター業で生計を立てられるようになりました。

しかしそうなるまでに、死にたくなるような時期が何度かありました(ただ、自分でも意外なほどあくせく働いたことはなく、それは唯一の私のウリだと思います)。何も知らないのに独立したのがいけなかったのだと、これは断言できます。

そこで独立・起業も視野に入れてセカンドライフを考えているITエンジニアの方々のために、かなり恥ずかしい話もあるのですが、これから何回かにわたって自分の経験を振り返ってみようと思い立ちました。

そこには数々の教訓があります。失敗による教訓もあれば、成功による教訓もあります。少なくとも失敗を避けられれば、独立・起業で成功する確率はずっと高まるでしょう。

必ずしも独立・起業を勧める意図ではありません。実際話を読んで辞める人もいるかもしれません。ですが、どちらを選ぼうと、何らかのご参考になるのではと思っています。

つづきはこちらへ。


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