「若者はなぜ3年で辞めるのか」を読んで。
時間が空いたので本屋に立ち寄ったら「若者はなぜ3年で辞めるのか?」が置いてあったので買って読んでみました。
著者は「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」でおなじみの城繁幸氏なので、てっきりIT業界の話かなと思って読んだんですが、実際に読んでみると話は若者の視点からの年功序列制度批判と考察という感じでした。
読んでみた感想は、「うーん」という感じですね。
内容自体は年功序列がいかに(有望な)若者に理不尽な制度であるかについて城氏独自の視点で問題提起と考察がなされていてなかなかなのですが、若者が3年で辞める理由として、
「年功序列制度の名の下、(たいして役に立たない)オジサマの高給を支払うために若者が酷使され、挙句に、今の若者がオジサマになった時には、成果主義の名の下、高給はもらえないということにうすうす気づいて若者は辞めるのだ!」
というのが前提となっているのですが、この前提に個人的にリアリティーが持てなかったためちょっと拍子抜けといった感じでしょうか。
確かにそういう理由で辞める人もいると思うのですが、大企業の総合職採用の人じゃないでしょうかね。
私の周りではむしろ成果主義の会社の方が離職率は高い気がします。
IT業界じゃもっぱら、若者が辞める理由は、
1)仕事がきつい。
2)「自分に合った職場があるはず」というシンデレラシンドローム。
3)転職サイトの充実により転職のハードルが飛躍的に低下した。
だと思うんですがね。
あと、年功序列の対極にあるのが成果主義的なニュアンスにもちょっと違和感を覚えました。もちろん城氏の言う成果主義は前著で触れられている「日本型成果主義」であることは理解しているつもりなんですが、私は年功序列というのも嫌いではないので、「年功序列=悪」、「成果主義=善」という感じには単純には思いません。
よく、成果主義は日本人に向かないという話がありますが、私は、そもそも成果主義は人間に向いていないと思うのです。
年功序列と成果主義というのは、どちらも人事制度ですが、年功序列という言葉は「一生働くための仕組み」が内包されていますが、成果主義には、刹那刹那の富の公平な分配という視点しかなく、人間が一生そこそこ平和に働いていくための要素が足りない気がするのです。
私は成果主義の文化しか知りませんし、自分で言うのもなんですが、どの環境においてもぼちぼち成果を出してきたつもりですが、綱渡り的要素は多く、今後一生、成果を出し続けなければならないと思うと気が遠くなります。住宅ローンなんて到底払える気がしません。
なんか、しんみりして来たので今日はこの辺で。