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ロック世代の文系ITビジネスマンが社会と企業のITとDX(デジタルトランスフォーメーション)を易しく語ります。

IT屋はソロバン屋か?:ブログ開設にあたって

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はじめまして:DXAの竹林です。

初めて投稿します。

現代は社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいる時代と言われています。

社会も企業もそして我々の暮らしも大きなTransformation(改革というよりも、まるごと変わるという意味で

「変貌または転換」というべきか)の真っ只中にいると言えるでしょう。

私は文化系出身で総合商社にはいった、もともとはビジネスサイドの人間です。

総合商社の自動車部門員としてでアメリカに長期出張した若い頃(1980年代)にアメリカの自動車業界でのIT(当時はEDP=Electronic Data  Processingと呼ばれていた)を活用した仕事の進め方に触発され、希望してIT部門に移って以来、総合商社、大手コンビニエンスチェーンおよびその事業会社などの立場で、一貫してITを活用して事業改革を行う仕事をして来ました。

今般、独立開業するにあたって、自分の仕事を「企業DXの設計士」(=DXのアーキテクト)と定めました。

自分のこれまで学んできたことや教訓、成功体験/苦戦の経験を、いままさに起ころうとしているデジタルトランスフォーメーションの進展に貢献しようと考えての事です。

Take IT easy:

このブログでは、ITをことさら難しく考えるのではなく、自分たちのわかる形、伝えらられと言葉で捉えよう、という意味をこめて、『Take IT easy』というタイトルとしました。

日々の仕事の中で。気がついたこと、疑問に思ったことや、誰かと議論をしたいことなどを、フランク、カジュアル、そしてできる限り本質的な切り口で語って行きたいと思います。

※米国のロックバンド The Eaglesの ♫Take it easy という曲へのオマージュであることは、

 バレバレと思います(笑)

君らIT屋はソロバン屋やろ?そのソロバン屋が商人に商いをおしえよう、いうのか?

さて、第一回の投稿に移ります。

1998年頃、今振り返ればネットバブルの直前の頃の事です。

私は、総合商社のIT部門にいて、こんなことを考えていました。

(当時自分は40歳、IT企画部の業務改革室長という立場でした)

・インターネットが一般ビジネスで当たり前のように使われるようになった時、商社のビジネスはどう変貌するのか?

・世界に拠点を以て、情報格差を競争優位の源としてビジネスをして来た総合商社は、情報が限りなく自由でタダにな近づくネット時代に、果たして存続可能なのか?

そこで、当時のIT企画部長の許可を得て、キャラバン隊を編成して、社内の主な事業部門に啓蒙?または啓発のセッションを開いて廻ったのです。

曰く、

・ネットが普今までの仕事の仕方を抜本的に変えないと生き残れない。

・ネット上にもうひとつの総合商社を作るくらいの斬新な取り組みが必要なのでは? 等など。

その時、繊維・アパレル部門の事業部門のトップであり役員だった方に言われたのがこの言葉です。

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「君らIT屋は、いうてみたらソロバン屋やろ?そのソロバン屋が大阪商人に商いを教えよう、いうのんか?」

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当時の自分にはきつく響いた大阪弁で言われたこの言葉は強烈でした。反面、言いえて妙なところもあるな、うまいこというなぁ、と素直に感じたこともよく覚えています。

このK専務の言いたかったことを咀嚼するとこういうことではないか。

・ITといってもソロバンと同じく、ビジネスや事業からみれば道具/ツールに過ぎないだろう。

・その道具のプロがビジネスや事業自体の将来や、ビジネスの将来のあるべき姿を問いかけるのはピンとこない。

・IT屋さんのいうことは参考にはするが、ビジネス、事業のことは自分たち事業部門が考える。

結局この社内キャラバン隊は目に見える具体的な結果を生み出すことはできなかったものの、その約1年後に情報産業部門というITでビジネスをする事業部門内に組成された「ネットビジネス創出タスクフォース」(実際の名前は少し異なりますが)の地馴らし、種蒔きの役割は果たせました。

参考までに、このT/Fにはこの繊維・アパレル部門の中堅社員からネットを活用した新規ビジネスの企画が持ち込まれ、FSのあと、必要なITシステム・サービスを構築して収益の上がる事業として別会社化され、現在も立派に営業中です。

そして、今考えるべきこと

いま、デジタルトランスフォーメーション(=ITを基軸とした事業の業態転換)の時代に、この言葉を振り返ってみたいと思います。

1)事業部門からみれば、ITといえども、かつてのソロバンと同じく、自分たちの事業/ビジネスを遂行するための道具、ツールに過ぎない、ということを再認識すべき。

2)しかし、ITはソロバンとは下記の点で大きく異なる。

・ソロバンと違って、ITは日進月歩、秒針分歩で技術革新の進む、「進化する道具」そしていまや「自ら学ぶ道具」であること。

・ソロバンが計算のみに特化した道具だったのとことなり、ITは事業活動と社会活動のあらゆる局面で人間の行動の仕方を変え得る、「汎用的で普遍性を持った道具」であること

・それが故に、ITのプロは道具、ツールのプロであるだけでなく、ITというツールの使い方、活用の仕方のプロであるべきこと。

3)デジタルトランスフォーメーションがITを活用した事業変革、業態変革である以上、その事業変革企画は危機感と必要性の認識を持った事業部門主導で行われるべきこと。

そしてITのプロは事業変革における目利き、参謀、パートナーとして事業部門と一体となってプロジェクト推進に貢献すべきこと。

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今後も投稿していきますので、よろしくお願いします。

/DXA竹林

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