オルタナティブ・ブログ > 熊谷修司の最高のチームを創る >

組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

それは何の役に立つのですか?

»

ノーベル賞を受賞した小柴教授が、記者から「その研究は何の役に立つのですか」と質問を受けると、教授は「役には立たないねぇ」と答えました。

テレビの報道はそこで終わってしまい、その後のやりとりはわかりませんがとても印象的な答えでした。「役に立つ・立たない」という視点で質問した記者に対して、皮肉たっぷりに「そんな風にしか物事を見れないの?」という気持ちなのかもしれません。

また、小柴教授は別の番組で「電子が発見されたとき、それが何の役に立つか誰も知らなかった。役に立つから電子を研究したわけではない」と語っていました。

ある作家は「二次方程式なんて社会に出て何の役にも立たない。役に立つことだけやっていればいい」と言っていました。

役に立つことは確かに大事ですが、「役に立たなければムダ」とか「役に立つことだけやる」という考え方には、「そうじゃないだろう」と思います。

中国の古典には「無用の用」という考え方が書かれています。そこには「天から見れば役立たないものなど一つもないのだ」と。

「そうだったんだ」の池上彰さんは「すぐに約立つものは、すぐに役立たなくなる」と言っていました。サッカー日本代表の長友選手。彼はボールが来ても来なくてもとにかく走ります。長い距離を走ってもパスが来ないことのほうが多い。海外でも国内でも彼が評価されるのは、そういう「無駄走り」を誰よりもできるからなのです。

Comment(0)