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組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

人生はピッチャーゴロ

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先日、高校で卒業式が行われました。卒業式って、いいものです。卒業式の後は各クラブでの「卒部式」

下級生たちが色紙や記念品を贈り、卒業生も一人ひとりが思いを語って最後のひと時を過ごします。私たち教員もそこに参加し、彼らに思いを込めてはなむけの言葉を贈ります。話すことは毎年違うわけで、今年は「人生はピッチャーゴロ」と話しました。

ピッチャーゴロは望んでいた結果でもないし、望ましい結果でもありません。ヒットを打ちたかったのが、不本意なピッチャーゴロ。その次に何をすべきなのか・・・。あきらめてゆっくり走り始めるのか、全力で一塁に向かうのか。そこが大事なところ。

社会に出たら、圧倒的にピッチャーゴロが多いのです。大事なのは、その次に気を取りおなして全力疾走出来るかどうか。生徒にいつも言っていたのは「ピッチャーゴロでの全力疾走」です。あきらめたらそこで終わりだと。ヒットやホームランはもちろんいいプレー。それは誰の目にも明らか。でも、「ピッチャーゴロで全力を尽くしたプレー」こそ、見過ごすことなく讃えなければなりません。私たちはそこを大事にしています。絶望的な状況でも決してあきらめないこと。

今回のオリンピックでは、まさに浅田真央選手がそれを見せてくれました。「取り返しのつかない状況」から「ひたすらベストを尽くす」姿勢。それを見て、日本中が感動し涙したのでしょう。人としての真価が現れた演技でした。

人生はピッチャーゴロ。生徒にそう話しながら、自分にも言い聞かせていました。ホームランなんてほんの一瞬。ピッチャーゴロでも全力で走ってくれ。それが人間としてほんとうに美しい。

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