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"ソーシャルメディアとは何か"をきちんと捉え直すためのヒント

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今年は昨年の流れを受けてさらに「ソーシャルメディア」という物に対して注目度が高かった一年でした。

Amazonで「ソーシャルメディア」で検索すると190件ほどヒットしますが、そのうちの半分以上~3分の2は今年2010年に出版された物でした。

それだけ盛り上がっている「ソーシャルメディア」ですが、色々な方の話を伺っていると実際に有効活用できているのは一握りの企業にとどまっている様です。

いざ実際活用しようとしたが、どうしたらいいのか戸惑ってしまいまだ手を出していないという方が、少なくないようです。また、手を出したという場合も、「とりあえず本に書いてあることをそのままやってみた」という場合が多いようです。また、自社に最適な方法を考えていこうにも見当が付かないとも。

Social Media & Marketingなぜなんでしょうか。

ここには、ソーシャルメディアに関するノウハウが未成熟といったことではなく、それ以前の問題がいくつも横たわっているのではないかと感じています。

そしてそれは、最初にあるべき「そもそも論」不在のまま個別具体論が飛び交っているため、ではないでしょうか。

そこで今回は、ソーシャルメディアを活用できるようになるために、改めてソーシャルメディアって何?ということを掘り下げていきたいと思います。

上手く使うことができないワケ

「ソーシャルメディア」を活用するには、そもそも「ソーシャルメディア」って何?というところがある程度分からないと、なかなかどうしようもありません。

「インターネット」そのものがよく分からない状態で「WEBサイト活用」の話を聞いても、なかなかピンと来ないのと同じです。

しかしこの辺りが分かりづらく、腹に落ちていなければ、ソーシャルメディアを自社に適した形で使っていくこともできませんし、発展させることもできません。

そうすると、マニュアルを見てその通りにやる、といったようなやり方でひとまず動く…という状態になってしまいがちですよね。

ではなぜ、分かりづらいのか。

原因は大きく2つあるのではないかと思います。それは

  • もともとがプロダクトアウト的に生まれた用語である。ツールと密接に絡んだ状態で情報が飛び交っている
  • 用語の定義が曖昧なまま様々なノウハウが飛び交っている

です。

具体的にはどういうことか

「ソーシャルメディア」で検索すると、大概以下のような文章が出てきます。

  • Twitterアカウントを取得して、ソーシャルメディアを活用しよう
  • Facebookのファンページを使って、ソーシャルメディアマーケティングをしよう
  • ソーシャルメディアの最適化を○○○というツールで行おう

特定のサービスやツールと一緒に語られることがほとんどです。
頭を真っ白にしてそれらだけを読んでいると「ソーシャルメディア≒Twitter+Facebook+etc+etc...」となります。その結果ツールありきでツールを使ってどうするか、という文脈になります。

しかし実際は、ソーシャルメディアはその言葉が示す通り、単なる「メディア」でしかありません。

メディアとは「媒体。手段。特に、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体。 :Goo国語辞典」という意味で、英語では媒体や媒介物を表すmediumの複数形です。

物事を伝える手段や媒体そのものがメディアであって、特定のサービスや企業と結びついている物ではありません。

ビジネスで使う場合、メディアとは売り手と買い手とのコミュニケーションチャンネルとほぼ同一です。

買い手となる見込み客・顧客に対して、雑誌の広告で商品の魅力を訴えていく、ラジオ番組のスポンサリングで企業の姿勢や理念を伝えていく、テレビのCMで新製品を知らせていく、WEBサイトで実際の仕様事例を詳しく伝えていく、そしてソーシャルメディアを使って、生の使用感を拡散していく…、

つまりとらえ方としては

 「売り手と買い手との間でコミュニケーションを取る手段の1つ」

くらいにシンプルに考えるのがいいかと思います。

ソーシャルメディアとは、「人付き合いを媒体とした売り手と買い手のコミュニケーション手段」

その上で、既存のチャネルであるDMやFAXに電話、店頭、インターネット等とはどう違うのか。

それは、「ソーシャル」という言葉が示しています。

「ソーシャル」を「社会」と訳してしまうと意味が分からなくなるのですが、「ソーシャル」には「社交・人付き合い」ですとか「社会生活の上での」といったような、人と人とのつながりを表す意味があります。
どちらかというとそちらの文脈が、英語からの翻訳としては適切なのではないかと思います(ネイティブに確認したわけではないので、ご容赦下さい)

つまり、ソーシャルメディアとは、「人付き合いを媒体とした売り手と買い手のコミュニケーション手段」です。

テレビは「テレビ放送電波という媒体を使ったコミュニケーション(一方通行ですが)」、WEBサイトは「WEBサイト上の情報やプログラムを通じたコミュニケーション」と言えます。

媒体が、人付き合い・人脈、なんです。

口コミマーケティング、バイラルマーケティングがソーシャルメディアと一緒に語られる事が多いのは、バイラルマーケティングは口コミを媒体をしているので、ソーシャルメディア上でしか存在し得ないからです。

(ただ、ソーシャルメディアの場がWEBサイト上にあることも多いので、また混乱するのですが…インターネット上にソーシャルメディアとWEBサイトメディアがあって、その間は曖昧というとらえ方になるかと思います。ただ、いつか統合していくとは思います)

TwitterやFacebookは、ソーシャルメディアを行う「場」である

その上で、それではTwitterやFacebookは何なのかというと、ソーシャルメディアを実現させる「場」なんですね。

「店頭での商売」を効率よく・便利に行うために「商店街」や「市場」や「ショッピングモール」などがあるように、「ソーシャルでの商売」を効率よく・便利に行うために「Twitter」や「Facebook」などがあるイメージです。

その場にはその場の種類ごとの特徴がありますから、自社が人付き合いを媒体としたコミュニケーションを買い手と行う際に(=ソーシャルメディアを使う際に)、どの場を選んでどういう形で何をするのか、を考えることになります。

ソーシャルメディア≠ソーシャルメディアマーケティング

企業は利潤を生み出すことを目的としてるわけですので、自然と販売に関する活動を行うことになるとは思いますが、それ以外の活動を行ってはいけないわけではありません。あくまでもチャネル・場に過ぎません。

なので、「ソーシャルメディアの活用」は「ソーシャルメディアマーケティングを行うこと」と同一ではありません。
1970年代コンシュマーリズムの流れの「ソーシャルマーケティング」と合わせて、この3つはよく混同されているように思います。

その上でどうするか

このように、ソーシャルメディアとはあくまでチャンネルの1つに過ぎず、Twitterなどはその「場」の1つに過ぎないと言えます。

そこで、その前提と「このチャンネルの重要度がどんどんと増している」という事実を踏まえた上で、御社としては

  • どのようなコミュニケーションを買い手と取りたいか(率直に商品の情報なのか、使い方のサポート情報なのか、セールの情報なのか…etc)
  • その中でどのようなメッセージを伝えていきたいか(安い速い手軽なのか、丁寧親切なのか、高級感なのか、などなど)

について、一貫性を持った方向性を打ち出し、その上で

  • どのサービスを主な展開の場とするのか
  • そのサービスを使う上でどのような体制を取って、どんなツールを使うのか(使わないのか、作るのか含めて)
  • 何を以て成功の指標とするのか
  • 他のチャンネルと、どうシナジーを生み出していくか
  • 参入する前にどのような調査とノウハウが必要か

を考えていく流れを取るのが良いかと思います。

書籍やサイトなどでよく紹介されている他社の成功事例やノウハウは、一端このあたりまで考えた上で「方針にあっていて使えそうな物は取り入れていくという」姿勢をオススメします。

こと、ソーシャルメディアに関しては

  • 変化の速度が速いので、情報の鮮度が非常に重要(古い情報が今も役立つかは微妙)
  • 人対人のやりとりが多く、担当者の属人性が非常に重要だが、そのような暗黙知は余り表に出ない、可視化されてでてこない
  • 業種業態で非常にケースバイケース
  • 同じ事はさんざんやり尽くされていて焼け野原になっていることがある

などの要因があるので鵜呑みは危険です。

終わりに

戦略レベルの話にしろ、戦術レベルの話にしろ、まずはきちんと売り場を知らないと勝負ができません。

逆に言えば、売り場を知ってしまえば今までのノウハウを応用するだけで素直に入っていけると思います。その方が理にかなっていますし、今までのやり方との一貫性も取れます。

ソーシャルメディアは、なんだかよく分からないが急速に広がっていてとりあえず乗っかっていかないと置いて行かれる、といったイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。

もちろん早く始めるに越したことはありませんが、無理矢理初めて企業イメージ・販売戦略との一貫性が取れておらずクレームなどを引き起こすよりは、今後発展するチャンネルに本腰を入れて取り組む姿勢をとるべきだと思います。

今回の記事が、その一助となれば幸いです。

また、ソーシャルメディアマーケティングについては、改めて紙幅を割いてスタートアップガイドを書いていこうと思います。

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