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災害支援7日目あるいは今後の支援のあり方

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★今後、必要とされる支援
ゴールデンウィークがおわり、「ボランティアブーム」のようなものは一旦終わるだろう。でも、復興は遠く、やるべきことはまだまだある。
僕が見た範囲で、重要そうに思うことを簡単にリストアップしておきたい(もちろん、これ以外にもたくさんあると思う)。

1)瓦礫の撤去などの力仕事
僕らが行った部落はもともと建物の数が少ないので、南三陸の中心地に比べると瓦礫の量は少ない方かもしれない。それでも、片づけたりキレイにするべきことは山のようにある。
今のペースだと、夏休みいっぱいかけても終わらないだろう。

2)特定技能を使っての支援
僕らの部落には、お願いして大工仕事が上手なボランティアさん達に来てもらったので、井戸修理や簡易お風呂を作ることが出来た。他にも4トントラックで来ている方、重機が操縦できる方などの、腕に覚えがあるボランティアさんは多くいた。

ただ、現状ではせっかくの腕を活かせないことが多いようだ。重機は操縦できるが、重機がない。重機はあっても、それを見ず知らずのボランティアに貸し出す仕組みがない。
これから、長期復興フェーズに入るにあたって、このあたりのマッチングが鍵になることだろう。

Ido

3)タスクのアレンジ
僕らがやったような仕事。現地の方々と話をして、ニーズを掘り起こす。それが出来そうな道具を集めたり、人を連れてきて、タスクの説明をする。現場監督として、ちょっとした指示出しもする。
僕らはこの点で、ある程度貢献できたと思うのだが、それは1週間住み込みで過ごしたから、という面が大きい。土日だけ来て「タスクアレンジします!お任せ下さい!」というのでは、信頼関係を築けておらず、厳しいだろう。
かといって、仕事を持っている人がゴールデンウィークでもないのに1週間も2週間も過ごすのは難しいに違いない。

4)大規模避難所の運営
ゴールデンウィーク頃までに、南三陸の多くの避難所は閉鎖され、100人~400人程度の大規模避難所に集約された。これだけ人数が多くなると、避難所を運営するためには役場的な機能がどうしても必要となる。資源配分やルール決定など、公平で有効な意思決定をしなければならないからだ。
地元の方の自治に全てを任せるよりは、公平・中立な少数のボランティアが間に立った方が良いのだろうな、とは思う。単純に決定事項をきちんと伝え、要望を吸い上げる会議体を(プロジェクトでの会議体のように)作るだけでも、ずいぶんみんなのストレスは減るはずなのだ。

ただし、ハードルは高い。まず、最低1ヶ月、2ヶ月はいなければならない。
小さな避難所ですら、4日間しかいなかった僕らは、そういった有効な会議体を立ち上げることは出来なかった(あと5日間ほどあれば、多分出来たとは思うのだが・・)。
何より、優秀なファシリテーターでなければ務まらない。

★ボランティアをしていく上での課題
こうしてみていくと、今後の支援における課題は大きく2つのように思う。

一つは、ボランティアに働くモチベーションを維持してもらう工夫。
ゴールデンウィーク中は、多くの方がボランティアとしてきて、僕らが頼んだ仕事を、黙々とこなしてくれた。誰も「こんな仕事じゃなくて、自分にあった仕事がしたい」とか「やり方がおかしい」とか文句を言い出す人はいなかった。
ただ、1回だけなら良いだろうが、週末のたびに何回も繰り返すのは厳しいと思う。あまりに被害が大きすぎて、自分の貢献を実感しにくいからだ。土日で必死に頑張っても、復興全体の1/10,000なのか、1/100,000なのかも分からない。

解決策の案としては、地元の方ともう少し密なおつきあい、継続的なおつきあいをしながら支援することだろう。支援する相手の顔が見えれば頑張れる。継続的におつきあいしていれば、少しずつ良くなっていくことが実感出来る。僕らがいる間にそこまでの仕組みは作れなかったが、例えば部落ごとにボランティアを登録制にするとか、何回か来てくれた人には今後のタスクについて相談に乗ってもらうなど、ちょっとした工夫で出来ることは多そうだ。

もう一つの課題は、長期間のコミットメントが必要な仕事があるが、ボランティアは短期間が基本。これは大きなジレンマだ。先の大規模避難所の運営や、もう少し先を見据えた、復興後の街作りへの支援などが、そういった長期間のコミットメントが必要な仕事になる。

解決策の案は、企業や大学などの団体が組織としてコミットすること。人が交替していくのはしょうがないが、組織としては継続的に支援し、しっかりと引き継いでいく。これが出来れば、地元の方と信頼関係をキープしながら支援していけるはずだ。口で言うほど簡単ではないが。

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