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プログラミングでメシが食えるか!?

経営者と社員の食い違い

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経営者と社員の意見が合わないことは、どこの会社でもよくあることではないでしょうか。私の会社では、オーナーである会長と社員の考え方の差は非常に大きく、雇われ社長である私は、良くも悪くも両方の気持ちが分かります。今日はそんな話題を書いてみます。

・経営者が望むもの
経営者が何よりも求めるものは、「結果」です。オーナーでも雇われでも、結果、つまりお金が入ってこなくては、会社が潰れてしまいます。会社が潰れてしまえば出資金が無になるのはもちろん、借り入れなどがあれば連帯保証などで負債を抱えることになります。
もちろん、事業の将来性とかも重要です。今が良ければよいというものではありません。しかし、今を乗り切らなければ将来はないのです。従って、今を乗り切るためにお金が入ってこないとならないのです。

・社員が評価して欲しいもの
一方、社員が評価して欲しいものは、「がんばり」ではないでしょうか。結果がまだ出ていなくても、
・これだけ困難な状態からここまで立ち上げたのだ!
・毎晩遅くまで仕事をがんばっている・休日も返上してがんばっている
・少なくとも、以前よりはだいぶ良い状態まで持って来た
など、実際「がんばっている」のは間違いないのです。
社員には様々な立場があり、例えばリーダーやマネージャーと、メンバーやスタッフでは結果に対する責任も違ってくるでしょう。事業をコントロールしているのはリーダーやマネージャーであり、「1メンバーやスタッフがいくらがんばっても結果はなかなか変えられないじゃないか」ということはある意味正しいかもしれません。
そんなこともあり、社員としては「がんばっていること」自体を評価して欲しいものです。

問題は、経営者と社員の食い違いです。経営者は「結果」を求め、社員は「がんばり」を見て欲しいということで、そもそも評価対象が違うのです。

どちらも主張していることは正しいのだと思うのですが、一般的には経営者の方が力も強いため、社員は「文句があるなら結果を出してから言いに来い!」と言われてしまうと、どうしようもなくなってしまうことが多いでしょう。

この食い違いを何とかできないか、というのは私の長年のテーマの一つでした。私自身が新卒で就職して不満を感じていた頃、事業を立ち上げ課長を名乗った頃、会社全体を見ろと言われて統括部長になった頃、そして社長になった今と、自分の立場が変わるにつれ、不満を言う側から聞く側になってきましたが、いずれにしても食い違ったまま、つまり、経営者と社員の意識合わせができないまま事業を進めるのは良くないと考えていました。

経営者の評価基準である、「結果を出せ!」というのは、はっきり言って変えられないものでしょう。結果が出なければ、つまり、お金が入ってこなければ会社は潰れますから、「結果を出せ!」は正しいのです。

では、社員の立場としてはどうすればいいのでしょうか。

結果が出せれば何の問題もないのですが、事業というのは立ち上げてすぐに結果が出るものでもありませんし、外的要因によって左右されてしまうことも良くあるものです。そんなときに経営者と上手くやっていく方法・・・

私はやっぱり、「見える化」だと思っています。今取り組んでいることが、どんな状況で、どんな見込みがあり、どのくらい上手くいきそうなのか、問題点は何か、などを、経営者から見える状態にすることです。

経営者の立場で一番困るのは、「任せて欲しい」と言ったのに、任せていたら結果がでなかった、というパターンです。結果が悪いということが分かってからでは手の打ちようがないのです。そこで経営者は「どうなっているのか?」と確認したくなります。社員としては「任せると言ってくれたのに、細かいことに首を突っ込まれてやりにくい」と感じるかも知れませんが、会社を潰さないためには仕方ないのです。確認されたときに、さっと状況を見せられればいいのですが、大抵は実務に一生懸命で、まとまっていないのです。そのため、「こんな状態で上手くいくと思っているのか!」と雷が落ちるのです。社員としては「実務を一生懸命やってがんばっているのに」「報告用の資料を作る時間が無駄なのに」とか、不満を感じるわけです。

しかし、これは、経営者が不安になって確認する、というところまで放置していた社員の側の問題も大きいのです。最初から計画を明確化し、途中の状況も聞かれる前に都度報告していれば、経営者もわざわざ首を突っ込まないのです。これが「見える化」です。経営者が知りたいときにいつでも様子を把握でき、安心できる状態にすることです。心配になって確認してすぐに状況が出てこないから雷が落ちるわけで、最初からきちんと見える状態にしておけば、まずい点のアドバイスや指摘はあったとしても、雷はそう簡単に落ちないでしょう。

世の中が不景気な状態で、適当にやっていても結果が出ているというケースは希で、多くの事業は苦しい状況だと思います。社員も苦しいでしょうけれど、経営者はたまったものではありません。私は雇われ社長なのでまだまだマシな方だと思いますが、経営者の心理的な苦しさはやった人でないと分からないでしょう。例えば、運転資金を借りるために、経営者は自分自身が連帯保証人になるのです。経営者に、社員の気持ちになってくれ、というのは、はっきり言ってまず無理です。社員が経営者の立場を考えてコミュニケーションを図ることが大事です。そうすることによって社員もより高い意識での事業の勉強になるわけですし、成長できます。不平不満を言っていても何も解決しません。結果をなかなか出せないうちは特に意識して「見える化」で経営者を安心させるのがポイントだと思います。

私自身も、結果がなかなか出せなかった頃はしょっちゅう経営者と言い合いになっていました。結果が出るようになると嘘のように関係は良くなったものです。結果を出せればそれが一番です。しかし、やっぱり悪いときもあるので、普段からコミュニケーションに気を配ってきました。経営者だけでなく、メンバーに対しても同じです。人は状況が見えていないと不安になるのです。苦しいときこそ「見える化」だと思います。

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