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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

アクティブ・ラーニングに近づくための授業術 ‐望月陽一郎先生のインタビュー まとめ編‐

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●現役の先生に、教育現場のICT活用について伺いました

現役の先生(教員)に教育現場の現状を伺うインタビューは、ついに連載15回目に到達しました。

望月陽一郎 先生に取材した "ジグソー法"と"アクティブ・ラーニング"についての記事は、読者の皆様から大きな反響をいただきました。

望月先生が実践している「アクティブ・ラーニングに近づくための取り組み」は、オルタナティブ・ブログ 月間TOP30にランクイン。皆さまの関心の大きさを実感しました。

【参考】

そこで、今回は「アクティブ・ラーニングに近づくための取り組み」という切り口で、連載12回目から15回目までのインタビューまとめをご紹介しますね。

【望月陽一郎 先生・略歴】

大分市 中学校教諭(理科担当)。大分県教育センター 情報教育推進担当主事、指導主事、大分県 主幹等を経て、現職。
https://www.facebook.com/yoichiro.mochizuki/about を参照。

●"アクティブ・ラーニング"に近づくための授業術

12回 理科の実験におけるICT機器の活用術

▼理科の実験におけるICT機器の活用術-中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より-
http://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/2015/06/science.html

第12回目は、望月先生の担当教科である「理科」の授業の取り組みを伺いました。理科は知識・理論を学ぶことにくわえて、実験・観察もあります。ICTをどのように活用しているのか、先生に質問をしました。

今回は、実験においてICT機器を活用するということについて。 無理に「機器を使わなくても実験はできる」ので、「ICT機器を活用すると効果的だと思われる」例について話したいと思います。

実験においてICT機器を活用する場合とは、 実験を行うにあたって「困り」がある場合。例えば、

  • 実験前の説明がわかりにくい。器具が小さいため見せられても後ろの子どもが見えない場合。
  • 演示実験で指導者がして見せても見えにくい。見えない場合。

などがあります。

(中略)

・演示実験で指導者がして見せても見えにくい。見えない場合。
・・・演示実験も同様にカメラで映しながら行っています。場合によっては、子どもにカメラ係をお願いしています。(実験操作していると、タブレットを持つことができない)

子どもたちにカメラ係をしてもらうことで、子どもたちの自発性や意欲が高まるように工夫していることがわかります。先生が前で実験を演示している場合でも、子どもたちが"主体的"に参加できるメリットがあります。

「参加する」感覚を自覚させることによって、活動だけでなく子どもたちの思考がアクティブ化しているのですね。

【第12回目にお話ししていただいたこと】

  • 火気の扱い方とICT機器とのかかわり
  • 薬品とICT機器とのかかわり
  • デジタルとアナログの使い分けについて

具体例は、「理科の実験におけるICT機器の活用術」をご参照くださいね。

13回 デジタル教材「ランダムフラッシュカード」

▼デジタル教材「ランダムフラッシュカード」-中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より-
http://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/2015/08/Random-flash-card.html

第13回目は、子どもたちが自ら化学式を覚える教材として先生が制作された「ランダムフラッシュカード」の取り組みをお伺いしました。"自作のデジタル教材"について、先生方の関心が高かったためです。

ランダムフラッシュカードは、パワーポイントのスライドを使った教材です。したがって、その都度、先生方が問題を修正・編集することができます。汎用性が高いので、理科以外の教科にも応用することができます。

PowerPointのマクロ機能を利用して制作されているので、問題が表示される順番を毎回変えることができます。子どもたちはどんな問題が出題されるのか予想ができないので、集中して取り組めそうですね。

望月先生によると、

何よりグループ内で声を出し解答する様子が見られただけでなく、それぞれのグループで

  • 全員で答えるのではなく順番に解答するなど、出し方をあれこれ変えてみる。
  • わからない人にはアドバイスしたり、あらかじめ配られている化学式一覧プリントで覚え方を説明したりする。

などの工夫も見られました。

とのこと。子どもたちが意欲的に取り組んでいる様子が伝わってきました。

【第13回目にお話ししていただいたこと】

  • 自作のデジタル教材について
  • デジタルとアナログの使い分けについて

"ランダムフラッシュカード"の詳細については、「デジタル教材『ランダムフラッシュカード』」をご参照くださいね。

14回 ICT活用とジグソー法について

▼ICT活用とジグソー法について-中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より-
http://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/2015/11/ict.html

第14回目は「子どもたちが主体的に取り組む授業」というテーマで、お話しいただきました。望月先生は「学びやすい環境づくり」について、以下のような工夫を重ねているそうです。

先生は「小テストをスライドとワークシートの組み合わせにしているのも、それですね。問題を大きくスライドで表示することで、問題に集中できるようにしています。」とお話しくださいました。また、行った工夫の一つとして、"ジグソー法"を取り入れた授業についてご紹介くださいました。

「ジグソー法って何? 」と思われた方のために、解説を再掲しますね。

ジグソー法は、あるテーマについて複数の視点で書かれた資料をグループに分かれて読み、自分なりに納得できた範囲で説明を作って交換し、交換した知識を統合してテーマ全体の理解を構築したり、テーマに関連する課題を解いたりする活動を通して学ぶ、協調的な学習方法の一つ

(中略)

具体的には、まず、今の単元でしっかりわかりたい「問い」を設定します。この時、「一つの知識では解けないけれど、みんなが既に知っていることや今教科書に沿った資料を読めばわかること」を3つか4つ、部品として組み合わせて解けるようなものが良い問いになります(http://coref.u-tokyo.ac.jp/archives/5515より引用)

子どもたちのジグソー活動は、「動物分野のまとめ」として、ひとつのテーマをもって、3時間かけて進めたそうです。

望月先生は、「アクティブ・ラーニング(子どもが主体的に学びに取り組む)へ向かう一つの取り組みとしてジグソー法に取り組みました。ICT活用は、あくまで補助。ジグソー法をスムーズに行うために使いました」と解説されています。

「子どもたちのジグソー活動をサポートする役割として、ICTを活用」する意識が大切だとわかりました。

【第14回目にお話ししていただいたこと】

  • 子どもたちが主体的に取り組む授業とICT活用の関係とは
  • ジグソー法とICT活用について

授業の具体的な内容は、「ICT活用とジグソー法について」をご参照くださいね。

15回 アクティブ・ラーニングとICT活用について

▼アクティブ・ラーニングとICT活用について-中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より-
http://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/2015/12/active-learning.html

第15回目は、前回のジグソー法の実践を踏まえた上で、アクティブ・ラーニングに近づくための取り組みを伺いました。

望月先生がジグソー法に取り組んだのは、「アクティブ・ラーニング(子どもが主体的に学びに取り組む)へ向かうための一つの取り組みとして」が理由だったからです。

先生はどのようにして子どもたちの学びをアクティブ化しているのか、を伺いました。

  • 子どもたちの実態にあわせたワークシート
  • 毎時間のリフレクションシート
  • 提示による時間の効率化
  • 時計表示による時間の可視化
  • 発表時の共有

など、ICTをごく普通の場面に組み込むことで子どもたちの学びのアクティブ化を促しています。

とお話しくださいました。

インタビューには載せきれませんでしたが、望月先生から

「今日は、天気の変化についてのアンコール授業1クラス目。計算問題のここをもう一度アンコールしたいとアピールされたところを再度ミニ授業。リフレクションシートの感想が日頃以上によく書かれていて、「思考のアクティブ化」に近づけていたことがうかがわれました。」と、子どもたちの様子を教えていただきました。

  • アクティブ・ラーニングは、"手法"ではないこと
  • アクティブ・ラーニングは、特別なものではないこと
  • 授業をよくしていくために先生が従来から行ってきた工夫の延長線上にあること

が重要な点だと受け止めました。

【第15回目にお話ししていただいたこと】

  • 田村 学 文部科学省初等中等教育局視学官による、"アクティブ・ラーニング"の解説について
  • 望月先生が考える"アクティブ・ラーニング"について

子どもたちの学びをアクティブ化するために、望月先生は「アンコール授業」に取り組まれました。アンコール授業の具体的な内容は、「アクティブ・ラーニングとICT活用について」をご参照くださいね。

●まとめ

まとめとして、望月先生からいただいたメッセージを掲載します。この記事がみなさまにご活用いただけることを願っています。

【望月先生より】

ICTは手段。アクティブ・ラーニングはめざす姿。「ラーニング」だから、子ども側からの視点で見ることが大切です。その学ぶ姿が、アクティブ・ラーニングの状態ですね。基礎的な知識を聴く場面、自ら考える場面、話し合う場面、伝え合う場面を組み合わせて、アクティブ・ラーニング(学びに向かう姿)を設計するよう心がけています。

「アクティブ・ラーニング型の授業」という特定の型や手法にとどまらず、学びに向かう姿(アクティブ・ラーナー)実現のために工夫してほしいと思います

参考記事

先導先生 - DiTT(デジタル教科書教材協議会)
※望月先生の35の取組みが紹介されています。

まとめ記事

今までに取材した「授業でのICT活用のポイント」「学校でICT機器を活用する時のポイント」「教材作成時に気をつけたい著作権の問題」などについては、以下の記事にポイントをまとめました。ぜひご参考にされてくださいね。

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