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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

デジタル・ネイティブな子供たち と教育

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学びたい人が学ぶことができる時代へ

CoderDojo (コーダー道場)

最近、子供のプログラミング教育に関する記事を頻繁に見かけるようになりました。一昔前はマイコン少年・理系オタク的な世界と認識されがちだった「子供のプログラミング教育。それがごくあたりまえなことになってきた感があります。

ITmediaオルタナティブ・ブログでも荻澤 篤志さんの「子供達がプログラミングの楽しさを学ぶ教室 CoderDojo(コーダー道場)@下北沢オープンソース Cafe」が人気記事になっています。とてもおもしろい取り組みなので、萩澤さんのご説明を引用します。

CoderDojo (コーダー道場)とは?  詳細は Ustream映像を見た方が良いと思いますが、元々はアイルランドではじまって欧州や米国を中心に世界88ヶ所以上と広まりつつある子供達向けの定期的なプログラミング教室のこと。合気道などの道場を思い浮かべるとイメージしやすい様子で、オープンソースの活動に似ており、非営利かつ情報公開されているとの説明がありました。

日本国内では、春頃からここ下北沢オープンソース Cafe も含め、東洋美術学校(新宿)などの会場で数回程開催しており、今後、いくつかの国内コワーキングスペースが道場立ち上げを表明しているとのこと。

次の道場をはじめたジェームス氏のコメントが心に響くのは関係者だけではないでしょう。 学校ではコンピュータの授業も無かったし、自分で試行錯誤しながら学んできたので 教えて欲しいという若者がいたら手を貸してあげたいと思った
by James Welton

http://blogs.itmedia.co.jp/cmssol/2012/07/study4-coderdojo-tokyo.html より引用
※見やすくするために途中で改行を入れました

無料でプログラミングを学ぶ

日本でもちょっとした場所でプログラミングを学ぶことができる場ができたことに感慨深いです。私が会社を退職したあと通った学校ではJava講座が半年で確か30万円かかりました。Linux講座も半年で確か30万円かかりました。すでに8年前の話ですが、専門的な技術は学ぶ際にそれなりにのお金がかかるのだなと学びました。

今は無料の動画でプログラミングの作成方法が公開されていますし、自主勉強会がたくさんあります。意欲がある人は誰もが学んでいける社会に変わっているのだなと感慨深いです。

参考:ドットインストール
    IT勉強会カレンダー

「子供にパソコン教えて意味あるんですか? 」への想い

子供のうちから身体の体幹を作るのは大事なこと

私自身は2009年からNPO法人で子どもにパソコンを教え始めています。中にはアルゴリズム体験ゲーム・アルゴロジックでアルゴリズムを、日本語版Scratchでプログラミングの基礎を学ぶ子もいます。VISCUIT (ビスケット)〜コンピュータを粘土のように〜ならば小学校低学年の子供も遊びながら創造性・考える力を育てられます。

ところが「子供の時からパソコンを教えるなんて意味あるんですか? 」という声を大人の方からいただきます。「子供の時からWordやExcelを習うより、外で遊んだり情操教育にやったほうがいい」「子供の時しかできないことをやっておいたほうがいい」というご意見は「確かに」と思います。

毎日、ゲーム端末でひたすらゲームをしてして姿勢が保てないお子さんも増えてきました。小さい端末でゲームをしていると家で椅子などに座って猫背になってしまう。

猫背で呼吸が苦しいから無意識に気道確保。顎が前に出てきて苦しそうなお子さんもいらっしゃいます。子供のうちに外で遊んだり身体をを動かして体幹を鍛えておくことは大事なんですよね。

ウェブリテラシーも大事

私は子供のうちに身体を作っておくのは非常に大事だと感じています。一方で子供のうちからITリテラシー・ウェブ・リテラシーを育てることも必要ではないか? と考えています。

そのため私のパソコン講座ではスタッフとYahoo!きっず(ヤフーきっず)キッズ@nifty(きっず・あっと・にふてぃ)で遊ぶところから始めます。ウェブをどのように使えばいいのか遊びの中で身につけることができる気がするからです。

ある程度大きくなれば学校の授業(情報科など)でワード・エクセルが登場しますのでお子さんからご要望があればレッスンします。事前にレッスンしておくとお子さんが余裕を持って授業に参加できるそうだからです。

操作を学ぶだけなら大人になってからでも間に合う

しかし、なるべくですがワードやエクセルはお子さんにとって必要になってからレッスンするようにしています。ワードやエクセルの「操作」を教えるだけになりがちだからです。

せっかく子供のうちからパソコンを習うことができるのだから、単なる操作を覚えるだけのものよりもご本人の興味が湧いて考える力を養えるようなことを先にしたいと考えています。

というのは就職するためにソフトの「操作」を覚えるだけならば、大きくなってから講習をしても間に合う場合が多いからです。本格的に使いこなしたいならば話は別ですが。

私は大人になってからIT、ウェブが当たり前に使われる様になった世代です。しかし今の子供たちは生まれた時からウェブが当たり前に使われています。iPhoneやiPadも赤ちゃんの時から当たり前に存在しています。

私は今の子供たちのお母様の年齢に近づいて来ました。子供たちとお話ていくうちに根本的に体験してきた環境・世界・価値観が違うと思ったほうがいいと感じるようになりました。

生まれた時からITを利用している子供たち。彼ら・彼女らに向きあう為に日々、学び(ITだけではなく炊事洗濯などライフスキルも含む)は欠かせません。

紙からデジタルへは本当にいいことなのか?

電子書籍アプリの痛し痒し

「教科書を紙からデジタル教科書へ」という流れに様々な意見が出ています。紙をそのままスキャンして画像にしてデジタル化したとしても書き込みができません。文字入り画像を見るだけしかできないならばかえって不便です。

書き込みができる、マーカーで線が引けるなど子供が紙と同じ以上にメリットが生まれるならばデジタル教科書化はいいな、と考えています。

心配な点は日本で読むことができる電子書籍のコピーガードがきついことです。私が実際に体験したことでは、iPhoneで購入した電子書籍をiPadでも読もうとしたらアプリを認証(登録? )した端末以外では読めないことが判明し困惑しました。※私はiPhoneとiPadを利用してます。

購入した電子書籍を他の端末で読むことができないのは著作権保護の観点だと想います。売り手の気持ちは理解できますが、iPad用に同じ電子書籍を買うのは腹立たしく思えました。同じ物を2つ購入するくらいならばiPadである書籍を読むのはやめようと私見では思いました。

電子書籍の販売元は同じ本を2回買ってくれたほうがメリットがあると考えたのかもしれません。しかしそのプラットフォームから電子書籍を買わないことにしたので、販売元は一人分のビジネスチャンスを逃されたのかもしれません。

もしiPhoneでもiPadでも両方の端末で読書ができたならば、私はそのプラットフォームで他の本も購入し続けたでしょう。

モリサワの電子書籍サービスで制作された電子書籍アプリのようにユーザが読みやすいための工夫がされているならばいいのです。ですが大手出版社のアプリでも読みにくい電子書籍を散見します。文字を拡大したり、マーカーを引いたりできない電子書籍もまだあります。

せっかく内容がいい本だったのに文字が小さくて読む際に疲れました。かえってパブーで紙の本の半額程度で購入した佐々木俊尚さんの『キュレーターの時代』『当事者の時代』をiBookで読むほうが使い勝手がいいくらいでした。

日本デジタル教科書学会

私の話はあくまでも実体験で感想レヴェルの話題ですが、なんでもデジタル化すればいいというものではありません。そのため2012年5月に「日本デジタル教科書学会」が設立されました話を聴き、喜ばしいことと感じています。デジタル教科書が本当に子どもたちの教育に有効なのかアカデミックな立場で検証する必要があると考えていたからです。

電子書籍の使い勝手も子供への有効性も重要です。さらに加えて、学校に導入する際のコストや人件費も考える必要があるのではないでしょうか。

国や各自治体の予算は決まっていると考えられます。デジタル教科書の導入や維持が予算に収まらなくてはデジタル教科書の導入は難しいだろうと推察をしています。

そして情報科以外の普通の教科の教員・非常勤講師がデジタル教科書を使いこなして各教科内容を教えられなければ意味がありません。

予算の割合の中には教員がデジタルコンテンツを使いこなす訓練費も盛り込まれる必要がありそうです。学術的な面からもデジタル教科書を考察することは重要ではないでしょうか?

日本デジタル教科書学会の公式サイトには以下のように説明されています。

 日本デジタル教科書学会は、デジタル教科書・教材に関する学術的な研究および授業実践を行い、その効果や意義を発信することを目的に2012年5月に発足しました。  2010年5月に内閣IT戦略本部にて決定された「新たな情報通信技術戦略」では、今後の政策の1つとして「デジタル教科書・教材などの教育コンテンツの充実」が掲げられています。

またその工程表の中には、「児童生徒1人1台の情報端末による教育の本格展開の検討・推進」が盛り込まれており、その流れを受けて2020年度の実現を目標に進められています。しかし、デジタル教科書・教材をどう捉え、どのように推進すれば良いかについては、未だに議論が尽くされていない状況です。  

本会は研究分野、所属学会や研究会の枠を超えて集い、現場の教師と研究者が相互に協力しながら、デジタル教科書・教材に関する可能性や課題解決法の提案、デジタル教科書・教材を活用した授業実践研究を行い、また、国内外を問わず、デジタル教科書・教材を推進する各種団体と積極的に連携して、我が国の教育の発展に資することをめざします。

参考:日本デジタル教科書学会 http://js-dt.jp/index.html

学校現場での取り組みはもちろん大切なのですがデジタル教科書は子供たちの教育に本当に役立つのか?という根本的な部分を私も検証する必要があるのではないかと考えています。

デジタル教科書を子供たちにとって有益なものにするには?

デジタル教科書に関して今、私が気になる点を挙げてみます。

  • デジタル教科書を学校に導入する場合はどんな形態、どんなデバイスの教科書が子供たちに望ましいのか
  • デジタル教科書を学校で使った際に子供たちにどのような影響を与えるのか
  • 先生はデジタル教科書を活用して授業を進めるノウハウを身につけているのか
  • デジタル教科書を活用して授業を進めるノウハウをどうすれば身につけられるのか
  • どんな所が子供たちの教育に役立つのか、役立たないのか
  • 紙の本など他の媒体と比較した時のメリット、デメリット
  • 利用する子供たちの中で感覚過敏の子はいないか
  • 障がいがあるお子さんにも使いやすいのか

現在の日本が置かれている状況は厳しいと感じています。その中で子供たちが潰れずに大人になって生き抜いていくために何が必要なのか。私はICTという仕事を通して子供たちに何ができるのか。

>>「子供のICT教育とインクルーシブ教育・前編」に続く


編集履歴:2012.12.3 0:16 題名を「生まれた時からデジタル・ネイティブな子供たち と教育」から「デジタル・ネイティブな子供たち と教育」に改めました。2012年7月20日 12:34に題名を短くしました。2012年8月4日 0:40に見出し(h3)を複数追加しました。

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